医療における資本主義と成果主義

April 23 [Thu], 2015, 21:18
研究の業界に成果主義が導入されるようになって久しくなりましたが、
最近の医療業界はますます成果主義が強調されつつあります。

が、この成果主義というのは医療の現場には即しません。
小児血液腫瘍の分野においては特にです。


近年の研究は極めて高度な技術に基づくものとなり、
研究にも莫大な費用がかかるようになっています。
結果として、研究者をターゲットにした商売が増え、今や一大マーケットです。
その結果、成果主義が導入され、結果のでない無駄な研究は評価されないようになりました。

これは当然のことなのですが、
その一方で、成果ばかりが強調されるため、
本当の意味で臨床現場を見据えた泥臭い研究はどんどん難しくなってきています。
研究者は論文として結果を出すことに没頭し、
目の前の患者さんの事は見えなくなっています。

しかし、資本主義の考え方ではそれはいけない事ではなく、
自分の研究結果がすぐに目の前の患者に還元できなくても、論文として形に残せば
他の誰かがいずれ患者に還元できる結果を出すきっかけになると考えます。


私も医者であり科学者の端くれですから考えはわかるのですが、
この社会の歯車が大きくなればなるほど、現場との解離が進みます。
研究者は
”おもしろくない”目の前の1症例に興味を示さず、
”おもしろい”症例にだけ飛びつきます。
また、面白くなくても症例数が増えれば矯味を示します。統計学的な検討がしやすくなるからです。


小児腫瘍はまれな疾患が大半で、
多くの検査が保険診療ではできないため、
研究機関に相談して検体を提供することも少なくありません。
しかし、その際、研究者の対応に、
目の前の大事な一人の子供が、研究対象としてのn=1
に置き換えられているのを痛感し、嫌気がさすことがしばしばあります。


成果主義は「医学の進歩のために」必要なことですが、
必要悪であって欲しいと、私は願っています。
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医療現場で仕事をしていると、日々いろいろな思いに悩まされます。

それは、子供たちの病状であったり、ご両親の思いであったり、医療者間の問題であったり、医療制度であったり多岐に渡ります。

自分なりに一生懸命に日々の臨床をやっていますが、
色々なイベントが起こるたびに、様々な事を感じます。

このブログでは、とある一人の小児腫瘍医の日々の想いを、本音で告白しようと思います。
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