待ち受け 

2005年09月26日(月) 22時07分
好きなんです。止められないんです。
ごめんなさい、自分の気持ちなのに。

苦しいほどに彼しか見えない。

彼と泊まった夜、寝ているハズなのに
目を閉じたまま、手探りで私を捜して
ぎゅっと抱きしめてくれる。

普段照れ屋な私は
寝ている彼に、ここぞとばかりに彼にキスをする。
寝ている彼にしかキス出来ないなんて
ちょっと寂しい気もするけど
恥ずかしいんだからしょうがない。

ぎゅっぎゅっと彼を抱きしめると
彼も強く抱きしめ返してくれる。
死んじゃうかもしれないと思うほど
強く抱きしめられて
いっそこのまま死にたいと思うほど幸せ。

彼と離れて、切ないけど
帰る直前、彼の写真を撮らせてもらった。
普段、やっぱり恥ずかしがり屋な私は
寝てる彼の写真しか撮れないから
起きてる彼の、カメラ目線の写真はこれが初めて。
嬉しくて嬉しくて、携帯の待ち受けにしてしまってる(笑)

携帯を開いては、ニヤニヤ。

次に逢えるのは、年末かな。
年末、2人でおせち料理作りにチャレンジしようって約束した。
去年は、彼の家で2人きりで年を越した。
今年は、私の家で2人きりでゆっくりしたい。

やっぱり好き。
ずっとずっと一緒にいたい。

Faust 

2005年07月21日(木) 5時55分
いつか、世界は終わる。
でも、世界よりも早く私が終わる。

だから、私の1日、1日を
一瞬、一瞬を大切にしよう。



先週末、彼が来てくれた。
土曜日の朝着いて、日曜日の夜帰る予定で。

私は彼のために、私の部屋の合い鍵を作った。
もちろん、遠距離だから、
彼がこの鍵を使うことはほとんどない。
でも、なんだか気持ちの問題だった。
この部屋に入れるのは、私と彼だけだという
誓いのような願いを込めて。

土曜日、私の部屋に着いた彼に
用意しておいた合い鍵をプレゼントした。
私のファーストネームと
彼のファミリーネームの
共通点である「K」というイニシャルのキーホルダーを付けて。
彼は軽く喜んで、それを大事そうにお財布にしまった。

この部屋の住所を書いた紙を彼に渡したときも
彼はそれをお財布にいれてた。
どうやら、彼は、大事な物はお財布にいれる習慣みたい。
そして、そのお財布も、今年の彼の誕生日に
私が彼にプレゼントしたものだった。

土曜日、日曜日
特別なことは何もしてないけど、とっても楽しかった。
一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って
同じ布団で一緒に寝た。

夜行バスで疲れて、彼が仮眠をとっている間に
私はシチューを作った。
煮込む間に、時々彼の寝顔を見に布団に行った。
シチューが出来上がってからも
私は彼を起こさずに、そっと彼の隣に寝ころんで
彼の寝顔を眺めたりした。

本当に幸せだった。
この一瞬が、永遠に続けばいいと思った。

目を閉じても、瞑っていても
そこには彼の気配があった。
怖いことなんて、ひとつもないと
不安なんて、ひとつもないと思った。

Faust 

2005年07月21日(木) 5時54分
それなのに、日曜日
急に鬱が来た。
耐えようとしたけど
その波はあっという間に私を飲み込んで
抵抗することすら出来ずに、落ちた。

意志がはっきりしない。
何を考えているのかも分からないほど
頭の中が混乱していた。
もしかしたら、真っ白だったのかもしれない。
誰とも話したくない、誰にも触られたくない。

そんな風になって、私は黙り込んだ。

急に動かなく、喋らなくなった私を
彼が心配して、何か言ってた。

理解しようとすることも出来ず
私は何も聞いてなかった。聞こえなかった。

やっと少し落ち着いたと思った時に
頭の中に彼の声が飛び込んできた。

「なんなん?俺を心配させたいん?」

イライラしているその声に驚いた。

心配させたいわけじゃなくて…

でも、どうしても「鬱だ」という
一言が言えなかった。
何も言えなかった。

黙り込む私の背中に、彼が言った。

「なんでこんなとこまできて
 こんな風にならな、いけんの?」

絶望した。
崖から突き落とされた気がした。

こんなところ

彼は確かにそう言った。

私と彼が2人きりで過ごす部屋、土地。
私にとっては、何よりも大好きで
大切な時間と場所だった。
それを彼がそんな風に表現したことが辛かった。

今まで、これほどまでに彼の前で
鬱になったことはなかった。
今までは必死に隠していたから。
彼に黙って、こっそりと
抗鬱の薬をトイレで飲んだこともあった。

私は彼に指輪を返した。
今度は、彼が黙ってしまった。

「もう、鬱、隠せない。辛い」

私はやっとそう言った。

「それなら、そうと言えば…」

彼が落ち込んでいるのが分かった。
急速に覚醒していく意識。
やらなければいけないことに気付いた。

Faust 

2005年07月21日(木) 5時54分
私は起きあがって、玄関に行った。
彼が追いかけてきて、必死に私を止めようとした。

「夜行バスに間に合うように、うちを出てね。
 渡した鍵は、適当に捨てて」
彼が乗るバスの時間まで、後2時間だった。

私は彼の腕を振り払って、玄関を出た。

小雨が振る外は薄暗く
それでも私は傘を差さずに歩いた。

着替えた彼が、私に追いついた。
こんな風にして彼から逃げて
捕まったのは2度目だと思った。

黙って歩き続ける私の隣を
彼は何事か言いながら一緒に歩いていた。
ほとんどの言葉は、私には聞こえていなかった。

「なんでこんなことするん?」
そう聞こえたので
「じゃあ、こんなことしない子と付き合えば?」
私は冷たくそう言った。
それからも、彼の質問には
「じゃあ、そうじゃない子と付き合えば?」
そう言って返した。

Faust 

2005年07月21日(木) 5時53分
目指していた河原についた。
私は、鍵についていたキーホルダーの人形を外して
雨で増水した川に投げて捨てた。
黄色い鹿のキーホルダーはいつまでもよく見えた。

それは、元カレからもらった物だった。

「なんでそんなことするん?」
彼は明らかに動揺していた。
「捨てたかったから」
私はそう言った。

「あなたといると、『普通』でいられるから嬉しかった。
 あなたは、誰から見ても『普通』の人だから。
 それに合わせて隣に居れば、
 私も普通、になれると思ったの」

部屋に帰りながら彼と話した。

「でも、そんなことして何になるの?
 私、という存在が消えそうで怖い。
 周りに合わせるのって怖い。そう思わない?
 もう、普通じゃなくてもいいから
 私は、私のしたいようにしたい」

彼が言う言葉は、多分殆ど私に届いていなかった。
自分で、何を喋っているのかも分からないくらいだったから。

部屋に帰ってきても
彼は荷物をまとめなかった。

「俺、感情を表すのが下手だから
 上手く表現できなかったけど
 合い鍵を貰ったとき、本当に嬉しかった。
 ヤミは一度、元カレに合い鍵を渡して
 後悔してるから
 俺は絶対、もらえないと思ってた。
 それなのに…」

「こんな中途半端なまま、帰れない。
 学校よりも、今はヤミが大事だから。
 もっとヤミと話さなきゃいけない。
 今夜は市内のホテルに泊まるよ」

そう言った彼。
でも、さすがにそんなことはさせられない。

「じゃあ、今話しをすればいいじゃない。
 一晩中話をすれば、一晩中ここに居られるよ」

でも、私たちは話をせずに
また同じ布団で一緒に寝た。

別れることを決めても
私は彼の事が好きだし、彼も私のことが好きだった。
外された2つの指輪は、テーブルの上に置かれたままだった。

お互いに指輪を外したまんま
一緒にご飯を食べて、一緒に眠った。
朝が来て、昼が来て、夜が来て
それでも私たちは、別れる/別れないについて
何も議論しなかった。

Faust 

2005年07月21日(木) 5時52分
夜になって
彼が帰るまで、後2時間。

前の日と、同じ夜が来た。

「私たち、まだ
 大事なことについて何も話してないよね」
切り出したのは私だった。
そして慌ただしく話し始めた。

でも、私は決心を変えるつもりはなかった。

「私はもう鬱を隠さない。
 普通、を演じるのはやめる。
 やりたいようにやる。
 あなたはきっとそれを理解出来ない。
 もしかしたら、私を嫌うかもしれない。
 いつか嫌われて別れるなら、今別れたい」
これが私の意見だった。

「嫌わないかもしれない。
 ヤミの事で知らないことはまだ沢山あるけど
 それに俺が付いていけないとは限らない」
これが彼の意見だった。

 別れたくない。
 本当は、すべて理解して欲しい。
 鬱も、私の変な癖も全部見て
 それでも私を好きだと言って欲しい。
そしてこれが、私の本音だった。

もうぐちゃぐちゃだった。
彼に嫌われたくない。
でももう、自分を見失うような事は出来ない。
ありのままでいたい。
ありのままの私を、彼に好きだと言って欲しい。
でも、彼に嫌われるのは怖い。

全くの自分の素を彼に見せて
それを「嫌い」だと言われるのが怖かった。

「なら…ヤミ、俺についてくるか?」

彼が決心した風に言った。

「うん…って、え?どういう意味?」

「それは言わない。
 俺は、ヤミの答えを聞いて決める」
「…………
 …………ついていくよ」

私が彼についていくのは簡単だと思った。
彼は私が一番大事で、一番尊敬する人。
もう何を失っても、彼さえ側に居てくれればいいと
いつもそう思っていた。

そう答えた後、私は揺れていた。
バスの時間が迫って
彼は何度も私に最終結論を求めてきた。

でも、その頃には私も、もう
どうしたらいいのか分からなくなっていた。

Faust 

2005年07月21日(木) 5時51分
「もう俺行かなきゃ。
 最後の答えは、メールでいいから教えて」

「さようなら」
も言えないまま、彼は1人で部屋の玄関を出た。
私は伏したまま、彼を泣きながら見送った。

彼がドアを閉めた後
思い切り声を上げて泣いた。
こんな風に泣いたのは、子供の頃以来だった。

一通り泣くと、頭が落ち着いてきて
玄関を出ていく彼の姿を思い出した。

もしかしたら、あれが
最後に見る彼の姿になるかもしれないと思った。
彼は、一度別れた女の子とは
決して連絡を取らない主義の人だから。
そう思うと、これではいけないと思った。

いつか、彼を失うことになるかもしれないけど
それが「今」じゃいけないと思った。
まだ、私は彼に何も伝えていないのに
諦めるのは早すぎると気付いた。

携帯をとって 震える手でメールを打った。

「あなたが、私の病気も、変な癖も
 全部受け止めて付き合ってくれるなら
 あなたと一緒にいたい。
 今夜だけは、私を選んで一緒にいて欲しい」

最後の最後に、しかもメールでしか
本音を言えない自分が悔しかった。



明日彼は学校だということは、勿論分かってた。
その日も、彼は学校を休んで私と居てくれたのに
さらにもう1日欠席しろというのは
聞き入れてもらえるはずのない我が儘だということも
分かってた。

でも、それでも今夜だけは一緒に居て欲しかった。
今まで彼に我が儘を言ったことは一度もなかった。
初めての我が儘が、こんな酷い内容になるとは
まさか思ってなかったけど…
それでも、今夜だけは、どうしても。

私の全部を見る覚悟を決めて
私の気持ちを全部聞いてくれるなら
今夜だけは、時計をとめて
全部を捨てて、
私を選んで
私の側にいて欲しいと思った。

それが無理と言われたら
彼を諦めよう。
もう彼を困らせない。
そう決めた。



携帯に返信が来るのも待たずに
私は家を飛び出した。

Faust 

2005年07月21日(木) 5時51分
タクシーを捕まえたいのに、捕まらない。
イライラして、予約車をほとんど無理矢理止めて
無線で他のタクシーを呼んでもらった。

やっときたタクシーに飛び乗って
彼の夜行バスの乗車駅までトバしてもらった。

彼が居るはずの駅について
あちこちを走り回って探したけど
彼の姿は見つからなかった。
同じ場所を何度も行き来する私を
周りの人が変な風に見ていたけど
まったく気にならなかった。

そんなとき、手に持った携帯が震えた。
「これからも、親のこととか、苦しいことが
 沢山あると思う。
 それでも俺と一緒に居たいと思ってくれるなら
 今夜一晩くらい帰らなくてもいい。
 バス、不乗手続きをしてくる」
そのメールを読み終えて顔を上げると
向こうから歩いてくる彼の姿が見えた。

嬉しかった。

不乗手続きのためにバスを待つベンチで
私と彼は手を繋いで座っていた。

「まさか、来るとは思わなかった。
 まだ、メールも返してなかったのに」
「これが最後になるかもしれないって思ったら
 気付いたらタクシーに乗ってたの。
 私も、まさか本当にもう1日居てくれるとは
 思わなかった」
「普通は、さすがの俺でもしないよ(笑)
 まぁ、我が儘聞きたかった、っていうのもあるし…」
「…ありがとう」

嬉しくて、嬉しくて
その場で泣いてしまいたかった。
彼が好き。
もう自分では絶対に手放せないことに気付いた。
いつか彼に嫌われてしまう日が来るなら
せめてその日まで、彼の隣に居よう。

一瞬一瞬を大事にしたい。
熱い彼の手を握りしめながら
未来でもなく、過去でもなく
私はただ、「今」という瞬間の幸せを感じていた。

Faust 

2005年07月21日(木) 5時50分
そして月曜日の夜、彼がやっと本当に帰ることになった。

バスの乗車場がある駅に向かう電車の中で
「…寂しいよ」
と言った。心からの本音だった。
「連れて行きたい」
彼は何度もそう言った。

「昨日もう、散々言ったから
 今日はもうジタバタしないもん。
 泣かないよ!」
私はそう言って笑った。

でも、彼がバスに乗る直前
「長く居座ってごめんな」
という彼に
「ありがとう…」
と返事をした私の声は
明らかに涙で震えていた。

バスに乗った彼は
席に座らずに、身を乗り出して
バスの正面にいる私を見ていた。

ゆっくりとバスが動き出して
彼が私に手を振った。
私も同じように返した。

バスが行ってしまった後、私もゆっくり歩きながら
駅に向かった。

Faust 

2005年07月21日(木) 5時48分
一瞬一瞬を大事にしよう。
いつ来るか分からない未来を先読みしすぎて
今大事なことを振り払うなんて
馬鹿なことは、もう考えない。

「今」が続いて、未来が来る。

これからも、きっと彼を困らせる。
私の感情の波はとても大きくて
私自身まで、全部飲み込んでしまうほど激しい。
でも、1日1日、自分の思うように努力しながら過ごしていれば
いつかはその波も、ある程度自分でコントロール出来るようになれるはず。

彼のためではなく、私は私のために生きよう。
いつか彼に嫌われる日が来ても
その日までは彼と一緒にいられるし。

私は、世界よりも早く消える。

それなら、私は私自身の完結を目指さなければ。
でも、すべては1人きりじゃ完結しないことくらい
私でも分かってる。
私と、私の世界を共有する誰か。
それが彼かどうかは分からないけど
きっとそうであればいいと思う。
私は私なりに生きて努力し
私自身の瞬間を大切にすれば
いつかその答えは出る。

努力しよう。


  そうだ、おれはこの精神に一身を捧げる。
  知恵の最後の結論はこういうことになる。
  自由も生活も、日ごとにこれを戦いとってこそ、
  これを享受するに価する人間といえるのだ、と。
  従って、ここでは子供も大人も老人も、
  危険にとりまかれながら、
  有為な年月を送るのだ。
  おれもそのような群衆をながめ、
  自由な土地に自由な民と共に住みたい。
  そうなったら、瞬間に向かってこう呼びかけてもよかろう、
  留まれ、お前はいかにも美しいと。
  この世におけるおれの生涯の痕跡は
  幾千代を経ても滅びはすまい。
  このような高い幸福を予感しながら
  おれはいま最高の瞬間を味わうのだ。

     (ゲーテ作「ファウスト」p462 10lより抜粋)
P R
ヤミ
好きな色*ピンク・紫
好きな花*赤い薔薇
煙草*LUCIA
大学*近代哲学専攻



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