夕紀へ
2009年08月04日(火) 10時19分
義男がそばに来て軽く耳打ちし、元ダンナの悪口を言い始めた。「ユキは奴に殺されたも同然さ、この若さで死んだんだぜ」「おまけに再婚して近くに住んでるらしいぞ」「まったく、どういう神経してんだか、ブッ殺してやりてぇよ!」と捲くし立てた。何も知らなかったとはいえ、ユキが幸せに暮らしているとばかり思っていた自分が情けなく、力になってやれなかった事を悔やんでも悔やみきれなかった。たぶん彼女のことだから相談したら俺が黙っていないと考えたのだと思った。他人の家庭を巻き込むようなまねはしたくなかったのだろう。
周りを気遣っても自分のことは後にするような割と古風な女性だったが、そのくせ結構そそっかしく、何処か抜けているようなところが憎めなくて大好きだった。
高校の体育祭で逆転優勝したとき、アンカーの義男の大活躍で三連覇を果たしたのだが、一番喜んでいたのが彼女だった。二人で行った海水浴だって泳げもしないのに誘うもんだから、結局は浮き輪を引っ張らされて沖までいくと怖がって必死で俺の腕にしがみついてきたっけ。
文化祭の準備で遅くまで教室に残り、バス停まで一緒に手をつないで帰ったこと。腕を組むことを恥ずかしがる俺に「照れ屋さんなんだから、人が見ててもいいじゃん」と笑いながら腕を引っ張るユキの姿はもう何処にもない。
・・・ つづく
周りを気遣っても自分のことは後にするような割と古風な女性だったが、そのくせ結構そそっかしく、何処か抜けているようなところが憎めなくて大好きだった。
高校の体育祭で逆転優勝したとき、アンカーの義男の大活躍で三連覇を果たしたのだが、一番喜んでいたのが彼女だった。二人で行った海水浴だって泳げもしないのに誘うもんだから、結局は浮き輪を引っ張らされて沖までいくと怖がって必死で俺の腕にしがみついてきたっけ。
文化祭の準備で遅くまで教室に残り、バス停まで一緒に手をつないで帰ったこと。腕を組むことを恥ずかしがる俺に「照れ屋さんなんだから、人が見ててもいいじゃん」と笑いながら腕を引っ張るユキの姿はもう何処にもない。
・・・ つづく
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