ゼロ年代はなかった。(スタボ的に)
August 11 [Tue], 2009, 23:57
STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2009年 09月号 [雑誌]
posted with amazlet at 09.08.11
INFASパブリケーションズ
死に水を取るつもりで買いました、スタボの最終号。
4月号で、「スタジオ・ボイスの時代」という400号特集をしたばかりだというのに、「どこよりも早いゼロ年代ソウカツ!」をするハメになって、ご愁傷様です。
と、思っていると、表紙が故マイケル・ジャクソン。裏表紙が故忌野清志郎。ゼロ年代を総括するつもり、ぜんぜんなし(笑)。
誌面でも、24Pから18ページにもわたって、2000年より今号の発売日までに鬼籍に入ったクリエイターたちの追悼文が並ぶ。この中で、ゼロ年代に活躍したひとって、故野田凪くらいなんじゃないか?? 故赤塚不二夫を坂本龍一氏が追悼していたり、なんというか、呆れるしかなかった。
総括らしい対談としては、菊地成孔氏と湯山玲子女史の「時事放談」と、宇川直宏氏・佐々木敦氏・三田格氏の鼎談。ベスト・オブ・ゼロ年代映画として、イーストウッドの『グラン・トリノ』を選んだ樋口泰人氏・北大路隆志氏・五所純子女史の鼎談も含めて、10年前に90年代の総括をしていそうなメンツだ。実際、宇川氏は、冒頭で「僕はちょうど総括対談をやっていて」と述べている。
60年代生まれの菊地×湯川鼎談には、もの悲しささえ漂っていた。「グラビアがイケたのでは」(菊地)、「ボーイズラブ系は読者の取り込みも含め、一昨年くらいにやっておくべきだったね、草食系男子も」(湯山)…。草食系男子はともかく、ヌードグラビアもBLも、90年代のうちに表現記法が確立してしまったジャンルですよぉ。
それで、コンテンツの値段が安いことにいらいらしたり(でも、菊地氏はスタボがいくらで売っているのか知らないらしい。それでこそアーティスト!)、アマゾンのカスタマーレビューに怒ってみたり、広告モデルの崩壊を嘆いてみせたりする。で、自分たちが歳を取ったことを嘆息する。「不況下のエイティーズ」というテーゼを後身に伝えるために、加齢のリアリティの「嬉しさ」を伝えたいんですって。はぁ。
宇川・佐々木・三田鼎談は、「状況認識は正しいのに代入する記号が違う」ために、おかしな結論になっているような気がした。カルチャー誌が広告がなくなってなぎ倒されるという状況と、テレビが動画配信という形を変えて残っていくというアーキテクチャの変遷、バイラルマーケティングによる口コミによる消費、というツボの部分は押さえている。が、ユーザーのコミュニケーションに、身体性がないというように決め付けてしまっていることは明らかに誤謬だ。出会いの場がWebに移って以降も、「何か」が起きるのはオフだということは、ネットユーザーの誰もが知っている。
ゼロ年代が「作り物の時代」で、「モーニング娘。とDaft Punkを足すとPerfumeになる」という認識は、中田ヤスタカの持つ身体性にあまりにも無理解に思えた。結局のところ、このひとたちは、80年代・90年代の延長としてしか、ゼロ年代を捉えることが出来ないんだ。うーん。切ない。
結局、ちゃんと総括をしていたのは、imdkm氏、tomad氏、tofubeets氏のトークセッション。ここでも「ゼロ年代はSVが80年代特集をやって90年代特集をやっている時代」とあるのだが、そこは現役クラブミュージックの牽引者たちだけあり、理由を「インターネットによるアーカイブの影響」と冷静に認識しているし、twitterやニコニコ動画上でのユニティを正確に、もっと言えば皮膚感覚で理解しているように見えた。
しかし、「ゼロ年代の100枚」という企画の最後、選者にゼロ年代音楽ワースト1をアンケートしているのだが、これが本音がよく分かって面白い。
★ネット配信またその弊害 5名
★CCCD 4名
★閉店 4名
★Jポップ 3名
★スタジオ・ボイス休刊
★ファッション・エレクトロ
★「共有」という概念が強制力を持ってきたということ
★物分かりが良すぎる若者と骨抜きになった年寄り
★モーニング娘。
★YMO復活
★井上陽水「UNITED COVER」(01)、呑み屋で3回リピートされ、発狂。
★各種取り締まり(クラブのIDチェックなど)
★Perfume(白痴的メディア、痛いファン、C級フォロアー…)
★マイケル・ジャクソンの死
★M.I.Aに取材で会ったのにチューしなかったこと
★「Neil Young Archives 1(1963-1972)」(以下略)
★ワールド・ミュージック(以下略)
★デフレ
★スーパーオーディオCDが一般化しなかったこと。せっかくのDSD技術が…。
★ネット有名人充
★小泉政権
★DJの人達
★ブログ
★もったいぶったPC音響
これを読んで、私だったなら「ワースト1」の答えに「おまいら」と書くだろうなぁと思いました(笑)。要するに、「俺たちの仕事を無くしやがって!」というのは皆様共通しているのでは。私、ブロガーです、サーセン。
Parsley個人としては、スタボに何の思い入れもないのだけれど、この雑誌の編集・ライター陣は、「かっこいいオナニー」に固執していたように感じていて、最終号に、どう裸身をさらけ出してくれるのか、ちょっと期待していたところがあったのだけど、「スタボ」はやはり「スタボ」だった。らしいといえばらしいが、最期くらい、イカくささ満点の、みっともないオナニーを、観てみたかった。
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