イン・ザ・プール 

2004年12月27日(月) 0時58分
総合:★★★ 水瀬:★★
奥田英朗著。文藝春秋。

話題の本を読もう企画。直木賞の「空中ブランコ」と同シリーズの1巻目です。
奥田さんの小説を読むこと自体が始めてだったのですが、これまでの作品群からして短編ミステリみたいなものだと思っていたんで…騙されました。。まんまと。
これは現代の病理を面白おかしく書いた社会派コメディなんですよ!
そういう意味では非常に評価できるし、面白い。キーパーソンの精神科医伊良部に読者は全く共感できないところ、好きになれないところなんかがとっても上手い、ありえないけど、きっとある…そんな世界を描き出してくれています。
でも、要は逆にそんな話なので感動したり思い切りハマったりはできません。
私のトップクラスで好きな小説と比べてこれが良いとはとても言えませんし。
でも、下手なエッセイ読むより面白いし、ずっと現代の真実が描かれている、そんな気はしますね。

銃姫 1 

2004年12月25日(土) 0時47分
総合:★★ 水瀬:★+α
高殿円著。MF文庫J。

人気・注目作品を読む企画の一環。打倒電撃な感じで頑張ってるMF文庫Jが特に推している作品の一つ、銃姫を読んでみました。元々、イラストがエナミカツミさんだったので気にはなっていましたし。
評価もこんなんなんでまず結論、題材は良いけど1巻そのものは非常につまらない。
文章はお世辞にも上手くないです。作者女なのに全体のギャグとかのノリはめっさ男性向けですし。別にそれは良いとしても、のめりこめる作品ではないです。
題材とか世界観は気になるし、何しろイラストが良いので(ライトノベルでは非常に重要)、2巻もとりあえず読んでみるかなーとは思いますが、かなり期待外れだったことは間違えないです。
最初から長編になることを前提に伏線貼るのは良いですけど、読者には関係無いし、絶対にその伏線が消化される保障もないのに無茶な話回しだし、とにかく男性向けを狙いすぎな展開は本編の軸とは合ってない。これが学園モノならともかく、これでは何を伝えたいのかわからない。強いえて言えば、最後のシーンはお約束なりに良かったってぐらいかな?
とりあえず次の巻が面白くないと売ること決定ですね。

アニメのノベル化以外では初めて読んだMF文庫J。やっぱメディアファクトリー文庫ヤングって意味なんですか???

有限と微小のパン 

2004年12月22日(水) 17時48分
総合:★★ 水瀬:★★
森博嗣著。講談社文庫。S&Mシリーズ10作目第1期完結編。

何気に読み逃していたS&Mのラストの話を読みました。
最初は森ミステリとしてはかなり分厚いなーとビビッていたのですが、さすがは森作品、読み出すとサラリと読めてしまいます。純文学の評価できる文章とは違うものの、読みやすく杯ってきやすい文章というのもとても大事な要素であると思います。やはり、この方は上手い。

作品はさすがにひとまずシリーズの最終巻としただけあって某博士と助教授が再会、ひたすらそこに尽きる話です。
だからでしょうか、シリーズとして楽しんでる人以外はあまり面白くはないように思います。
ミステリとしてのネタも悪くはないけど、これって一種の最近流行のメタに近いじゃんとすら感じてしまう。。森ミステリならではの理系トリック要素があまりないような…逆に機械や理系話を本編ですることで全体を胡乱にした感じでした。
ミステリ作家は異邦の騎士しかり、暗黒館しかり、くぎりくぎりでこういう話を書きたくものなのでしょうか。やや疑問に思う点ですね。
確かにこういう話があることでミステリが一つの哲学的ストーリーをもった小説であると考えられるのは確かですが。

棚から哲学 

2004年12月20日(月) 2時05分
総合:★★★ 水瀬:★+α(人によっては満点じゃないかな)
文藝春秋。土屋賢ニ著。

週間文春でずっとコラムを書いている、お茶大の哲学科教授、土屋先生の1冊。
この方はブラックユーモアと親父ギャグの境界線を上手く渡っている方でなかなか鋭く、面白いことを書く人だと思います。
それにしても卑屈。けっこう鋭いことを言ってるんだけど、実はその文章自体が突っ込み所があるんです、実は。これは著者がわざとやっていることなので中々凄いですよね。

ただし、1冊の本として読むと結構イライラしたりムカついたりします。
同じことを何回も書いてたり、そのあまりにも胡散臭いキャラに対して。
文春で1P連載するのに最も適した形で本人を面白おかしく書いているので、何度と無く同じことを言うし、基本的なキャラクターが漫画のうように誇張されているわけです。
たまにクスクスと笑うのに開くと丁度良くて、集中して読む本ではないかなーと思います。

トモガラのエン〜THE RELATION〜 

2004年12月18日(土) 1時57分
総合:★★ 水瀬:★★★
榊一郎著。富士見ファンタジア文庫。ストレイト・ジャケットシリーズ。

私が唯一買っている富士見ファンタジア文庫、ストレイト・ジャケットシリーズの番外編でフラグメント01と銘打たれています。
ストジャの魅力はあくなき著者の設定フェチと私の一番ツボにくるキャラクター(カペル)の存在なので、ストジャシリーズにこれまでハズレは全くありません。設定がマニアックで、それを具現する筆力のある作家のシリーズの場合は割と波がないことが多いです。
ただし、この新作に関して言えば完全に閑話、つまり番外編にあたるので、ストジャのシリアスさや本編の流れを期待するとどうしてもこじんまりとした印象になります。
特にこの番外編はある新キャラクターが軸で進むのですが…確かに間違えなく良い子です。とっても好感が持てます。。けれども、カペル至上の私からすればまた邪魔が…と思ってしまうと。本編から関係ない分、余分によういう印象を受けます。

著者は今のところストジャは1年に1冊くらいみたいなので、早く!早く!!本編をと渇望してるので、番外編を含んでも1年に2冊になるなら嬉しいんですけども。。番外編込みで1年1冊だったら泣きます。

六人の超音波科学者 

2004年12月16日(木) 3時54分
総合:★★★ 水瀬:★★★
講談社文庫。森博嗣著。Vシリーズ7作目?

常に面白い森ミステリです。Vシリーズの文庫最新刊で、相変らずわけのわからん学者がいっぱい出てきます。これだけ登場人物がキャラクター化されてて、漫画っぽいのにも関わらず森氏以降のパズルかアニメ脚本を読まされているような不快な作家と違って森ミステリは文章が読みやすく小説として非常にデキが良いと思います。
世の中てきにはS&Mシリーズのが人気なんですかね。私はこのVシリーズの方が登場人物がよりキャラクタライズされているのに、どこか人間味があって好きです。

事件に関してはミステリなので詳細には触れませんが、やっぱりな感じ。
基本的に森ミステリは中盤くらいで犯人が分かります。逆に犯人が分からなかったら、そーゆー結果です。今回も例にも漏れず、そーだろうねってネタでした。でもそこまでの過程が上手く書けていればメタなトリックを使って騙されるよりはよっぽど楽しく読めるものです。
今回はもうタイトルそのまんまの登場人物ですし。
もう少し、捻ったネタでも良かったけれど、この設定で捻るともの凄く長くなりそうです。
保呂草さんの活躍が見たい・紫子さんと練無っちはくっつかないのかとか突っ込み所はありつつもこのシリーズ面白いんですよ。
まあ、シリーズの中ではあんまりにも平板なネタだったので、一応平均点評価にしました。

水曜の朝、午前三時 

2004年12月15日(水) 2時28分
総合:★★★+α 水瀬:★★★
蓮見圭一著。新潮社。
少し前の2001年発行ではあるものの、最近(私の中では2000年以降)話題の作品を読もう企画第…3弾?で読了。と、言うかこのぐらい前だとちょうど文庫になってたりなってなかったり、古本屋で安くなってたりのギリギリのラインなんだと思います。

実は全くジャンルを知らない状態で読みました。タイトルや装丁も雰囲気はあるけど、どういう話なのか全く分からなかったですし。(売れてたのだけ覚えてた)
結局、恋愛モノになると思うんですけど、何と言うか物凄く綺麗な話でした。
はっきり言って、私は恋愛小説が苦手です。嫌いかもって言えると思います。
ドロドロしてたり、誰かの欲望を夢見がちに語られても嫌悪しか沸かないのです。
(行き過ぎと思われてもミステリにおける殺人と正義感衝動の方がよっぽど分かりやすいとすら思ってしまいます)
この本は非常に落ち着いた内容です。
そのほとんどが回想なのですが、その回想に持っていく主人公の娘婿の設定とかがこの作品の良さだと思います。生々しさや、ドロドロした感情がないわけではないのです。それでも、この作家さんの表現は暖かくて、人間味という言葉に近い「生」だと思います。

小説として細かく分析するとやや回想に至るキャラクターの説明や設定不足が不備のように感じられる部分も多いことは多いです。私自信、首を傾げるところもあったので、全員が気に入るとも思えません。ただ、何だか懐かしい雰囲気を味わいたい人には良いかもしれません。

折りしも、もうすぐ万博です。
万博を前に、読む本のない方はこれを読むことをオススメしたいと思います。

黄色い目をした猫の幸せ 

2004年12月13日(月) 2時17分
総合:★★ 水瀬:★★★
高里椎奈著。講談社NOVELS。薬屋探偵妖綺談シリーズ2作。
何故か文庫になってくれない講談社ミステリのシリーズ第2作。
何年も前に1作目は読んでいて、文庫になったら集めよーと思っていたのに、全く気配がなく、古本屋で見かけたので2作目を衝動的に購入。

講談社のミステリーと言っても、ライトノベルと言って良いかと思います。
凄い良くできたヤングアダルト小説ですね。
キャラクター設定が若い女の子向けで、例にも漏れず水瀬も秋さんとザギさんに夢中です。
それでいて、しっかりとミステリーなのです。つまり、妖怪モノとしてはいるものの、事件の解決の鍵に魔術や妖怪変化を使うような手段に出ることはありませんし、また、ミステリだからと言って、文章がパズルめいてたりもせず、上級のライトノベルファンタジーのように話も文章全体も非常に読みやすいです。
普通にライトノベルが好きか、軽い目のミステリが好きならシリーズとしてハマるの間違えなしだと思います。

この2作目に難を言えば、やや解決のオチがね。。妖怪云々に頼ってはいないものの、私としてはこのオチ自体は好みでなかった。
解決編にいくまでの展開がミステリとは別に面白いだけに逆に残念。
でも、この後も集めてしまう可能性大のシリーズです。

本当に、どうして文庫にならないのだろう。。
(高里さんより後のメフィスト賞受賞作品も文庫になってるのに)

FINE DAYS 

2004年12月11日(土) 2時06分
総合:★★★★ 水瀬:★★★
本多孝好著。祥伝社。
「MISSING」に引き続き、最近話題の作家本多氏の本を読んでみました。
むしろ、この本が本多ブームの核ですよね。

で、結論としては評価の通りです。短編作家として、当代一のモノを持っているのではないでしょうか。本当に良くできているという印象。
話としてはミステリでデビューしている人なので、多少のミステリーやホラー要素があるものの、概ねは恋愛モノと言える4作。
単なるバラの作品集と言っても、作風や雰囲気は全く損ねていないので、本全体の雰囲気も良いです。全体としてセピアな印象が強いかな。
内容には関係ないけれど、装丁フェチの水瀬もお気に入りのトレペ仕様のカバーも良いかと思います。
私は基本的に連作であっても長編思考なので、この本がベストワンにくるってことは絶対にないです。申し訳ないけれど、断言できます。
でもこれは難では全くないと思います。面白い本かと言われたら間違いなくYES。
図書館とかで勧めたい感じですね。

私の主観的なオススメは「FINE DAYS」と「眠りのための暖かな場所」かな。
小説としては「イエスタデイズ」が最も完成度が高いと思います。
とにかく、サラっと読みやすい文章な上に、センスの良いミステリーが配置されているので、読書初心者・ミステリ好き…はたまた恋愛モノ好きなんて人にも良いかと思います。

bU(ナンバーシックス) ♯3 

2004年12月09日(木) 1時10分
総合:★★ 水瀬:★★★
あさのあつこ著、講談社YA!ENTERTAINMENT

話題のあさのあつこさん作品の最新刊。注文してた本が届いたので早速読みました。
相変らず面白い。話の筋はよくできてるし、新しいキャラクターも気になる。
けれど、この巻はどうしてもあんまり高い評価はできませんね。
ファンタジー読みなれてる人間には2巻を読んでいれば半分以上想像のつく展開で、珍しいこともあんまり起こらなかったという印象。
少し、場つなぎかな?4巻に引きがあるかな…とは思うので次巻に期待です。

それにしても益々、子供向けとは言えない展開になってきたんだけども、これ児童書…ってことで良いのか??
ヤングアダルトって言葉も便利に適当に使われてるけど、出版社やメディアは少し考えて使うべきなんじゃないのかな。
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