引越し 

April 16 [Thu], 2009, 22:16
この度、ヤプログからアメーバブログに引越しをいたしました。


続きはこちらからどうぞ。 
     ↓
コーン卿の妄想御伽草子

フォルトゥーナの鐘 

January 23 [Fri], 2009, 12:47
その山に入るのならば、鐘の音に気をつけなさい。
もしその音を聞いてしまったのなら、あなたは神に試される事になるでしょう。



洞窟に入ってから3日が過ぎていました。
最初は元気にはしゃいでいたソラも、目が覚めてからほとんど口を開かなくなりました。
伝説では英雄バルディウスは2日で洞窟を駆け抜けたとされていますが
線の細い青年と小さな子供の足取りでは、なかなか思うように進めません。
むしろこの暗闇では本当に進んでいるのかという疑問さえ湧いてきます。
小さな松明の灯りはあっという間に闇に吸い込まれ、足元を照らすのが精一杯。
それでも2人は寄り添うように一歩一歩確実に、前に進んでいくのでした。

ふと、頼りないオレンシ゛の灯りが揺らいだように見えたのは
幾度目かの休憩を終えてすぐのことでした。

光に釣られて顔を上げたルキウスが見たものは
うっすらと、しかし確かな存在感をもって暗闇を切り裂く一筋の白い光の帯。


ゴウ

そして微かに耳届いたものは、風の音に聞こえました。

「おにいちゃん、耳が痛い」

ルキウスが光の帯を不振に思う間も無くソラがそんなことを言い出しました。

「ソラ?」

急に起こった小さな変化は、たちまち2人を飲み込みます。

「耳が痛い」

ソラは耳を押さえてしゃがみこんでしまいました。
ルキウスが慌ててソラを抱え込みます。
その小さな体を庇う様にマントで包み込んだ時には
既に目の前に光の帯が迫っていました。



おいで



ゴォウ


「おにいちゃん、何かくるよ。」

「ソラ、目を瞑って。けして開けてはいけないよ。」

確かに音が聞こえるのに、2人の元にはそよ風すら届いていません。



おいで


ウォォォ


「おにいちゃん、じめんがゆれてるよ。」

「ソラ、僕にしっかり捕まって。けして動いてはいけなよ。」

それはあっという間に音と呼べる物ではなくなってしまいました。



さあ おいで



ォォォォオオオオ


「おにいちゃん、こわい!いやだ!やだよ!」

「ソラ!」




さあ 手を伸ばして 開きなさい   その扉を



オオオオオオオオオオオオオオ


その振動が洞窟全体を駆け抜けた時、
全てのものが2人の目の前から消えてなくなってしまいました。





ガァン ガラァン ガラァン

真っ白な世界が全てを支配し、2人の耳には遥か遠くに響く音が届きます。
刹那の時間に聞こえた音は村に正午を伝える鐘の音のようにも聞こえました。












運命の女神フォルトゥーナ

気紛れな彼女が鳴らす右手の鐘は運命の扉を開く鍵

左手に持つ天秤には、どちらに傾くとも知れない未来をのせて

彼女は悠然と微笑んでいる

彼らの運命は、いったいどちらに傾くのだろう








その山に入るなら鐘の音に気を付けなさい。
さあ、あなたにもフォルトゥーナのご加護がありますように。

鍵守フィリシオスの曾孫 フィリポス・グロシーの証言 

January 15 [Thu], 2009, 20:58
だから
何度も言うように突然やってきたんだ。
俺はなにも知らない。
会うのも初めてだし、名前を聞いた事もなかった。
あいつが誰だろうと俺には関係ないだろ。

は?

まぁ、本人がそう名乗ったからな。
一応それらしい印も見たし、
別に俺にとっては本物かどうかなんてどうでもいいし。

だから、俺はなにも知らないし、聞いてもないって。

大体、突然押しかけてきて飯食わせろだのベッドを貸せだの
迷惑極まりない上に、馬を王都に届けろとか
どれだけ厚かましいんだよ。

当然、あんた達が届けてくれるんだろうな、あれ。
荷車の中はわけの分からない荷物で一杯だ。

はぁ?

何で俺が王都に行かなきゃなんないんだ。

ああ〜、もういい加減にいてくれよ。
まったく、宮廷に関わるとろくな事がない。

はいはい、行けばいいんだろ。
当然旅費はでるんだろうな。

あんた達も追いかけるなら早く行けば?

まあ、本当にヤツが本物の魔導師で、あの伝説が実話だっていうなら
今更追いかけても間に合わないだろうけど。

さあね〜
大体、俺はあんな伝説信じてないし。

あたりまえだろ。

あんな爺さん達が子供に聞かせる夢物語。
子供の頃でさえあれが御伽噺だって分かってたさ。
その伝説の鍵が家にあるって言われてもなぁ。

ほら、追いかけるならさっさと行けよ。

なんか小さい子供を連れていたし、
案外まだその辺をうろうろしているかもしれないぜ。

だから、知らないよ。

小さい、そうだな5,6歳か・・・もう少し上か、そのぐらいの男の子だよ。
カイト、と呼んでたかな。
ほとんどしゃべらなかったし、おとなしい子だったよ。

ああ、もういいだろ。

王都に行くならそれなりの準備がいるんだ。
無事に届けて欲しいならこれ以上邪魔するなよ。

さあ、いったいった。
もう来るなよ!

彫金職人の孫 カイトの日記 24 

September 27 [Sat], 2008, 21:40
どうくつの中に来てしまった。
やっぱりどうくつの中はうすぐらくて寒くていいところじゃない。
ルークはなんだか楽しそうだけど、ぼくはあまり楽しいと思わなかった。
ルークにちゃんと2人に別れられたら何をするのか聞かれた。
始めはぐに村に帰っておじいさんのところで修行したいと思っていたけど、
旅に出て何枚かスケッチできたから、もう少し色々見てみたいかもしれないと思った。
村にある花はすごくしゅるいが少ないということが分かったし、
大きい町にはいろんなお店があって、ちょうきんをする人もたくさんいる。
おじいさんは色んなことを知っているから、
きっと色んな町に行ったことがあるんだと思う。
ぼくももっといろんなところに行きたいかもしれない。
でも約束もあるしどうしよう。
ソラはどうするんだろう?
アカネにあやまったらゆるしてもらえるかな?
おじいさんがはやくお父さんとなかなおりしたらいいのにな。

パン屋の息子 ソラの日記 24 

September 26 [Fri], 2008, 21:24
晴れ

今日はどうくつの探検をした。
おにいちゃんはやっぱりすごいまほう使いだ。
カベにはなにもなかったのに、きゅうにどうくつの入り口になった。
さいしょは中はまっくらだったけど、おにいちゃんがじゅもんをいうと
いろんなところが明るくなった。
どうくつの中はとがっている所がたくさんあってすごく寒い。
そしてすごくしめっていてぬれている。
ここにはオッカーは入れないから、
昨日の小さいおにいさんの所であずかってもらった。
おとうさんによんでもらった本の話はほんとうだった。
ほんとうにどうくつがあったもん。
やっぱり大きなかいじゅうがいるのかな?
おにいちゃんはすごいまほうつかいだから
かいじゅうが出て来てもだいじょうぶだよね。
どうくつはすごくさむいし、とがった岩ばかりだから
ねるのがたいへんだけど、おにいちゃんが炭をいれた
カイロを作ってくれた。

鍵の守人 

September 11 [Thu], 2008, 23:13
争いの後、人々は良き王に恵まれた。
すべらかに国は整い、時は穏やかに過ぎていく。
神々が持つ幾千年の時間に比べ、人の寿命はあまりに儚くもろい。
たった数十年の時間を補うように、親から子へ、そして孫へ、
あらゆる知恵が御伽噺や神話として語り継がれていく。

たった150年ほど前の出来事
しかしすでに神話となったその話を本当に信じている者が幾人いよう?
ましてや実際に神話に出てくる洞窟に入ろうという者など
いるはずも無かったのである。



「何か御用ですか?」

重い木の扉から現れた青年は、まさに当時の彼そのものに見えた。
家も、庭も、森も、山も、昔となんら変わりなく
煙突から立ち上る煙まで、記憶の奥底に沈んでいた景色を蘇らせる。

雪に埋もれるように建つレンガの家。
大きな目の小さな青年。
色褪せるほど古い記憶は、もう誰のものだったのかも思い出せない。

「・・・・フィル」

思わず懐かしい名をつぶやいたのは、きっと自分ではないだろう。


「えっと、どちら様ですか?」

名前を呼ばれたことに少し警戒したのか、彼の声は硬いものだった。

「君は・・・・本当にフィルなのか?」

彼がフィルという呼びかけを否定しなかった事に驚いた。
そんなはずは無い、あれはもう・・・・・・思い出せないほど昔の事だ。

「ええ、そうですが?どちら様?」

「そんなはずは・・・君は、いったい・・・・」

呆然と彼の前に立つルキウスに、フィルはいっそう怪訝な顔をしてみせた。
眉間にしわを寄せたフィルの表情に、ふと違和感を感じる。

彼は・・・・違う。

そうだ、少し冷静になれば分かる事だ。
この家に住んでいるのだから、それが普通の事だろう。

「君は、フィリシオス・グロシーの血縁者、だね。」

「え?ええ。フィリシオスはぼくの曽祖父ですが・・・・お知り合い、ではないですよね?」

自分が生れる前に亡くなった曾お爺さんと、この目の前のえらく整った容姿の青年が
友人だったはずは無く、フィルの警戒心はますます高まっていく。

「はじめまして。ぼくは宮廷魔導師ブリテリセウス様の弟子、ルキウス」

剣呑な表情の青年になぜか嬉しそうな笑みを返し、
ルキウスは爽やかに自己紹介をしたのだった。

クローティウス神話 

September 02 [Tue], 2008, 1:43
今からもう随分と昔の話
古くからこの地に住まうユートリア人と
西から渡って来たダホダ人の間で
大きな争いが起こりました。
突然その地に現れたダホダ人は
言葉も交わさず刃を持って
ユートリアの村々を駆け抜けました。
ダホダ人のあまりの残忍さに
ユートリアの英雄バルディウスも
ついに山脈のふもとに追い詰められてしまいました。
ダホダの野党達が目前に迫ろうと言う時
バルディウスは自らの片耳を切り落として空へと掲げ
この地に住む全ての神に祈りました。
すると残された耳より神クローティウスの声が響き
バルディウスとその部下達は山脈の体内へと導かれていきました。
バルディウス一行は山脈の中を2日間歩き続け
ついには山脈の東側
まだ誰も踏み入れたことの無い新しい地にたどり着きました。
突然消えたバルディウスを血眼になって探すダホダ人を
クローティウスの導きをもって攻め立てたバルディウスは
ついにダホダ人を元いた西の地に追い払ったのでした。
その後山脈を超えるための安全な道と
新しい地を手に入れたユートリアの英雄バルディウスは
神に教わった洞穴の出口に城を建て
新しい地に新しい国を造り
自らがその国の王となりました。
そして全てのユートリア人の未来を救った神クローティウスに感謝して
城を守る山々をクローティウス山脈と名付け
洞穴の入り口に守人を置いてクローティウスを祀ったのでした。

彫金職人の孫 カイトの日記 23 

August 30 [Sat], 2008, 14:57
くもり

今日はルークの知り合いの家に泊まった。
ルークは知り合いだといったのに、その人が家から出てくると
すごくおどろいていていた。
知り合いって言ったのになんであんなにびっくりしたんだろう?
こんな誰もいないところに住んでいてさみしくないのかな?
家の周りはまっくらな森で、その向こうにおおきな山があって
明日はあの山に行く。
ルークの知り合いはすごく背が低くて、ぼくとかわらないぐらいで
なんだか子供みたいだった。
鳥のシチューはおいしかったけど、その人はずっと怒っているみたいだった。
ルークは仲良くしたいみたいだったけど、その人にきらわれちゃったみたいだ。
ぼくには優しくしてくれるから、早くルークと仲直りできるといいな。

ルキウスの名案 

August 05 [Tue], 2008, 22:50

そうだ、そうだ、思い出した。

たしかこの辺りだった。

ああ、随分昔の事だからなぁ。

すっかり忘れていた。

うん、ちょっと危ない橋ではあるけれど、まあ、なんとかなるだろう。

そういえば、鍵はどこにあるだろう?

まだ彼が持っているのかな?

はは、さすがにもういないよね。

う〜ん・・・・鍵がないとちょっとめんどうかなぁ・・・

たしかふもとに住んでいたはずだ。

とりあえずそこに行ってみるしかないな。

なにか手がかりでもあればいいけど。



もう何年になるかなぁ。

昔過ぎて思い出せないよ。

誰も覚えていないかもね。

それじゃあ意味がないんだけどさ。

まさか塞がってたりしなよな。

はは、こんなところで役に立つなんて。

あ、でもあっちできっと怒られるなぁ。

・・・・・・

まぁ、なんとかなるだろ。





さ、見えてきたぞ。

クローティウス山脈だ。

ルキウスの考察  

July 06 [Sun], 2008, 13:01
一向は森の中を静かに進む。
さほど大きくもないホロつき馬車でも、潜り抜けるのがやっとの獣道。
あきらかに街道ではないその細い道は示すものは、
旅にはありがちなちょっとしたトラブル。

「う〜ん、これはちょっと困ったかな」

まったく困ってなさそうな調子で道に迷った事を告げるルキウスに、
いささか呆れ顔のカイトを乗せて、オッカーはゆっくりゆっくり雪を掻く。
祭囃子に釣られてずいぶんと森の奥に入ってしまった。
もと来た道が小規模の雪崩でふさがった事による回り道も手伝って
すっかり道に迷ってしまったようだった。
本来なら元の街道に戻ろうと躍起になって道を探し回るところであろうが、
むしろ楽しそうにさえ見えるルキウスの様子に、慎重で少し臆病なカイトも
なぜか妙な安心感をもってこの事態を受け止めていた。
しかし・・・

・・・・さすがにちょっとまずいな。

カイトには楽しそうにさえ聞こえたルキウスの声音であったが、
実際の心中は、実はその言葉どうりのものだった。
雪深い森の中。
もちろん現在向かっている方角や街道の位置などは把握しているものの、
次の街までの道順としてはかなりの遠回をしなければならない。
季節外れの強行軍では、食料などの余分な用意も出来ていない。
それに、ルキウスが一番気になっているのはカイトとソラの様子だった。

ちょっとのんびりし過ぎたな。流石に王都までは遠かったか・・・・

ソラとカイト。
1つの体に2人の少年。
分かれていく家族の心を繋ぎ止める為、2人になった1人の子供。

ルキウスはその子に別々の体を用意すると約束し、2人を連れて旅に出た。
旅を始めて2ヶ月、ルキウスは新たな問題に気が付いた。

家族の元を離れた2人の少年は、同時に2人である理由を失った。

少しずつ少しずつ、2人の幼児化が進んでいる。
好み、感情、言葉使い。
このまま進んだ先に何があるのか、今はまだ分からない。
しかしこのままぐずぐずしていれば、ルキウスが望んでいる結果にはならないだろう。

さて、どうしたものか・・・・

オッカーの手綱をさばきつつ、ルキウスの頭はめまぐるしく回転していた。
もう、後戻りは出来ない。
回りだした歯車は、有無を言わせずルキウスを突き動かしている。

・・・・春はまだ遠いな

雪に埋もれた森を見ながら、全てを放り出してきた彼の地に思いを馳せた。
しかしそれも一瞬の事。
さらにめまぐるしく今後についての対策を頭の中ではじき出しながら、
少しでもこの遅れを取り戻どそうと、握った手綱をしならせてオッカーに激を送った。

P R
プロフィール
  • アイコン画像 ニックネーム:pi-ta-ko-nn
読者になる
2009年04月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
最新コメント
アイコン画像ピーター・コーン
» パン屋の息子 ソラの日記 19 (2008年04月10日)
アイコン画像ややこ
» パン屋の息子 ソラの日記 19 (2008年04月09日)
アイコン画像ピーター・コーン
» 馬車引き馬 オッカー (2008年03月12日)
アイコン画像こやま
» 馬車引き馬 オッカー (2008年03月12日)
アイコン画像こやま
» 彫金職人の孫 カイトの日記 15 (2008年02月17日)
アイコン画像ピーター・コーン
» 始まりの果実 (2008年02月10日)
アイコン画像こやま
» 始まりの果実 (2008年02月09日)
アイコン画像ピーター・コーン
» 神様の音 (2008年01月30日)
アイコン画像びいどろ小山こいし
» 神様の音 (2008年01月29日)
アイコン画像ピーター
» クィエースの祭り (2008年01月17日)
カテゴリアーカイブ