終(つい)ノ空 

2006年11月10日(金) 22時56分
四角に切り取られた青空
蒼穹の雲海は地に堕ちて
薄靄のかかった大気の中
泳ぐ鳥たちは行き場を失い
人や獣は虚空を見つめていた

砂漠のオアシス程もない空に
太陽と月は交互に顔を出して
星々の瞬かない夜空でも
光に飲み込まれぬ朝ですら
やがて時は動き出すのだと

白雲の群れからのびた触手が
どこへともなく流れている
そんな混沌とした世界であって

やがて
最後の空も
静寂の中に
閉じて

しかし
闇はなくて

どこまでも続く
霞と触手だけが
終(つい)ノ空の続きを
知っているだけで



別冊詩の発見』第4号に収録

『黒猫のアルビノ』 Track:2 

2006年07月14日(金) 0時08分
『甘酒と峠』


アルは道に沿って歩いていた
人の流れに合わせて歩いていた
気が付けば道は
峠に差し掛かっていた


峠のふもとには色々な出店があった
休憩しようと一件の屋台に近付くと
店主が陽気に話しかけてきた


おまえさんも旅をしてるのかい?
俺も旅をしながらこうやって店を出してるんだ
どうだ
試しに一杯呑んでみるか


地面にそっと置かれた皿に近寄ると
少しふわっとした気分になった
舐めてみると
ミルクよりも甘くて
とても美味しかった


そいつはな
甘酒っていうんだ
店主が自慢げに言った
気に入ったなら
もっと呑んでいいぞ


やがて日が暮れて
アルは一晩をそこの屋台で過ごした
甘酒が夢に出てきて
溺れそうになった


そうして目が覚めたとき
アルは戦慄した


通りすがりの旅人たちは
野次馬に変化し
屋台の店主たちは
物言わぬ唯の物質に変化し
旅人の一人が
夜盗のしわざだってさ
と言ったのをアルは聞いた


アルはその日のうちに峠を越えた
猫の自分には何も出来ないことを
悟ったわけではない
悲しくて
いたたまれなかったわけではない


自分の身体に跳ねていた
店主の血を洗い流したかった
それはあるかもしれない
とアルは思った

銀河戦争(スターウォーズ)にうってつけの日 

2006年07月14日(金) 0時05分
太陽のお仲間が爆発
それが合図で
戦争はおっ始まった

射手座の方面軍が
白鳥座の連合軍が
アンドロメダの独立軍が

戦いの幕開けに相応しく
あちこちで戦火が上がる
あらゆる宇宙の生命体が
雌雄を極めんと戦っていた

全軍、熾烈な戦いを経て
やがて戦火は小さくなり
ふと
新たな炎があがる

超新星だ!
あらたな太陽の誕生だ!
どこかの兵が叫んで
人々は
その光に感嘆した

新たな光の誕生の前では
銀河戦争さえ
祝福の花火なのかもしれない

ジャック=ナイフ 

2006年07月04日(火) 0時59分
胸に突き透るその言葉は
貴方のものか貴女のものか
触れた途端に私の思いは
ゴルゴダのキリストのように
復活を待つ身となるのだ

彼の復活は容易に用意された奇蹟
では、私は?

胸の外枠に深く突き透った
薄汚れた鉛色のジャック=ナイフ
それはロンギヌスのものではない

不思議なことに血もなかった
私には何もなかった
そんなことは知っていた
それだけはわかっていた
無いということを識っていた

ああ、失ったのだな
そう思ってすぐに
家に帰って少しだけ泣いた

たいせつなもの 

2006年07月04日(火) 0時57分
たいせつなもの、たくさん
まもりたかったもの、いっぱい
でも、ぜんぶなくしちゃった
みんなみんな、こわれちゃった


だからぼくは
たびにでようとおもったんだ
じぶんさがしなんていいものじゃなくて
たいせつなものをさがしにいくんだ


でも、そのことで
ぼくがぼくをとりもどせるんだとしたら
やっぱりじぶんさがしに
なっちゃうのかな、どうおもう?


もうじきあめもあがるね
あめがあがったらぼくはいくよ
あまやどりもおしまい

『不確定世界の確定事項』 

2006年06月06日(火) 19時47分
君が僕を好きだということ

僕が君を愛してるということ

愛は故意の延長線上になかったこと

心は愛の兆しでなかったということ

朝焼けはとうもろこしの匂いだということ

夕焼けはあさり汁の香りでないということ

戦いは醜い行いじゃないということ

行動は必ずしも結果に結びつかないということ

君が君であるという証明がどこにもないということ

僕が僕であるために言うこと

『黒猫のアルビノ』Track:1 

2006年06月06日(火) 6時03分
『黒猫のアル』


あるところに、一匹の猫がいた
名前を、アルといった
彼は世界を旅していた

アルという名前は身体の色が由来だった
アルは黒猫だ
しかし、その身体は雪のように真っ白
(それは、アルビノと言うんだよ)
旅に出て間もない頃、
出会った老人にそう教えられた

その日から、彼はアルになったのだ

旅に出てからかなりの月日がたった
だけど、アルは旅をやめはしない

風の流れ、雲の流れ
河の流れ、人の流れ
色んな流れに乗りながら
今日もアルは旅をする

暑いところか寒いところか
明日は何が見えるんだろう?
今日もどこかで
白い黒猫が旅をする

お知らせ。 

2006年06月06日(火) 5時48分
半年以上も放置してたこのブログですが、折角開設したのにこのままアカウントを消すっていうのも考え物なので、いっそのこと拙作の詩の公開をメインにして行きたいと思います。
普通の日記はmixiにありますので。

どっかの凄い人が「人は生まれながらにして詩人だ」という言葉を残してるんだから、別に小説家を目指してる人間が詩人を名乗っちゃいけない道理はないですよね。

つーわけで、今後このブログは詩人:関塚太郎としてのブログになります。
詩の公開だけでなく、詩に関する僕の体験なんかを載せていこうかと。

まあのんびり楽しくやって行きます。

『ウイスキィ』 

2006年06月06日(火) 5時43分
二人で飲むウイスキィ
角ばった氷の乾いた音が
二人を琥珀色にいざなう

少し汗ばんだグラス
その汗の様はまるで
僕の心を映すよう

朱に染まった君の頬は
酔っているのか照れているのか
二人は無言で苦笑する

スピーカから聞こえてくる
異国のジャズやブルースは
二人のこの時の為の音

バーボンミルクのようなこの時間(とき)が
どれだけ続くと言えるだろう
もしもずっと続くなら
僕はそれだけで死んでゆける

おどけた僕の口説き文句
君は笑って受け流す
それから二人はまた黙って
ロックグラスを空にする

少し辛いバーボンの味だけが
この幸福な時間を
夢じゃないと教えてくれるが

そいつはやはり
真夏の夜の夢みたいだ





大好きなウイスキィを詩にしてみた。
が、満足のいく出来ではない。
自分への戒めというか、反省点として過去として、この詩を残しておく。

『それはたしかにそこに』 

2005年12月08日(木) 4時17分
つかみどころがなくて
でも目の前に見えていて
黄昏よりも暗くて深く
暁よりも眩しく輝くそれは

自分の愚かさを呪ったことはあるか?
屋上の暗がりでベレー帽は問う
人はそもそも愚かしい生き物だ
ベレー帽に向けてそれは呟いた

果てのない海で風が凪いだ
しかしそれの心に凪はなく
ひとしきり泣き腫らした後で
それは頭上の無限を仰ぐ

愛とは情欲に生きる者の言い訳である
ストイックな神父はそれに説いた
情欲とは生きとし生けるものの摂理である
それは神父の鼻っ柱をぶん殴った

それはたしかにそこにあり
しかしどこにもいないもの
それはどこにも見えなくて
しかしそこに映るもの

魂とは波長であり
自己とは単なる概念である
しかし残響で残滓でしかないそれに
魂や自己はあるのだろうか

反響し残響となったもの
それは人の可能性が見せる
泡沫の夢なのかもしれない
まるで不気味な泡のような――
ぷろひーる
【名前】たろ
【趣味】歌・読書・ゲーム
酒と煙草と珈琲がないと生きていけません。
詩はまだまだ勉強不足。
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こめんと。
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