うみのうま
June 07 [Sun], 2009, 12:40
私は海馬に戻って、海を泳いだ。沖の漁船を追い越し、水平線の彼方まで勢いをつけて走った。
いくつもの夜と昼を走り過ぎた、四人目の子供が北の海に漂っているのを、走りながら見た。
子供の笑い声が、耳もとに響いた。
私はそのまま走りつづけた。昼も夜も尽きるところをめざして、どこまでも、走りつづけた。
『竜宮』川上弘美、文藝春秋社(文春文庫)、p220
**********************************************
短編集。最後の作品である「海馬」の締めの文。
この開放感というか、果てしない自由さの表現と、私の波長は合うようだ。
最初に読んだ時は目から水があふれて止まらなかった。
海馬は、人間社会になじんで暮らしている海の生き物で、人間の女性の姿をとっている。
何人もの人間の主人次から次へと譲り渡され、所有されていた彼女が、海に還る場面。
束縛から自由へ。どこまでも。
人間の現実と願望を暗喩しているようで、うすら寒くなる。
いくつもの夜と昼を走り過ぎた、四人目の子供が北の海に漂っているのを、走りながら見た。
子供の笑い声が、耳もとに響いた。
私はそのまま走りつづけた。昼も夜も尽きるところをめざして、どこまでも、走りつづけた。
『竜宮』川上弘美、文藝春秋社(文春文庫)、p220
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短編集。最後の作品である「海馬」の締めの文。
この開放感というか、果てしない自由さの表現と、私の波長は合うようだ。
最初に読んだ時は目から水があふれて止まらなかった。
海馬は、人間社会になじんで暮らしている海の生き物で、人間の女性の姿をとっている。
何人もの人間の主人次から次へと譲り渡され、所有されていた彼女が、海に還る場面。
束縛から自由へ。どこまでも。
人間の現実と願望を暗喩しているようで、うすら寒くなる。
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