GO 金城一紀

December 09 [Sun], 2007, 0:01
GO 金城一紀(角川書店)
 現在放送中の、フジテレビ系の連続ドラマ「SP」の脚本を務める金城一紀の直木賞受賞作です。
 日本で生まれ、日本で育ったけれど、僕は『在日』と呼ばれる―。朝鮮籍を持ち、日本に在住する主人公杉原は、民族学校に通っていた。しかし、高校は日本の通高校へ進学する。

 
普通の学校へ通うことは、日本人からも、そして在日からも特異の目で見られることとなる。まだ日本に根強く残る差別や、国籍という問題。難しいテーマを軽快な口調で読者にたたみかける。とっても痛快な小説。これは、まさにエンターテイメントの一級品。直木賞もまともな作品選びだった回と言っていいだろう。ここでは、在日云々はとりあえず置いておく。最近外国人参政権問題や税金減免問題が取りざたされていますが、(それも大事な問題なんだけど)そういう政治的なものとこの作品を結びつけたくない。しゃらくさいものは似合わない、かっこいい小説だと思うから。これを「在日文学」なんて呼んでるようじゃ終わってる。
「ねえ、ここを出ない?狭くて、窮屈で、うるさくて、退屈だと思わない、ここ」
あるダンスパーティで出会ったその女の子は「僕」にそうささやいた。そしてあっけなく恋に落ちた。彼女はむちゃくちゃ可愛い日本人の女の子だった。しかし自分が在日であることを告げられないでいた。今まで差別してくる奴らには容赦なく拳で抵抗してきたのに、言えない自分がそこにいた。そんなある日、大親友が日本人に殺されてしまう。良き理解者で、「僕」がもっともリスペクトしている親友の死。しだいに緊迫していく日本人と在日の関係。

 
だが、ハワイに行きたいというあきれる理由で朝鮮国籍を捨て、韓国籍を取得した父を見て、国籍ってなんだ?お金で買えてしまうものなのに、何故差別というものが存在するのか?という疑問に至る。父は「僕は、韓国人でもない、日本人でもない、ただの根無し草だ」という。そして、「僕」は国籍や差別なんてちっぽけな世界観にとらわれず生きてゆきたいという、自分自身の物語を歩き始める。「これはオヤジでもなくオフクロでもなく、僕の物語だ」。


とにかく痛快でかっこいい、主人公も、主人公の父親も。「彼女」も奔放で魅力的な女の子だ。夜の小学校のシーンなんて最高。パンツが見えることを厭わずに校門を飛び越える描写は、あまりに粋で、あっぱれ、とうなりたくなる。

 
日本人て一体誰なんだろう。日本国民なのか?日本「民族」(国民と民族は違う)なのか?よくわからない。けれど、そんなことに拘泥するより「俺は俺人」というという方がいい。この言葉は山田詠美さんがエッセイで書かれていたもの。金城一紀は「レヴォリューション No.3」で小説現代新人賞をとってデビューしている。その当時の選考委員に山田詠美さんもいた。受賞前の選評でも金城一紀の作品に触れていて彼の作品を褒めている。『GO』も売れる前から目をつけていたそうな。

 
金城一紀作品の良さはなんと言っても、ウィットに富んだ質の高いユーモアと、強烈な肉体性だ。この人本当に喧嘩強いんだろうなと思わせる、肉体派の作家だと思う。


『GO』はほんと、面白いんだよと誰かに言いたくなる。しっかりと骨太な、一級の青春恋愛小説です。

GO
僕はアッケなく恋に落ちた彼女はムチャクチャ可愛らしい日本人だった
Non-Stop、既視感Zero、新時代の扉をケリとばす革命的《在日》ポップ・ノベルの大傑作、『GO』!!
「ねえ、ここを出ない?狭くて、窮屈で、うるさくて、退屈だと思わない、ここ」
“GO”──A BOY AND A GIRL IN THE PEACEFUL REVOLUTION.
サビついた神話は過去のもの。瑞々しいエッジで「いま」を切り開く新鋭、爽快にデビュー!


  • URL:http://yaplog.jp/peco0102/archive/202
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