出版界の時代錯誤と『「リストラなう」日記』

June 09 [Wed], 2010, 23:36
 はじめに断っておくと、Parsleyは『たぬきちの「リストラなう」日記』様が大っ嫌いです。そういったバイアスがあることを踏まえて、このエントリーをお読み頂ければ幸いです。

 【お知らせ】「リストラなう」にコメントを寄せてくださったみなさまへ【とても重要】(2010年6月2日)
 改めて、お願いします。(2010年6月8日)

 「後顧の憂いがなくなったっす」というのは、書籍化して原稿料や印税を支払われることが求職者給付の基本手当に影響がないというお墨付きを頂いた、ということなのかしらん? それにしてもどの雇用保険に関するテキストを見ても給付の差し引きの対象になる「就労・内職・手伝い」の中に「翻訳」や「講演」などは記載があったりするのだけど、「執筆」というどこにも書かれていないんだねー不思議。
 まぁ私が彼のことが嫌いなのは、こういう「持てる者」の無意識が、至るところに顕在しているところなんだけどね。「リストラなうってタイトルにあるけれど、本文で一度もリストラされたって書いてないから」とあった時は本気で憤慨しました、えぇ。

 とにかく、それはそれとして。CGM的な、コメント欄のコンテンツ&マネタイズ化で揉める例は過去に何度もある。拙ブログでもmixiの「話のつまらない男に殺意を覚える」コミュニティが書籍化する際に大騒ぎになったことと清水ちなみとOL委員会に関してエントリーを記した。

 繰り返される悲しみは島渡る波のよう@出版篇(2006年11月22日)

 今回の騒動を見て思ったのは、ネット民の「嫌儲」意識は年々厳しくなっているなぁということだが、本エントリーでそこに触れるのは避ける。もう一つ、主体が著者とは異なるコメント欄などの扱いは毎度のように係争事項になるというのに、なぜ版元や編集者は学ばないのかなぁ、と思ったりする。
 これを機会にはてなの規約をななめ読みしてみたが、「個別事項に関しては当事者同士で解決してね」以上のことは書かれていないようだったし、許諾を得る煩雑さは逃れられない。その点、たぬきち氏は極力誠実に対処している印象はあるけれど、「個人情報まで寄越さないといけないのか」などといった論難を甘んじて受けなければいけないのは変わりない。コメント者全てを納得させる解決策はないだろう。
 しかし、『「リストラなう」日記』に、たぬきち氏以外の第三者のコメントが、リスクを負ってまで掲載する必要があるのか、疑問は残る。文責がたぬきち氏の部分だけじゃダメなの??

 それ以上に謎なのが、「出版社が希望退職を募って応じた中年男性の語」が、なぜ書籍にするだけのコンテンツと看做されるのか、ということだ。だいたい中小の出版社はいくつも潰れているのも周知の通りだし、編集プロダクションや個人ライターが収入を得るのに厳しさを増していることも今にはじまったことではない。
 出版業界から離れても、例えばブラックな企業だらけのIT業界だと会社都合での退職(いわゆる解雇ね)なんて珍しくもなんともないし、人材の流動も激しくなっている。Parsleyの実感だと、「終身雇用?どこの国の話ですか??」といったところだったりするのだけど。
 つまり、大手の版元ではまだ珍しいのかもしれないけれど、世間的には当たり前になっている話に、なぜ食いつくのか、ということが、本当に不思議で仕方がないのだ。しかも、複数。

kodanshabiz「リストラなう」は新潮社から7月末刊行ですか。じつは編集部のスタッフが先月たぬきちさんインタビューに成功。それが載った本は6月中に出す予定です。先越したぞ。 #hon #honyasan #hanmotosan #kbiz ( 2010-06-02 13:34:08 )


 たぬきち氏に限らず、大手版元の編集者も、実際に本屋さんで買う一般消費者の感覚とはかけ離れていることが、今回の件で浮き彫りになったんじゃないかな、と思う。
 こんな時代錯誤な業界、一度スクラップ&ビルドが必要なんじゃないか。そういった人材やプレイヤーのシャッフルの「武器」として電子出版があるんじゃないのか、と個人的には考えるのだけど、それはまた別の機会に。

 そんなこんなで、私Parsleyは、「たぬきちさん頑張れ!」などと毛ほども思わない、と改めて表明しておきます。


  • URL:http://yaplog.jp/parsleymood/archive/944
Comment
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー 絵文字 プレビューON/OFF

不正な自動コメント投稿を防ぐため、チェックボックスにチェックをしてください。

利用規約に同意
 X 
禁止事項とご注意
※本名・メールアドレス・住所・電話番号など、個人が特定できる情報の入力は行わないでください。
「ヤプログ!利用規約 第9条 禁止事項」に該当するコメントは禁止します。
「ヤプログ!利用規約」に同意の上、コメントを送信してください。
a
ステルスマーケティング騒動とか、嫌儲騒動とかネット上で騒がれていますが、この2012年1月、この記事を改めて読ませていただいた後、浮かんだことはただ一つだけです。

法を皆さん蔑ろにし過ぎじゃないですかね。2chのコピペブログとかまさにそうですが、著作権法って何のためにあるのでしょうか。
January 21 [Sat], 2012, 5:34
白山月中
共感であれ「かけ離れた」感であれ、200万を超えるページビューがあることが商品価値なわけで、大嫌いな人でも詳細に読んでしまうコンテンツだから書籍化されるだけなんじゃないでしょうか。

理不尽なリストラはすでに世の中に数あって、これが大変恵まれた例であることは確かだと思うのですが、もっと一般消費者の感覚にマッチしたリストラを読ませるコンテンツに仕上げた人はいないのです。
「一般消費者の感覚とマッチした人」がいるならそれは書いたらいいわけですよ。ただ、僕はそんな人がいるとも思えない。
一般消費者の多くは自分でリスクは取らずに文句だけ言うわけです。なんであいつがそんなにもらうんだ…と。ささやかなリスクにしろ、たぬきちさんがリスクを取った勇気に私は共感しています。

リストラなうの最大の価値は「現在の書籍流通/出版業界の限界」を描き出している点にあると思います。スクラップ&ビルド?…リストラクションされるのは、たぬきちではなくて出版業界だって、いうのがテーマだと私には受け取れましたよ。給与明細にしか興味のない人の方が多いでしょうけどね。
June 24 [Thu], 2010, 12:52
予め言っておくが、オイラのブログ内コメントはブログ主が論旨の変更がない範囲で切り貼り含めて自由に使って良いからな。気になるなら事後了承という事にでもしとけ。
気分転換法ってのを考えてみよう。
お洒落をして散歩、銭湯、自転車で遠出、知らない街、木漏れ日の河川敷、テント泊、布団干し、海を見に行く、友人の鍋パーティ、カメラで風景や人物採集。そういやこれらに仕事を絡めた人もポツポツいるよな。
June 11 [Fri], 2010, 12:45
>しかし、『「リストラなう」日記』に、たぬきち氏以外の第三者のコメントが、リスクを負ってまで掲載する必要があるのか、疑問は残る。文責がたぬきち氏の部分だけじゃダメなの??

>それ以上に謎なのが、「出版社が希望退職を募って応じた中年男性の語」が、なぜ書籍にするだけのコンテンツと看做されるのか、ということだ。

たぬきちさんの書いたものだけでは書籍にならないでしょう。
「出版社が希望退職を募って応じた中年男性の語」にブログ、ネットの反応が付加され、Twitterの流行に乗じてやっと書籍になるんではないかと。
よって、コメントの掲載が必須となるわけですが、それだけならブログを読んだほうが面白いでしょうし購入するほどのものじゃないと僕は思います。
「なう」だった部分やブログから発進したということをうまいことコンテンツにできないと、この本は失敗に終わるんじゃないでしょうか。
そういう意味で、たぬきちさんが新しい書籍の出版に挑戦しているんだったら「頑張れ!」と僕はいいたいですね。
ま、本意はしりませんがw
June 10 [Thu], 2010, 15:59

profile
Name:Parsley
Birthday:1976/4/8
Point:首が長い。つまりエロい
Favorite:エイガにケイバ
タバコ:Davidoff GOLD
ウィスキー:アーリータイムズ
おしごと募集!!
カワサキシティーで布団と同化中
コメントは返したり返さなかったりです。
parsleymood@gmail.com
さらに詳しいことはこちら

2010年06月
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
ランキング