『今ウェブは退化中ですが、何か?』を読んだ
February 07 [Sun], 2010, 23:40
今ウェブは退化中ですが、何か? クリック無間地獄に落ちた人々 (講談社BIZ)
posted with amazlet at 10.02.07
中川 淳一郎
講談社
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『ウェブはバカと暇人のもの』の中川淳一郎氏が、同書を刊行することによって受けた様々な批判・バッシングへの回答…といっていいのかな? とりあえず、とても刺激的なタイトルではある。
で。タイトル買いをした人はたぶん後悔したことだろう。本書には、ウェブが退化しているという、明確な証拠や、著者の見解はただの一言も記されていないからだ。
個人的には、あまりにも2chカルチャーに論拠が寄りすぎているような印象を受けた。10年前と比較して、「2ちゃんねる」というプラットフォームはホットな場とは言い難いし、ユーザーの高齢化&過疎化が進んでいる板が目立つような印象を持っている。だから、「2chをもとにネットを語られてもなぁ」と思ってしまった。
Twitterについて、著者は「面白さが分からない」という。「すごいこと」と挙げられていることが、全て代替可能なのでは、と問うのだが、これらは全てまっとうな疑問だと思う。唯一いうならば、コミュニケーションの手段が、ブログ⇒mixi⇒twitterと移っているのに合わせて、ユーザーも移動しているという視点を欠いていることぐらいだろうか。要は、筆者の周囲の友人が複数Twitterをしていてなおかつ連絡のツールとして利用していない限り、筆者がTwitterをするインセンティブはない。「面白くなさ」の正体は、非常にシンプルな理由のように感じた。
一方で、Twitterを用いる企業についても「何かの強迫観念のように参入している」と述べ、KDDIの事件に触れる。この件に触れる筆致は、KDDIのネット担当者に同情的で、「そうとうヘコこんでいた」と記す。著者は、常に「ネットサービス運営者」も人の子であるという、当然だが忘れがちな現実について、繰り返し言及している。
それにしても、だ。著者にしても企業の担当者にしても、どうしてここまで「煽り耐性」がないのだろう、と不思議だったりする。『ウェブはバカと暇人のもの』を『煩悩是劇場』様に批判されたことに触れているが、著者ほどのひとが、『煩悩是劇場』様ごときの言うことなんて一切気にする必要なんてないのに、と素朴に思う。
また、第四章で、テレビで旅番組を放映する際、男性一人&女性一人にすると「不倫旅行か!」というクレームが来るので必ず三人にするようになったというエピソードや、恵比寿ガーデンプレイスの動く歩道で「まもなく終点です」と50回も聞かされるハメになっているのは、オープン前後にたった2件の事故があったからという話があるが、これは日本社会が総じて「事なかれ主義」に染まっているという証左で、ネットのせい、とするのには無理があるような気がした。
そんなこんなで。ネットの悪い面を強調した本としては、前作ほどのキレはなく、燃料も既に流通している情報に基づいているので、良書だとは思えない。
それでも、Parsleyが本書のことを、「駄作」と決め付けることに躊躇われるのは、著者が「ネットに対する違和感」について、素直な言葉で綴られ、しかも著者の生活や考え方・それに人生経験を、可能な範囲内において綴られていることが分かるからだ。ところどころで、「はっ」とする著者の人生が垣間見えるのだ。
もし、前作を読まれて、「中川淳一郎ってどんなひとだろう?」と興味を持たれた方がいらっしゃるとするならば。それに対する答えは本書にある、と断言していいだろう。
そこまで自分をさらけ出して書籍にした、という一点において、Parsley的には中川氏のことを尊敬するし、本書を読んで良かったと思えた、ということを、敢えて付け加えておきたい。
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