はじめに 

2005年11月05日(土) 17時41分

これから書く小説「DELETE!」は私が短編として書いたものを長編にしたものです。
完全オリジナルです。
出版社等とは関係ありません。
「続きを読む...」であとがきです。

キャラクター設定
 あずましんく
【東 真紅】中学3年生。噂などが大嫌い。現実が嫌になっている。英語がペラペラ。
しろつきひろかず
【城月広和】:中学3年生。真紅のクラスメートで幼馴染。料理ができない。
 あいりはるな
【藍李春菜】:真紅の親友。英国人とのハーフ。

【スワン・ヴィウク】:話に深く関わってくる。女。18歳。背が低い。

世界観
ヨーロッパあたりをイメージしてます。
19世紀ごろ。でも違う世界なので全く関係ないです。
【ラヴィニア】・・・向こうの世界。空想の世界。
【ギーセルベルド】・・・こちら側の世界。
【リーセル】・・・俗に言う魔法。(リーセル使いとも呼ばれる。)
【ヴェルヘルミーネ】・・・リーセルを使う人のこと。


ばなー

URL:http://yaplog.jp/pax-winarz/
Title:DELETE!
Master:優智実乃葉

序章 

2005年11月19日(土) 13時53分
序章


今どこかで、光が消えた。
この光はまた戻ってくるのだろうか。
でもこの光が何かは知らない。


此処は何処?
何で私は此処に居るの?

1話 

2005年11月19日(土) 13時58分
何故ここでやめておかなかったんだろう。
ここでやめていれば・・・


一歩


「ねぇ真紅、知ってる?この話。」
真紅は私の名前だ。突然、友人が聞いてきた。いつもの、「噂話」だ。
「何が?」
ぶっきらぼうに言ってやった。私はあまり最近の話(特に噂話)は興味が無い。だって、所詮噂。真実ではない。そのことは友人である春菜も知っているはずなのに。
「まぁ聞いてよ。これは噂話じゃないんだな。実は。」
私はいかにも嫌そうな顔をした。でも春菜はそんなことは気にしない様子で続けた。話によるとなんでも町外れの古い時計店に入り、あることをすると「ある世界」につれて行ってくれるそうだ。
・・・胡散臭い。そんなもの誰が信じるだろう。多分、誰も信じない。
しかし春菜はいつになく真剣な顔で、
「隣町の子がね、そこに行ったせいで行方不明になったらしいよ。もう多分帰ってこないだろうね。」
私はそれに珍しく興味を持った。何故だかは分からない。でもそこまで言うなら、確かめてみようではないか。どうせ嘘だ。
その事を言い、場所を聞いてみた。
「その時計店、何処?今日放課後に行ってみる。」
「珍しいね。こんな話信じるなんて。」
私は少しむっとした。それが表情にでていたのか、春菜が笑いながら、
「いいよ、教えてあげる。」
少し不気味に笑って、そう言った。クラスメイトの騒ぎ声が耳に大きく響いた。

そしてすぐに放課後になり、私は一緒に帰ろうと言ってくるクラスメイトを完全に無視し教室を出た。
早歩きで教えてもらった場所にむかった。そんなに来たこともない所なのにどんどん進めていく。どうしてだろう、なんだか私を呼んでいる気がする。
呼んでいる?一体誰が?
さっきもだ。いつもならこんな話、無視するのに。
もしかしたら・・・いや、気にしないでおこう。
「そんなことを考えるなんて私もバカだなぁ。」
歩きながらボソリとつぶやいていく。周りは静かだった。

2話 

2005年11月19日(土) 14時11分
踏み込み


そしていつの間にか「噂」の時計店に着いていた。噂になるだけあってそれなりの雰囲気は漂っていた。
古ぼけた西洋風の建物だった。大きな時計台があり、時計が磨き上げられ輝いて動いていた。
しかし今は4時半なのに6時を指していた。特には気にしなかった。
「人は住んでいるんだよ・・・ね?」
人の気配が無いせいか少し不安になってきた。ここで黒い猫がいて鳴いたら漫画みたいで面白い。そんなことを思っていると、黒い猫がいきなり目の前に跳んできて「ニャー」と鳴いた。
心底おどろいた。色々な意味で。強い風が吹いてきた。音が凄く大きく聞こえ、冷たい風が頬を撫ぜた。
「よし!」
私は覚悟を決めドアノブを握って勢いよく薄汚いドアを押した。ドアについていたベルが鳴った。
それと同時に埃が舞った。
「掃除くらいすればいいのに。」
正直な感想を漏らした。
店内は暗く、とても静かだった。小さな時計から大きな時計まで色々なものが所せましと並んでいた。
本来の目的であることを忘れていたことに気づき、やることをメモした紙をポケットから取り出した。
「えー、と。まず一番大きな人の入れそうな時計を探して、あ、これかな。針を12時に合わせる。うん、やった。そしてこの呪文を唱える。」
いかにもなやり方を疑いの目で見ながら進めていく。そして意味の分からない呪文を唱えた。
「さぁ時計さん!私を不思議な国へと連れて行って頂戴!」
しかし何も起こらない。非常に悲しい。・・・やっぱりね。帰ろう。
そう思いながらドアノブを握ったとき、
「なにかお探しですか?」
誰かが言った。

3話 

2005年11月19日(土) 14時20分
現実逃避



「何かお探しですか?」

聞き覚えのある男の子のような声がした。
そこにはクラスメイトの広和がいた。少し背が私より高いだけの華奢な男子だ。
「あれ?ここってあなたの家だったの?」
普通にびっくりした。怪奇現象の店がこいつの家だったとは。
そういえば幼稚園からずっと一緒だけれども家には行ったことがなかった。
「家ではないですけど、両親がやっていた店です。」
広和は何故かいつも敬語だ。一回直せといったけれど1分も立たないうちに戻ったので諦めたことがある。
「やっていた?今は?」
疑問に思ったので聞いてみた。すると肩をすくめ、少し悲しい顔になって、
「いつの間にか居ませんでした。」
そう言った。私は少し悪いことを聞いた、と思った。そう言えば祖父に育てられたと言っていたっけ。
「それで真紅さんは何故ここに?最近の時計は売ってませんよ。」
「いや、ちょっとね。」
聞きたがったのであの噂話を話してみた。すると
「・・・じゃあ真紅さんは行ってみたいですか?」
「そりゃあそんなものがあったら行ってみたいわね。」
私はふざけた様子で言ってやった。蛇が巻きついたデザインの不気味な時計が目に付いた。
「では行きますか。」
広和がいつもの口調で静かに言った。小さな声だけれどもよく聞こえる。
「は!?」
驚きすぎて持ち上げた時計が大きな音を立てて落ちた。広和は気にする素振りもなく、
「行きたいのでしょう。連れて行ってあげます。」
「何言って・・・」
すると店の奥にある扉を開けた。そこからは眩しいくらいに光が溢れていた。
ふと私は今までのことがどうでもよくなってきた。これが「現実逃避」。ふっと微笑み、
「それじゃあ連れて行ってくれるかしら。」
ずい、と手を突き出した。広和が真紅の手を握る。
「おおせのままに。お姫様。」
そして私たちは光に包まれた。
それと同時に、この世界から削除された。

4話 

2005年11月19日(土) 14時35分
目覚め


あれ?
なんだろう、ここは。
何もない空虚な世界。あたりは真っ白だ。
何をしていたんだっけ?
そういえば広和は?どこへ行ったの?
ああ、そうだ、私は扉をくぐり抜けて・・・・
・・・で、どうなったんだろう?

そして目を開けた。


「あ、目が覚めましたか」
広和の声だ。落ち着いた優しげな声だ。まだ声変わりしていないので少し高い。
真紅はさっぱりしない頭を必死に回転させた。
すると広和が口を開いた。
「ずっと起きなかったから心配してたんですよ。もしかしてこのまま目が覚めないかと思いました。」
本当に心配していた口調だ。
「私はただじゃ死なないわ。それより、ここ、何処?」
のどが渇く。少し声がかすれていた。
広和が水はいらないかと聞かれたので、寝ていたベッドから起き上がった。
そして受け取った水を飲み干した。おいしかった。
周りを見ると質素な部屋だった。日本の家ではない。
広和は靴をはいていたし、家具や窓なども西洋風だった。
もしかしてあれは「どこでもドア」だったのか?
ヨーロッパのどこかにつながっていただけだったとか?
そう思うと凄く虚しい。私の存在が元からない、「別の世界」に行きたかったのに。
広和がドアを開けながら言った。
「『ラヴィニア』。空想が現実になる世界です。」

5話 

2005年11月20日(日) 21時29分
「ラヴィニア」


「ラヴィニア・・・?」
真紅は聞いたことのない地名に戸惑う。
じゃあここは、
「別の異世界?」
広和がうなずく。そして笑いながら、
「こちらから見れば向こうは異世界ですよ。
 『ラヴィニア』では向こう側のことを『ギーセルベルド』と呼んでいます。」
と言った。
真紅はいきなり難しい横文字を言われたので混乱した。
もと居た世界がギーセルベルドでこの世界がラヴィニアってことになる。
しかし窓の外を見てもごく普通の町並みが広がっている。
遠いところに立派な城が見える。とても豪華だ。
ということは、ここは城下町か?城壁もある。
ヨーロッパにそっくりだ。服装もみんな今時のではない。
ここは何時代だと広和に聞いたら、
「ギーセルベルドで言う19世紀の中ごろ、ですね。多分。」
と、あいまいな答えが返ってきた。はっきりしてくれ。
まあいい。時代など知らなくても大丈夫だ。
もう一つ気になることがある。
「これってその・・・えー、向こうに帰れるの?」
一応、聞いてみる。
もちろんギーセルベルドに帰る気はない。
でも、もしものときに備えて聞いておきたい。
少し表情がくもって広和が言った。
「ここへ来たらもう帰れませんよ。」
何故か少し胸が痛んだ。

6話 

2005年11月21日(月) 13時54分
「考え」

おなかが空いたので1階のダイニングに連れて行ってくれた。
広和の作る料理はこの世のものではないようなものなのでその辺りにあった本を参考に自分で作ることにした。
もちろん2人分。
まあ私は居候の身。他にいく当てもない。自分のことは自分でしなければ。
手際よく作業を続ける。
初めて作る料理にしては上手くできた。満足だ。
そして美味しい。自画自賛をしてみる。
広和も美味しいと言ってくれた。
スープをすすりながらさっきの会話を思い浮かべた。
なんでも絶対に戻れないわけではないらしい。
広和は週に何度もラヴィニアとギーセルベルドを行き来してた。知らなかった。
ここはギーセルベルドより時間が早く進むらしい。(約5倍だといっていた。
彼は2つの異世界を結ぶ門番の役割をしているらしい。
この家の中にもあの扉があった。あの扉は「白鳥の門」と呼ばれているそうだ。何故かは知らない。教えてくれなかったからだ。ケチなやつだ。
あといくつか扉が各地にあるがよく分からないらしい。名前も個々によって違う。
ギーセルベルドに帰るには、ここで1年以上暮らし、偉大なことをして王に許可を貰わなければいけないらしい。実に面倒くさい。
まあ私には関係ない。今更帰れなくても何の悔いもない。
食べ終わったので片付けようとしたらいきなり冷たい風が吹いた。
荒々しくドアが開いた。壊れるのではないかと思ったくらいだ。
そしてそこに立っていた人物がいやらしく言った。
「あら、広和がギーセルベルドから人を連れてくるのは初めてだね。どういう心境の変化かな?」

7話 

2005年11月21日(月) 15時38分
「白鳥」

ドアの前に立っていたのは少女だった。
黒のワンピースを着てブーツを履いている。
身長は真紅の肩ぐらいまでしかなかったので10歳前後程度だろう。
蒼っぽい黒色をした髪が腰まで流れている。
眼光は鋭い。赤っぽい色の目だ。
今、真紅はその目で睨まれている。怖い。とても年下には思えない。
逃げたい。あの目から逃れたい。目をそらしたい。
でも何故、何故そらせないんだろう?
言葉が出ない。どうしよう。
すると、広和が口を開いた。
「スワン、やめてください」
そう言うとスワンと呼ばれた少女がにやりとした。体が動いた。
疲れがどっと押し寄せてきた。近くにあった椅子にふらふらと座り込んだ。
なんだったんだ一体。あの少女は一体・・・
スワン・・・白鳥とは似つかない。どちらかというと烏だ。
待てよ、白鳥と言えば「白鳥の門」。
ということはこちらの門番がこの少女ということか?
その間もスワンはじっとこちらを見ている。見ないでほしい。
「なんなのよ・・・この子。」
私はぐったりしながら小声で広和に聞いた。
しかし広和が答える前にスワンが言った。
「いきなりごめんなさいね。ただの検査よ。貴女がこちらにとって害になるか、調べてたのよ。
 私はスワン・ヴィウク。これでも18歳よ。よろしくね。」
手を出してきたので軽く握手をした。
18歳・・・まさか年上だったとは・・・
一応礼儀としてこちらも言う。
「真紅です。宜しくお願いします。」
年上だと分かった以上、敬語を使う。これは親に叩き込まれた礼儀作法の一つだ。
するとスワンが笑顔になった。屈託のない、子供のような笑顔。睨まれていたときとは全く別人に思えた。こっちの方が断然いい。
「そんなに硬くならなくていいわ。スワンって気軽に呼んでね。」
「はあ・・・・」
そんなこと、できるはずがない!また睨まれたらたまったものではない。
できればもうやめてほしい。
すると今まで黙っていた広和が消え入るような声で、
「まったく、外面だけはいいんだから・・・」
とつぶやいた。
そしてスワンが広和の名前を叫んだ。広和が真っ青になった。
やっぱりスワンは怖かった。下手なことは言わないでおこうと思った。
でも、最初と違い、やはり彼女は白鳥だなと思えてきた。
それはさっき笑とき、白鳥のように気高く、本当の笑顔だったからだ。

8話 前編 

2005年11月30日(水) 17時57分
リーセル

私はスワンと広和に初歩的な「ラヴィニア」のことを教えてもらうことにした。
さっき頭にスワンのげんこつを喰らった広和がまず質問はないか、と聞いてきたのでさっきから気になっていたことを話した。
「ちょっと気になってたんだけど、今雪が降ってるよね。さっきスワン・・・さんが入って来た時すごく寒かったよ。でもこの部屋には暖炉も何もない。でも全く寒くないじゃない。これってどういうこと?」
窓から外を見るとさっき降り始めた雪は薄くつもっている。この調子で降り続ければかなりの厚さになるだろう。雪だるまが作り放題だ。でもそんな冷たい中、冷たい雪でそんなものを作りたくはない。この暖かい部屋で本でも読んでいるほうがかなり楽だ。
すると広和が飲んでいたココアかを机に置いて言った。
「ああ、これですか。ギーセルベルドで言う魔法とか魔術とかそんな類です。それを『リーセル』と言います。真紅さんが今この国の言葉を喋れるのもそれのせいです。あ、『また難しい単語が出てきた、そんなの覚えられない』なんて顔をしないでください。でも覚えておいてください。いずれ真紅さんにも挑戦してもらいますから。」
心の中で舌打ちをした。顔に出ていたか。それはさておき、私は驚いた。そんなことができるとは。ギーセルベルドの人類が大昔から求めてきたものがこんなに簡単に使えるなんて。温度調節ができるようになるまで一体どれくらいの月日がかかったか。きっとラヴィニアでは大昔からこんなものが使えたのだろう。
するとスワンが、
「これを使うのが『ヴェルヘルミーネ』と呼ばれる人達。誰もが使えるものではないわ。国の許可がいるの。それにとっても難しい試験をパスしなきゃなれないの。」
書き手紹介
優智 実乃葉
香川県在住
1992年10月14日生まれ
高松市内の中学校に通ってます。
読書が好き。
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ダレン・シャン、ハリー・ポッター、サークルオブマジック、デルトラクエスト、NO.6、キノの旅 etc...
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