恋のエチュード 第三話

2008年04月04日(金) 11時06分
第3回

週末になると彼女は私に会いに来ることが頻繁になった。祖父の所へ行くという口実で来崎していたようだが毎月来ていたので、両親にも薄々、悟られていただろう。そんなある日の事、彼女が私の家に泊めさせてほしいと、いきなり言うのである。さすがに両親がいるし、ましてや若い女性を泊めたとなると問題だし、世間体ってもんがある。駄目もとで、今までの経緯を親父に説明し、掛け合うと「相手のご両親が了解しているのなら、ともかく未成年の娘さんだから、まずかろ」と予想通りの答えが返ってきた。無理も無い、世の中にそんな親がいる訳がないと思っていると、彼女の母親が私の両親に昔お世話になった事があると言って、そこの息子さんならば大丈夫だと彼女のお母さんが、仰ったらしい。言われて見れば彼女の母親の実家が近くにあるわけだから私の両親が知っていても不思議ではない。話していくうち、お袋の友人と言うことが判り「そう言えば若っか時のあん人に似とるばい」と盛り上がりだし「大事か娘さんやけん、うちで預からんばやろうばい」とお袋が言った。そんなこんなで、すっかり話が出来上がりつつあったのだ。まさに偶然としか言いようがない。それにしても世間とは狭いものだ。その日の晩は、かなりのご馳走だったのは言うまでもない。 
問題は就寝場所にあった。さすがに若い女性と一緒の部屋は、いくらなんでも、まずいだろうと思っていると、2階の私の部屋のベッドの脇に布団が敷いてあり、驚きを隠せない私に、親父が「若いモンは若いもん同士、積もる話もあるやろうけん、一緒がよかろう」と言って笑った。普通の親なら考えられない行為であるが実話である。あまりの手際よさに我が親ながら感心してしまった。普通は若い男女を同室にする事などあり得ないと思うのだが・・・以前、姉の婚約者が来たときも「一緒に風呂に入らんね、よかたい、どうせ結婚するとやろうけん」と言った親父だから、そのフランクさには、いつも驚かされる。

・・・ つづく
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定林橋
おもしろかったです。
続けてください! 楽しみにしています。
2008年04月06日(日) 21時23分
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定林橋
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