黒い世界 ♯17 彗星 

March 31 [Mon], 2008, 9:56
わしが、まだ若造だった頃の話じゃ。











わしは、いつも1人じゃった。1人でいつも剣の修行をしておった。

師も持たず、仲間を持たず1人ぼっちじゃった。

そんな時、わしは食料を探しに街に出たんじゃ、その時ある噂を聞いた。

それは、この日本という国の者じゃ無い武器を持つ『彗星』と呼ばれる者の事を

わしは、それは自分よりも強いと思い、その『彗星』を探しに行った。

そのうち強くなる奴は、早めに摘んでおいたほうが良いと思ったからな。










『彗星』は、町の外れの古い事務所の中にいた。その事務所は荒れていた。

そこらじゅう良く分からない落書きがいっぱいだった。何故か見てるだけで恐ろしくなる

その『彗星』は、悪い奴だった。今で言う不良とかヤンキーみたいなの。

『彗星』は、社長のような椅子に深々と座っていた。『彗星』の前には、ガラの悪そうな男たちが立っていた

『彗星』は、その男たちに「殺れ」と短く言った。

男たちは、いきなりわしに向かって銃を、向けた。

勿論わしも、そう言う事は想定しておった。わしは避けた。

しかし、避けても避けても男たちは銃を放ってくる。

わしは、もう我慢できなくなった。男を斬り、『彗星』に挑んだ

『こんなイカつい野郎を楯にするなんて卑怯じゃ!』

『こんな男たちをSPにできるほど俺様は強いのさ』

なんか良く分からなかったけど、何かムカムカした。

『勝負じゃ!勝負!』

『ん―――いいだろう。』

わしと『彗星』の一騎打ち。

何か、ギャラリーが集まってきた。勝手に賭け事をしていた。

どっちが勝つか、8割が『彗星』で、後の2割が、わしだった。

(期待されとらん方がやり易いわ。)









勝負が始まった。










わしは、期待を裏切ったんじゃ。










たったの一撃で『彗星』が倒れた。










わしは、罠だと思い、しばらく構えて待っていた。

しかし、『彗星』は、一向に起き上がろうとはしなかった。

『なら、こっちから止めを指したるわっ!!!!!!!!!!!!!!!!』

わしが刀を振り下ろそうとしたその時、1人の若者が叫んだ。

『ダメだっ!!これ以上攻撃しては!!』

わしの手が、ピタッと止まった。

若者が出てきて、『彗星』を診た

『キミ……見た事無いけどさ』

『見た事無くて結構じゃ』

『ソウヤが、弱かったんじゃない。』

『何故じゃ。一撃で倒れたわ。雑魚じゃ雑魚』

『だから、そういうんじゃなくて…』

『じゃあ何じゃ!コイツが疲れとったんか!わしは、コイツの全力で闘いたいんじゃ!』

『ソウヤは、全力だよ。ただ、君が強すぎたんだ』

『は?』

この勝負がきっかけで、街の人間は、わしの事を『稲妻』よ呼んだ

黒い世界 ♯16 師匠 

March 30 [Sun], 2008, 10:25
俺は無理矢理森の中に連れてこられた。

「若造、武器は何じゃ?」

「ナ、ナイフです……」

「出してみぃ」

俺は、スッとチナミから貰ったナイフを出した。

「ふぅん…使い込んであるが、若造のじゃぁ無いな」

「ちょっと…仲間から貰ったので」

俺が言うとチヅキは、ぴくんと眉を動かした

「仲間…今は仲間なんぞ無い。」

「そっ…そうですけど」

「コレなんぞに仲間もあるかぃ!あるのは裏切りや敵だけじゃ!!」

チヅキは、ブチ切れた。何がなんだか分からなくなった。

「正直、わしは若造の事を味方や仲間だとはこれっぽちも思っとらん。むしろ今殺しても良いくらいじゃ」

やめてください!頼みますから殺さないでください!!

「んまぁ、アイツの頼みだからな。」

「ユズキさんですか?」

「あぁ、アイツは唯一味方と言っても良いが、しかし…」

チヅキの顔が急に厳しくなった。

「わしは、最後にアイツを殺して勝つんじゃ。」

「…あれ、じゃあ彗星の稲妻の、もう1人のソウヤって人は?」

「アイツは…もう良いんじゃ。」

「……はぁ」

「とりあえず、えいっ」

ごふっ

一瞬の間に、俺は大袈裟の音を立てて、倒れた。

何やら全身がピクピクと痙攣しているのが分かった

「チ…ヅキ…さん?」

「若造。青いのぉ?」

チヅキは、御構い無しに、俺を殴る蹴るした。

「チ…ヅキさっ…オレ…もう…死んじゃ…います…って!!!」

「おう、死ね死ね。死んでくれた方がこっちも有利になるわ」

ちょっ……この人本気で俺のこと殺そうとしてるし!!

「無理ですって…無理…」

オレの意識がトんだ。











何やら光が見える。

オレ…あれ…なんか動ける。何だろう…この力












「ぬおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」

オレは、むくっと起き上がり、両手にナイフを持った。

そして、ただ、適当にナイフをざくざくとチヅキに切り付けた

「ぬ…若造。もう良いわ」

チヅキが言うと、俺の力はどんどん抜けていった。

「若造の力は特殊なんじゃな。」

「どうゆう事ですか?」

「人間には人と違う特殊な力を持っておる。普段は気づかぬかもしれんがな、」

「せ…潜在能力。と言う事ですか?」

「まぁ、ソレに近いだろう。若造は、ピンチになると強くなるんじゃなく、意識がトぶと力を発揮する」

「やられたらダメじゃないですか…」

「あの殺人鬼と一緒じゃな…」

「あの殺人鬼ってシグル?!」

「そうじゃ。ただ、アイツは、もっとヘンテコなんじゃよ。さて、」

チヅキは、いきなり、ぐいっと俺の胸ぐらを掴んだ。

「いいか…ソウヤもゲームに参加しとるんじゃ。」

「そ、そうですか…」

「若造。わしは絶対にお前を強くしてやる。」

(別に強くしなくても大丈夫ですから!!)




「そうしたら…若造。お前がソウヤを殺せ」




「ソ、ソウヤって人に何があったんですか?」

「それは…な。」

黒い世界 ♯15 修行 

March 25 [Tue], 2008, 10:39
「暑いと思ったら急に涼しくなったぜ…」

可笑し過ぎるな。この世界は馬鹿げているなぁ…

(殺し合いやってる時点で馬鹿げてるって言うか狂ってるぜ)

俺は自分の部屋、黒い部屋のベットに横になっていた。

すると、がっしゃーんとガラスが割れた。

「はい…………?」

非現実的。

割れたガラスと共に現れたのは頭にタオルを被った作業服の男

「頼む!匿ってくれぬか!」

「え…どうぞ」

男は、そのままクローゼットの中に隠れた。

隠れたと同時に、黒と灰色のオッドアイのチャイナ服男が窓から入ってきた

「変な男見なかったか?」

貴方が変な男だといえるのですが、なんて言えなかった。

「そうか…なら良いや」

男は普通に窓から出て行った。

「やれやれ…助かった。」

男はクローゼットの中から出てきた。

その時、ネクタイの無い黒スーツにシルバーネックレスにサングラスな以下にもヤクザな男ユズキがやって来た。

その表情は、どこか驚いていた。

「あ、チヅキ」

「ユズキ?」

あ…まさか、この良くある展開は………










話を聞くと、ユズキと、この男チヅキともう1人ソウヤという男は、彗星の稲妻よ呼ばれ、恐れられていたらしい

「おう、どうだ?剣の腕前は」

チヅキは、日本刀の遣い手らしい。チヅキは、にこっと笑って

「まぁ、ユズキよりは上手になったわ」

と、鞘から、シュッと日本刀を抜いた。危ない危ない!

「言ってくれんじゃねーか…」

「言ってくれるわ。」

チヅキとユズキの間には火花が何となく見える。

どうやらこの2人、犬と猿らしいのだ……

「そうだ。チヅキ、こいつを鍛えてやってくれないか?」

突然、俺はぐいっとユズキに掴まれた

(ちょっ…鍛えなくてもいいですから!)

「ぬ?この若造を?」

「ちょっ…ユズキさん!」

チヅキは、ぐいっと俺に顔を近づけた。

「ん、中々素質のある若造じゃ。いいだろう。」

俺は、無理矢理チヅキに担がれた。

「ちょっ…ちゃんと歩けますって!!」

黒い世界 ♯14 発明 

March 24 [Mon], 2008, 10:00
「どどどどうゆう事でせうかユズキさん」

「つつつつまりだなセイトくん、この幼女の心に悪があると言う訳だな」

「そそそそんな事或る訳無いじゃないですかユズキさん」

「いいいいいやでも指輪が示しているんだよセイトくん」

マナは、戸惑う俺たちを見て、首をくいっと捻った。

「セイトさんと何とかさん、何チェケラッチョしてるんですか?」

「チェチェチェチェケラッチョ?」

「はい。喋り方がチェケラッチョになってますよ。」

あぁ、つまりラッパーみたいになってるって事か。俺は、ふとマナを見た

指輪が――――赤に変わっていた。

「何とおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

何故だ!?妄想!?この幼女がそんな事考えているのか!?おかしいぞ!

「うわー。凄い〜この指輪色がクルクル変わる〜」

「「え?」」

見ると、ハートリングが、赤、橙、黄、黄緑、緑、青、紫、桃と

何か順番的に綺麗な順に色が変わっていった。

「な、何故だハートリングが正しく動いていない…」

「ななななんででしょうね…」

「セイト、もう喋り方戻っていいと思うぞ」










その頃、洞窟の前にある森の池の辺、カナデとサイが戦った場所

「でーきた!ボク天才♪」

シグルはマントを胸で留めるSと描かれるボタンを見た。

今、シグルが持っているのは、そのボタンと同じSの描かれたボールだった

「Sナイフ完成〜♪。第一形態発動!」

とシグルが言うと、ボールから、ナイフの刃がにょきっと飛び出してきた

「いいね…今度は第二形態発動!」

また言うと、ナイフの刃が、引っ込み、反対側から黒い棒が出来て、また棒から刃が出てきた

「薙刀かっこいい〜次は第三形態」

今度は、黒い棒はそのままで、シグルは、その黒い棒を持った。

そして黒い棒の反対側から勇者のような剣が出てきた

「かっこいい〜次は最終形態…は、まだ出さなくてもいいか」

シグルは、「戻れ」と言って、Sナイフをただのボールに戻し、

マントの中のGパンのポケットに入れて、目を輝かせた

「これを早く実戦で使いたいな…あははっ!楽しみぃ〜」

黒い世界 ♯13 指輪 

March 23 [Sun], 2008, 9:33


太陽は天辺に昇り、俺らをウザいほど熱く照らす

「何なんだよ。今日の天気はアホかってくらい暑い……」

俺はどっかから取り出した団扇片手にチナミの部屋、桃の部屋で涼んでいた

「ねぇセイトさん、表世界は、今温暖化とか言う奴なんでしょ?」

「あぁ…そうだけど?」

「この黒世界では、その影響をモロに受けてるんですよ」



…………クーラーの設定は28度にしよう。



「あ、セイトさんにチナミさん、此処に居ましたか、コレを―――」

ノックもせずにいきなりカナデが、ごろごろ転がって入ってきた

「ひぇっ!?カ、カナデくん!?どうしたのっ!?」

「誰も助けてもらえる人が居ないんで」

「あぁ……」

ユズキは治療中のマナにつきっきりで看病をしているらしい。

「これは…シオンさんのハートリングですね」

カナデに渡されたのはシルバーの指輪だった。

「そう、何か僕の足に絡まってたんですよ。彼の形見です。」

そう言って、カナデは、またごろごろと転がって行った。

「………彼の腕は大丈夫なのか?」

「大丈夫なんじゃないですか?」

俺は、ふとチナミを見た。さっきカナデが言っていた



「チナミさんですか?あの人―――あんま好きじゃないんです



という台詞が頭から離れない。それに



「もしかしたらアノ人かもしれないんです。裏切り者」



という台詞も、気になって仕方が無かった。


(そうゆう君だって……!!カナデくん)

俺の心は限りなく黒の近づいているであろう。そんな気がする。

だから今はハートリングを、嵌めたくても嵌められなかった。

「セイトさん…どうしたんですか?」

「あぁ…大丈夫だ」

俺は、団扇を落とし、マナとユズキの居る赤の部屋に向かった。

昨日、シオンが殺害されていたのが見つかった。あの、赤の部屋だ

「どうですか?マナちゃんは」

部屋には多少の鉄臭さが残っていて、吐き気がしそうだ。

「え?マナ……?」

あ、いけない。この人だけには、マナは偽名を名乗ってたんだ

「あぁ、リカちゃんでしたね?」

本当は俺にも本名は分からないんだけど…

マナが正しいかもしれないし、もしかしたら、リカが正しいかもしれない、

他にあるかもしれない。最低の場合――彼女には名前が無いのかもしれない

(まぁ…そんな事、俺は知ったこっちゃねぇって事だな…めんどくせぇ)

俺は、ちらっとユズキの指を見た、ハートリングが嵌めてあって、

色は、矢張り妄想の色赤だった。そりゃそうだ。

すると、静かにマナは、瞼を開いた。

「…あ、セイトさんお早うございます」

「今は昼だけどな」

「リカちゃんっ!起きたんだねっ!!」

マナは、当然ユズキに見向きもしなかった。

「何ですか。その指輪」

「あぁ、ハートリングって言うんだ」

マナは、説明を聞かずに、わーい。と指輪を嵌めた。

すると、指輪は、一瞬でに変わった。

「「あれ?」」



よ、予想外だ…………

黒い世界 ♯12 迷子 

March 22 [Sat], 2008, 9:36

ゲーム3日目 参加者100人のうち生存者67人


朝、幸い皆は生きていた。俺は、ほっと胸を撫で下ろした。

「カナデくん、歩ける?」

「くっ……まだまだ足が痛いですね」

カナデの住んでいる秘密基地青の部屋にて、

カナデは、まだ両足が使えないようだった。俺は心配でたまらなかった

「セイトさん、昨日頬についた傷は大丈夫ですか?」

俺は、自分の頬を撫でた。感触はガサガサしていた。

「大丈夫、瘡蓋になっているみたい。」

「昨日の…シグルでしたっけ?アノ人なんだったんでしょうかね…」



ユズキ曰く殺人鬼、ナイフを武器にする恐ろしい鬼は



昨日、泣いていた。俺たちの前で泣いていたんだ。



(泣いた赤――――黒鬼ってか?ヤツは)

ヤツの名を聞くと凄い寒気に襲われるが、今日は何故か何も感じなかった

「この秘密基地の中に裏切り者が居る……ですか」

カナデは、ポツリと呟き、さり気に俺を見た。


お、おい…まさか俺を疑ってるのか?コイツ、


「…ま、そんな事無いですよね。武器持ってないですし」

「おいおいおい!さり気に弱ぇ見たいなことを言うなよ!!」

俺は昨日チナミから貰った錆びたナイフを見た。

「あ…武器持ってるじゃないですか。ナイフ?」

「おぅ、チナミから貰ったんだ」

「チナミさんですか?あの人―――あんま好きじゃないんです

「は?」

カナデは、冗談を言っているような顔じゃなかった。

「もしかしたらアノ人かもしれないんです。裏切り者」

「え?どうしてだ?何でそうなるんだ?」

「裏切り者云々とかの問題だけじゃなくて敬語キャラってのも被るんですね」

「………それは大丈夫だと思うよ」

カナデ、以外にボケキャラだったりして…………?

「そうだ、リハビリを兼ねて外で修行しましょうよ!」

「しゅ、修行……」

「良いじゃないですか!ほらっ!!」

俺は、カナデに言われるままに外に出た。その時、何かを踏んづけた

「えっ…………」

人だった、一瞬死体かと思ったが、その人には息があった。

「あ…女の子ですね」

「ね、寝てるし……」


俺たちはリハビリをやめて、女の子を秘密基地に運び込んだ



「怪我は、手当てしてるな」

「けっこう手当てした人が上手いですね。コレは」

すると少女は目を覚ました。少女は眼球をぐるっと回し、

「ひゃっ!殺される!?すみません!ごめんなさい!死にたくないです!」

なんだか、狂ってやがる。と思った。

「殺しやしないよ…君、外で寝てたからさ…」

俺が言うと少女は安心したように大人しくなった。

「あ…れ…アナタたち昨日マナが微かに記憶した手当てしてくれた人と違う」

か、微かに記憶した手当てしてくれた人?

話まで来るってやがるな。とも思った

「あ〜私は東籤 マナって言うんです〜」

「あ、あぁ…俺は桐谷 セイト」

「僕は未乃 カナデです」

カナデの名前を聞くと、マナと名乗る少女はびくっと反応させた

「ひつじの…かなで…まさか貴方は未乃拳法の何かですか?!」

「兄が継承者なんですけどね」

「わーっ!すっごーい!かっこいぃ〜」

何か分からないけど変なものを拾ってしまったな。と俺たちは思った

「ん?何やってるんだ?」

そこに偶然通りかかったユズキ登場。そしてマナを見、キラーン

「わーっ!可愛い娘!名前何て言うの?」

「下鴨 リカ」


コイツ偽名使いやがった!?



「きゃーっ!リカちゃん!?お兄ちゃんと遊ぼう!」

「ロリコン」


                    がーん…


ユズキ、石になる

「そりゃそうでしょうよ」

こうして秘密基地に新たな仲間が一時的に加わった。

黒い世界 ♯11 襲来 

March 21 [Fri], 2008, 8:44
「ど〜も、皆大好きシグルくんで〜す」

正直言って大嫌いだ。

「いつもより1人少ないですね。なんでだろ〜♪なんでだろぉ〜♪」

お前のせいだろうがよ。殺人鬼さんよぉ?

「あれ?皆怖い顔してますね…ボクのせいでしょうか〜」

そうだよ。バーカ。

シグルは、うん?と首を傾げてから言った

「信じてくれないかもしれないけどね」

その時、俺のぞくりぞわりとした恐怖がふわっと飛んでいった

「ボクは殺っていないんだ」

俺は、ふうっとシグルの顔を見た。シグルは――――――


――――――――――泣いていた。


「シ…グル…?」

「なんちゃって、泣き寝入りなんてダメだよね?そんじゃっ」

シグルは、普通に扉から出て行った。出て行くとシグルが壊した壁もすうっと時間が戻るように直っていった

「なぁ…ヤツはシオンを殺っていないんだな?」

「ユ、ユズキさん!?あの人を許すんですか?」

「ちぃちゃん、オレは何かを感じたんだ。確かに何かを―――」

ユズキは、すうっと上を向いて言った

「こりゃあアレだ、この秘密基地メンバーの中に裏切り者が居る

「「「―――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」

俺たちは硬直した。そして皆を見回した。

チナミ、ユズキ、カナデ、チナミ、ユズキ、カナデ、チナミ、ユズキ、カナデ、チナミ、ユズキ、カナデ、チナミ、ユズキ、カナデ、チナミ、ユズキ、カナデ、チナミ、ユズキ、カナデ、チナミ、ユズキ、カナデ…

「だから言っただろ。この関係は何時崩れたって可笑しくないって」

ユズキは、はーっとため息をついて座って俯いた

「はぁ…これがオレの最後の晩餐になったらどうしよう…」

ユズキの一言に、秘密基地全体が凍りつく。

(参ったな…こりゃ、やべぇ)












その頃、秘密基地の近くで1人の少女が彷徨っていた

「おとーさん、おかーさん、どこ?」

その少女は、まだ15にもなっていないくらの幼い少女だった

「お腹すいたぁ…マナ、ここで死んじゃうのかなぁ?」

少女は、ふらついていて今にも倒れそうだった。そしてばたっと倒れこんだ

「そうだよ…マナ、12年間頑張ってきたもん…此処で死んだら…あぁやっぱダメだ」

マナは痙攣する両足に鞭を打ち立ち上がった

「…ここで少し寝かしてもらおう…灯りがあるし…うん。大丈夫…」

少女は、秘密基地の前で横になった。

しばらくすると少女のすうすうと静かな寝息が聞こえた。

そして少女の前には1人の青年――サイが居た

「何だ。この餓鬼、寝てるぜ」

サイは、ふん。と息を立ててその少女を見た

「ひどい怪我だ…痙攣までしてるな」

サイは、胸ポケットから湿布やら取り出し、手当てをした。そして、ふと上を見上げた

(やべっ。此処は、確か今日の昼にカナデが運ばれた…となるとカナデは…)

サイは、手当てを終え、バレないように逃げた。

黒い世界 ♯10 棺桶 

March 20 [Thu], 2008, 9:18
俺は、森の中で横たわるカナデを見つけた

「カ、カナデくん!?一体どうしたんだ!?動けないのか!?」

「あ―…っと、セイトさんですか?すみません…右腕骨折です」

「こっ……い、一体何があったんだ!?」

「それは―――今は言えません。」

カナデの目は、酷く虚ろになっていて、ゆらゆら揺れていた。

「あ、そうだ、今日シオンとか言う奴が!!」

「知ってますよ。第一発見者が僕なんです。殺してはいませんが。」

「そっ…………か…………」

「僕、血とかグロい物が苦手なんですよ。」

変な奴だとは思ってしまったが、俺だってそうだと思う。

(こんな世界、どうにかなってるぜ。まったく)

「カナデくん、立てるか?」

「はい。足の骨は大丈夫そうなので。ただの捻挫でしょう」

カナデは、俺の肩を借り、ひょいっと立ち上がった。カナデの体はとても軽かった

「いっ―――――――!!」

その時、一瞬カナデの体に電流のような激痛が走った。

「大丈夫か!?カナデくんくらいなら俺でも、おぶえるかも」

「す、すみませんセイトさん」

俺はカナデをおぶい、秘密基地まで帰った。

すると秘密基地の前に沢山の黒服の男が立っていた。

俺は吃驚して、カナデをおぶったまま木の茂みに隠れ、男たちを見ていた

「カナデくん、あの人たち誰?」

「さぁ…………」

男たちは秘密基地の中に入って行き、しばらくすると棺桶を担いで出てきた

男たちの後ろにはチナミとユズキが居た。チナミは俺たちに気づいたように手を振って近づいてきた

「セイトさんっ!カナデさん大丈夫ですか?」

「はぁ…えっと、右腕骨折に左腕脱臼に両足骨折ですよ。」

何たる重傷だ!!

「そ、それよりチナミ…あの男たちは誰?」

「あ、はい。シオンさんを引き取りに来たんです」

「え?」

「今から御家族の人たちの所に運ばれるんですよ。」

「……………………………………………………。」

俺は、何も言わなかった。否、何も言えなかった。

俺もあぁなるんだろう。でも俺はこの世界に親は居ない。表世界の住人はここを知ってはいけない。しかし、俺は知ってしまった。俺が死んだら、捨てられるだけなんだろう。

(父さん・・・母さん…)









時刻はもう夜の8時、チナミ、ユズキ、カナデ俺で夕飯を食べていた

「いいか、お前たち、この家族のような関係は何時崩れたって可笑しくないんだ」

「「「……………………」」」

俺たちは黙ってしまった。ユズキは、話を続ける

「食事中に、こんな話をしてしまって失礼だが、シオンの死因は、出血多量によるショック死だ」

たしかに床が血塗られていて不気味だった。まさに赤い部屋だ

「おそらくナイフとか刃物で殺ったんだと思う。たくさんの切り傷があったんだ。」

ナイフ―――――――まさか

「もしかしなくてもヤツだろうな。」


           常   崎    シ   グ   ル


その『ヤツ』の事を聞くと俺は凍るような寒気に襲われる。

何故か今はいつもより増して寒気が酷い。

(え………まさか)


ぼこんっ

地面が、割れて何かか弾丸のように駆け抜けた。

そしてその弾丸は俺の頬を掠った。頬は、ぱかっと割れ、血が流れる

「ひっ!!」

「  ボ  ク  を  疑  う  な  ん  て  酷  い  な  ぁ  ?  」


ヤツが―――――――――来た。

黒い世界 ♯09 再会 

March 19 [Wed], 2008, 13:55
「兄…………さん?」

「驚きだな。お前もゲームに参加してるなんて」

「参加したくてやってる訳じゃないんです…!!!」

「まぁ、そんなモンだろうな」

サイは、カナデの腕を掴んだ

「何時ぶりだろう…お前と会うのは」

「兄さん、何でいきなり居なくなったりしたんです!?」

カナデが聞くとサイは、急に静かになった。

「居なくなった訳じゃないんだ……」

「居なくなったじゃないか!!」

カナデは、兄に対し、初めて大きな声で言った。

「兄さん!継承者になった途端に居なくなったじゃないか!死んだかと思ったぜ!?」

「死んだ……か、それは酷いな」

サイの顔がみるみる悲しくなっていく。それを見、カナデは、はっとした

「兄さん、ごめん……」

「良いんだ。もしかしたら黒世界の住人の半分は俺は死んだと思ってるんだろうな」

「そんな事…無いです。僕は信じてました」

「さっき、デカい声で死んだと思った。って言っただろ?」

サイの言葉に、カナデは、何も言えなくなってしまった

「お前、確か俺を超えるって小さい頃言ってたな」

「あ、ハイ……」

「今から、俺と闘うか?」

「は、はいっ!!!!」



サイと闘う為、カナデは精神統一していた。

憧れの兄さんと闘える。今日は何てラッキーデーなんだ

(でも、僕が負けるのは確定だけどな…とりあえず何分…否。何秒持つか、だな)


そして森の泉の辺にサイとカナデが向かい合って立った

「俺が始め。と言ったら試合開始だ。いいな?」

「分かりました。兄さん」

そして、しばしの沈黙。からの

「初めっ!!!!!!!!!!!」

カナデは、すぐに構えた。力を貯めて、まずは未乃拳の基本技

「炎上 烈火―――――――」

するとカナデの前に円状の炎が現れた。その炎はサイを包んだ

「お前、炎が大きくなってるな」

「そりゃ、もう……」

その時、サイは俯き、呟いた

「でもな。考えてみろ、俺はお前と違って公式継承者なんだ」

「は、はい………?」

サイは炎の中、構え、叫んだ

「満桜 拳――――」




どごぉっ!!


雷の様な轟音がカナデの炎を切り裂き、カナデに直撃する。

カナデは、10メートル、否、100メートルくらい上で舞っていた。

(やばいっ)

しかし、どうする事も出来なかった。

カナデは、どんっと地面にまっさかさまに落ちた

「流石…です兄さん」

起き上がるにも起き上がれなかった。強く打った右腕も力が入らなかった

これは、脱臼じゃなく骨折だろう。

サイは、ふっと静かに笑ってから、こう言った。

「まぁ、最期に弟と再会出来て良かったなぁ」

「え?最期って何でですか?」











「俺さ―――4日後に死ぬんだ」








「は、はい……?どうゆう事ですかっ…に、兄さん」

カナデは、右腕を押さえ、力を振り絞って訊いた

「だから、俺マジで4日後に殺されるんだ」


10年越しの再会の後の悲しすぎる一言だった

黒い世界 ♯08 才能 

March 18 [Tue], 2008, 15:50


その頃、第一発見者である未乃 カナデは、恐怖のあまり秘密基地を飛び出し、森の切り株に座っていた

(情け無いな…これが兄さんの弟だ。なんて…………)

カナデは、ポケットから、ペンダントを取り出した。写真が仕舞えるペンダントだ

そこには小さい頃のカナデと、もう1人兄らしき少年が写っていた。

それは、10年前、この写真を写した直後に生き別れた兄だった。

(兄さん、無理です。僕には兄さんみたいな人を殺す才能なんて無いんです)

カナデは、はぁーっとため息をついた。

(兄さん……もう1回貴方に会いたいんです。僕には、兄さんのような殺しの才能なんて有りません。しかし――出来る事なら、貴方に勝ちたいんです。兄さん)

カナデは、拳を握り、切り株から立ち上がった。

(もう、皆起きて気づいてるかな…………)

その時、足からジャラリ、と金属音がした。

何だこれ。と見てみるとカナデの足にチェーンが引っ掛かっていた。

チェーンの先には、何個もの指輪が繋がっていた

(こ、これって、もしかして風音 シオンのハートリング?)

少し血に濡れていて、ぞっとした。カナデは、ためしにはめてみた。

リングは、青色に変わった。青色は悲しい。を表す色だった

(悲しみ……か、それに近いかもしれないけど)

カナデは、秘密基地に帰ろうとした。すると強い力で腕が引っ張られた

「お前はゲームの参加者か?」

振り返ると、シオンのようなポンチョで顔が隠れた青年が立っていた

「そうだけ…じゃなくて、そうですけど?」

もしや、シオンの亡霊。と思った。カナデはシオンを殺した訳じゃ無いのに何でだと思った。

その時、カナデは、いつの間にか空を飛んでいた。10メーターは軽いだろう

(あ、アイツ……勢いをつけずに一瞬で、片腕だけで俺を飛ばした!?しかも10メーターも…)

飛んでいる間、何て強肩の持ち主だな、と思った

そして、カナデは、ばたっと地面に叩きつけられた。

普通に痛い。左腕は外れただろう。

「スマンな。少し力が入ってしまった。大丈夫か?」

「だ、大丈夫です。ははは……」

本当は全然大丈夫じゃない。俺は自力で立ち上がり、外れた肩を自分で戻した。

(才能云々じゃなくって、弱いんだ。この脱臼癖が…!!)

「お前…自分で外れた方を治せるんだな。」

「あ…ハイ。小さい頃から脱臼癖がありまして…」

「――――ふぅん………お前、兄貴が居るだろ?」

「えっ…貴方、兄さんの知り合いとか!?」

「兄さん…やっぱりか、」

すると青年は、徐にポンチョを外した。

「まぁ、まさかとは思うが…お前は俺の事は知らないと思うが」

ポンチョが外れたとき、カナデは、はっとした。





「貴方は………兄さん!!!!!!!!!!!!!!!!」



青年の正体は、殺人拳法 未乃拳の28代継承者であり、


未乃 カナデの実兄である――――――未乃 サイだった。