価値を決めるのは・・・・神でも国でもない個人の思考 

October 01 [Mon], 2007, 15:11
 300,000
 この数字を見てどう思いますか。

 
 「・・・・・・・・」
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 薄暗く狭い部屋に満たされた嗅ぎなれない臭い。抵抗もむなしくここに連れて犬たちが吠えている。犬種がわからないくらいに汚れた犬、しっかりと手入れがされていた形跡のある流行の犬、怪我をしているが飼い主がいるのではないかと思われる犬もいる。首にしている青いチェックの首輪もまだ新しい。

係員:「今日もこんなにいるのか。うらまんでくれよ。」

 言葉とは反対に、中年の係員はまるで近所の風景を見ているかのような目で、この異様な状況をみている。人間の感情とは不思議なもので、どんな状況でも順応ができてしまう。例えいくつもの命を奪うとしても。
 少しずつ、部屋には嗅ぎなれない臭いが充満していく。「苦しくはないはず」・・・・・そんなことはわかる訳がない。そこにいるのは自分ではない。自分の運命を悲しむ余裕さえ与えられない犬たちしかいないのだから。まぁ、犬たちがこの状況を理解しているかもわからない。少なくと野生のカンとでもいいうのか、死というものには敏感なはずだ。

係員:「さて、終わったかな。」

 犬たちの声は、だいぶ前からしなくなっていた。係員はぶつぶついいながら、手馴れた感じで作業を始めた。遠くの方から、テレビのワーワーという音がうっすらと聞こえてきた。



仔犬:「きゃんきゃん」
浜田:「ふぅ、やっと産まれたか。今年、2度目の出産だが、まともじゃないか。」
 
 ここは長野県にある古い厩舎である。かろうじて、雨風を防ぐことができる程度の壊れかけた厩舎だ。掃除もされていないのか、汚物の臭いが鼻につく。そんな中、ミニチュアダックスの仔犬が5匹産まれたばかりである。それを、満足気に見下ろしてはいるが、どこか不機嫌なかっ幅のいい30代後半の男がいる。

浜田:「こっちは、もうだめか。」
浜田:「おーい、菅原!!こいつはもうだめだ。」
菅原:「わかりました。いつものとこに持ってときます。」

 5匹の仔犬が鳴いている横で、母犬と思われるミニチュアダックスが呼吸を荒げている。菅原と呼ばれた細身の男は、母犬に群がる仔犬を押しのけ、母犬をダンボールへ移すと外へ連れ出した。外はまだ3月なのでだいぶ寒い。息が白く舞い上がる中、大きな穴の側でダンボールを置いた。菅原は細いがしっかりとした肉付きの手を、母犬の頭と首に固定し、勢いよく・・・・・・



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