おぞましいものを食べさせられそうになった(前編)

February 09 [Thu], 2012, 15:49
このまえ、某コミュニティに文章を投稿しました。
思いのほか、多くの方々が読んでくださっ楠木友里たので、日記にもこうして投稿しようと思ったのです。
もし、お暇でしたら読んでみてください。
今日は僕が人生で体験した最もおぞましい体験について書こうと思います。
それゆえ、人によっては著しく気分を害するかもしれません。
閲覧の際は、十二分にお気をつけください。
それでは、始めようと思います。
高校3年生のときの話です。
僕は男子が著しく少ない美術部に所属していました。
当時は、僕のほかに2年生の男子がひとりいるだけでした。
残りの部員はすべからく女子です。
僕と2年生のD君は部活のときはいつも肩身の狭い思いをしていたのです。
なお、D君は個性的な性格の持ち主であり、詳しく記述しようとするとそれだけで膨大な文章になる恐れがあるので、この場では省略させていただきます。
機会があったら、彼をめぐる恐るべき三角関係について書こうと思います。
3年生であるにも関わらず、存在感が限りなく零に等しい僕でしたが、1年生のSさんと仲良くなりました。
Sさんは小柄な女性で、髪は黒く、目は大きく整った顔立ちをしていました。
いつも口数は少なく、部活のときも友人たちのあいだではいつも聞き役に徹していました。
どうして、そのように大人しい女性と、存在感の薄い僕が親密な仲になったのかというと、単に僕たちは住んでいる場所が近かったため、部活が終わると一緒に帰っていたからです。
当初は、二人きりで帰ると、話題に困ることがしばしばあり、気まずい雰囲気が僕たちのあいだをゆるりと流れたりしましたが、ときが経つに連れて、お互いに少しずつ打ち解けるようになってきたのです。
僕たちは単なる先輩と後輩以上の仲になっていたと思います。
そんなある日のことでした。
いつものように、僕とSさんは一緒に同じ電車に乗り、帰路についていました。
ふと、Sさんが尋ねてきます。
先輩は、いつも昼食はどうしてるんですか購買で安いパンを買ってるよそっかあ。
あの良かったら、明日、私がお弁当を作ってきましょうかそのときの驚きようといったら今でも忘れられません。
思わず、手に持っていたカバンを電車の床に落としてしまったほどです。
わざとらしい反応だと思われるかもしれませんが、実際に何の意図もせずに、そのようなリアクションを取ってしまったのです。
まさか、女性に手作りのお弁当を作ってもらえる日がやってくるとは思えませんでした。
女性の手作りのお弁当なんて架空の存在だとばかり思っていたのです。
ありがとう。
それじゃ、お願いするかな僕は平然とした口調でこんな感じのことを言いましたが、実際には緊張が極限にまで達して、冷静な状態を保っていられたものではありませんでした。
ただ、生きているって素晴らしいと心の底から感じていたのは確かです。
それじゃ、明日の朝にお渡しするので、一緒に登校しませんかSさんの提案に対して、むろん僕は頷きました。
翌朝は、約束通り一緒の電車に乗りました。
Sさんは俯きながら、僕に袋を渡してくれました。
言うまでもなく、このなかに手作りの弁当が入っているのです。
僕は高価な骨董品を受けとるように、丁重に袋を渡してもらいました。
それからぼんやりと、僕たちはもしかしたら、恋人同士になれるかもしれないと期待を寄せたりしたものです。
その日は昼休みが待ち遠しくて仕方がありませんでした。
授業中も、Sさんが作ってくれたお弁当の中身を想像し、期待しました。
Sさんは部活のときも注意深く細かいデッサンを心がけているから、きっと料理も細かいところにまでこだわって作るに違いない。
きっと、今までに食べたことがないようなおいしい弁当なのだろう。
おかずには何が入っているのだろうか。
もしかしたら、ところどころにハートにかたどったものを拵えてあるかもしれない。
友達に見つかったらどうしよう。
冷やかされるだろうな。
などと、妄想は膨らむばかりです。
むろん、授業のほとんどを聞き逃していました。
そしてついに、待ちに待った昼休みがやってきました。
僕はいつも一緒に昼食を取る友人のYが購買から戻ってくるのを待ち、それからSさんの弁当を開けました。
中身は僕の予想を大きく外れたものでした。
弁当箱のなかには、びっしりとカレーライスが詰めてあったのです。
おかずはありません。
福崇ミすらありません。
冷たい米が弁当の半分弱を占め、残りのスペースにルーがたたえてあります。
僕は少しばかりがっかりしましたが、それでもSさんの手作りにはちがいません。
きっとSさんはまだ料理に慣れていなかったのでしょう。
それなのに僕にカレーをあつらえてくれたのですから、その好意を無駄にするわけにはいきません。
ただ、そこで僕はさらなる違和感に気づきました。
そのカレーはカレー特有であるコクのある匂いがしないのです。
その代わり、なんだか変な臭いがしました。
また、よく見てみると、カレーには具が何もないようでした。
僕はいよいよ恐ろしくなりました。
ここまで怖いカレーは生まれて初めてです。
これを食べてはいけないことを本能はちゃんと知っていたのでした。
そこで、僕はYに提案しました。
なあ、このカレー食べてくれないどうしたんだよ。
食欲ないのかYは購買で買ったパンを食べながら聞き返してきます。
うん、具合が悪いみたいでね。
それに、このカレーはSさんが作ってくれたものなんだよ。
せっかく作ってくれたのに、無駄にするわけにはいかないじゃんかSさんってお前の美術部の後輩のSさんだよなYは驚いているようでした。
お前、Sさんに弁当を作ってもらえるような仲だったのかよ。
あんな可愛い子に弁当を作ってもらいながら、食わないなんて最悪な野郎だな。
いいよ、俺が食うから。
Sさんが作ったものなら何でも喜んで食うぜこうして僕は不気味なカレーを譲渡することに成功しました。
Yはパンを食べ終えると、カレーを受けとり、勢いよく食べました。
が、最初の一口で動きが止まりました。
どうした僕は尋ねます。
Yは口に含んだカレーを呑みこむと言いました。
とてつもなく、苦い。
全然、カレーの味がしない大丈夫か。
多分、失敗しちゃったんだろうな。
無理して食べないほうがいいんじゃないかいや、これを逃したら俺は一生女の子の作った弁当を食えないかもしれない。
なんとしても平らげてやるYは傍から見ていて哀れになるほど、異性運に恵まれていなかったのです。
それゆえ、女性の手作り弁当は、まさに天佑のように思えたのでしょう。
Yは苦い顔をしながらカレーを食べていきました。
もはや恐るべき執念です。
Yがカレーを口に運ぶたびに、変な臭いがこちらにまで漂ってきて、僕は気持ち悪くなりました。
それでもYは完食したのです。
女の子の手作りって、想像以上に険しいんだな続く。
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