すべて真夜中の恋人たち

March 19 [Mon], 2012, 1:58
という本を、何週間もかけてやっと読んでしまった。

比喩がいっぱい使ってあって、そのひとつひとつが丁寧で美しいのだけれど、
がさつなわたしには、はじめはちょっと綺麗すぎて、すんなり入ってこなかった。

でも、読み進めていくうちに、そして読んでしまった今は、なかなかその世界から抜け出せないでいる。

恋愛小説を読むのはひさしぶりで、それも最初は抵抗があったのだけれど、
劇的な展開があるわけでもなく、淡々と、しかし確実にわたしの琴線に触れていく。
胸が、つまる。

昔、すごくすきなひとがいた。

たぶん、本当にすきだったんだとおもう。

いや、どうだろう。いまとなっては、もうわからないけど。

でも、わたしは何度か、そのひとにすきだと言った。

そのひとは、いつも笑った。

ねえ、つきあうのと、つきあわないのと、どう違うの、ってきいたとき、

それはさ、セックスできるかどうかだよ、って、いつもみたいに笑って言うだけだった。

でもさ、愛情とセックスは別物なんだけどね、とも言った。

なんだそれ、ってわたしも笑った。

わたしたちは、からだをよせあって眠り、顔を近づけて笑いあったけれど、キスさえしなかった。

そのひととは、とてもつまらなくて、でもかなしい、喧嘩別れをした。

あんなにすきでたまらないと思っていて、うまくいかなかったその恋をひきずって、断ち切るときは心臓がつぶれそうだったのに、

やっぱり、時間はそれをうすめていく。
覆っていたするどい棘はすこしずつ溶けて、ふれてもあまりいたくなくなる。

いまでは、可愛い女の子の話も、好きな映画の話も、えげつない男性の実態なんかについても、笑いながら話すけれど、
どうしても埋められない溝が、わたしたちのあいだには、ある。

でも、それでいい。
思い出なのだもの、いまは。

やせてかわいくなって、かっこいい彼氏をゲットするんだ、
なんて女性誌の表紙に踊ってる文句みたいなのを、女の子とは話したりするけれど、
本当はそんなこと、どうでもいいような気がした。

いまでは、わたしも歳をとって、あのひとが言っていたように、
愛情のないセックスも、別にできるけれど、
そんな自分が嫌だとも、思わないけど、

でも、すごくすきなひとがいたこと、
苦しかったけど、いとおしくて、
いっぱい笑って、いっぱい泣いたこと、

そういうことを、
びっくりするぐらいひさしぶりに思い出して、泣きそうになった。

さわっている、って難しいですね
触れているということは、それ以上近づけないということでもあります

何度も何度もあの本の世界に浸って、
記憶を思い出にして、また、出会いたい。
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