夏の立ち食いそば

August 23 [Mon], 2010, 20:14
立ち食いそば、という食い物は不思議だ。
駅構内またはホームの片隅の僅かなスペースで、小さくなって立ったままそそくさとかっ食らうというジャンク度ではトップクラスの食い物でありながら、妙にクラスレスな感じがする。
昼間からワンカップ飲んじゃってるオサンの隣で、エリート風サラリーマンがブリーフケース小脇にズルズルとそばを食っていても不思議と違和感が無い。
立ち食いそばの空間が人種・性別・年齢などを超越した完全に個の集合体となっていて、日本で一番ピースプルな空間なんじゃないかと思う。食った後「ごっつお〜さん」の一声でさっさと退場するのもまたいい。
同じ安飯でも、吉×屋とかす×屋、マッ×などではこうはならない。

というわけで、かくいうワタクシも旅行中などは30分前に朝飯を食ったばかりだというのに、駅でそばつゆの香りが漂ってくると、ふらふらと引き寄せられ、「かけ、大盛りで」となってしまうのである。


暑さで何もせず終わってしまいそうな今年の夏だが、少しでも旅気分を味わえる物はないだろうか。そうだ!そばを食おう!このクソ暑い中汗ダァ〜ダァ〜で食って、幸せな連中を少しでもイラッとさせてやろう!と悲しい黒い欲望を持ちながら色々と調べていたら、十和田観光電鉄の三沢駅の食堂がいい雰囲気らしいので行ってみた。



なんとまあ・・・見事にぼろい・・
このまま何か映画のロケにでも使えそうな佇まいだ。



駅の中は更に趣がある。
昭和というよりも戦後という形容詞の方がピッタリくる感じだ。
金田一探偵が袴姿でひょっこりホームから現れてもおかしくない。



そして、駅の食堂でそばを食らう。
映画「駅〜STATION」に出てきそうな簡易テーブル、ビニール椅子のいい感じに寂れた食堂である。
その佇まいから鉄道ファンなどにも人気で、色々なメディアに取り上げられているようで紹介された記事がそこいらに貼ってあるが、それもまた手作り感溢れる切抜きで微笑ましい。
「スペシャルそば」という英語ネーミングがふるっている物を注文したのだが、テンプラ、山菜、卵が入ったもので390円だ。
味? 駅の立ち食いそばの味ですよ。それで十分、美味いです。汁も飲み干しました。


新幹線開通で、お祭りムードも盛り上がっている青森だが、都会の観光客が来てガッカリするのは、青森県に拘らずどこにいってもショボイ東京のようだということだ。
極端に言えば、青森という処には都会の観光客はある種の田舎ファンタジーを求めてやって来る。
それなのに、ショボイ東京のようなものをデーンと見せられて青森県でござい!なんて言ったって、落胆しか残らないだろう。
俗物的に訛り丸出しのバーチャル田舎者を演じる必要も無いが(寧ろ痛い)
立ち食い蕎麦屋のあの安堵感みたいなものをみんな田舎に求めているんじゃないかと、汗ダァ〜ダァ〜でそば食いながら思ったわけである。





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