題名:無極-PROMISE
時間:124分
監督:陳凱歌(チェン・カイコー)
出演:真田広之、チャン・ドンゴン、謝霆鋒、張栢芝 等
あらすじ:食べ物を求めて戦場をさまよう少女・傾城の前に、全知全能の女神“満神”が現れる。満神は世界中の男たちの寵愛と、何不自由ない暮らしを傾城に与える代わりに、永遠に真実の愛を得られない条件つきで。生きる術を持たない傾城は、真実の愛を放棄することを約束する。
十数年後、美しい女性に成長した傾城(セシリア・チャン)は、王妃となって豊かな暮らしを送っていた。その頃、王を支える無敵の大将軍・光明はこの世のものとは思えぬ脚力を持つ奴隷の男・昆崙(チャン・ドンゴン)に目を留め、自らの従者とする。やがて2人は無歓の反乱に遭い、そして危機に陥った王を救出するため城へと向かうのだが―。
鑑賞感想:DVDでいいかなと思ったが、色んな方から笑えるよ!だとか、CGがすごいので劇場で見たほうがいい!などのアドバイスもあって、結局日曜朝一に違う意味での期待を抱いて観にいったが、案の定チャン・ドンゴンの『
カンフーハッスル』並みのありえねぇーダッシュには笑わせてもらいましたし、無駄に美しいダイナミックなCGにも圧倒されました。
これが何故中国映画史上最高の興行成績を収める事が出来たのかいまいち理解できないけど、確かに俳優陣も旬な若手から実力派ばかりで、肝心のCGはものすごく綺麗でしたので、これだけでも見る価値は十分にあるかな。全てのシーンを美しく見せる事へのこだわりもあってか、実に見事なまでに幻想的な
ファンタジック神話劇になっています。
で、内容ですが、まぁ…噂通りでした。鑑賞後にはただ「
CGと音楽だけは良かったな…」というのが素直な感想。それ以外は何も感じられなかった。カイコー監督、どうしたんだろ?題材がいいのに、何故変にユーモアラスな演出を映画に盛り込むの?感動させたいのか、笑わせたいのか、そこら辺をはっきりして欲しい…。
以下にはネタバレ内容が含まれております

映画自体はかなりツッコミどころ満載ですが、冒頭の物語の導入部は良かったと思う。しかしその後に登場する崑崙のダッシュシーンに一気に興冷め。考えれば考えるほど物語設定は破綻してくるし、同じ情景を何度も往来しながら見せられて飽きてくるし、登場人物たちへの感情移入も残念ながらできませんでした。
そもそもチャン・ドンゴンが演じる崑崙の生まれた部族・雪国の人間はみな俊足であるという設定時点で、既に崑崙は観客を笑わせるコメディキャラ担当になる運命だったんですよ。崑崙が登場するたびに、走るのか?ダッシュするのか?と気になって仕方ない…。
この
ダッシュというキーワードは、劇中で時空をも超越する力―という重要な役割を果たしているけど、時空を超越する速さ=ダッシュというなんとも子供的で発想が萎えるし、またその演出も実に滑稽です…。こういう演出はコメディチックな神話劇ドラマならまだしも、映画にするとこうも失笑を買ってしまうものになるとは…。

それはともかく、映画のテーマでもある運命の選択やら復讐やらと、言いたい事もよく分かっているけど、だからどうした?というのが結論。東洋文化を知らない欧米人にしてみれば、なんともオリエンタルなファンタジーで素晴らしい映画だ―と賞賛されるかもしれませんが、正直こういうテーマはもうかなり古い。珍しくもなんともない…。ただそこにカイコー監督の美学が付随されているだけという―。
役者たちの演技はどちらかといえば上手いでしょう。ただ真田広之やチャン・ドンゴンの言語力を考慮した台詞が原因か、台詞のやり取りが実に薄っぺらなものでした。良く言えば簡潔にまとまっている、悪く言えば水準の低い会話が多すぎる。和訳字幕こそ良く書かれていたかもしれないけど、北京語だけ聞くとこれもちょっと…。

そして一番の見せ場で、無歓が傾城に「
この饅頭のせいでお前はオレに人を信じなくさせたのだ!オレに善人になるチャンスをお前が奪ったのだ!」という衝撃的告白にも思わずポカーン。え…一個の饅頭のせいでお前をここまで変態な大人にさせてしまったオチかよ…。真面目な内容なのに、このオチにもさすがに失笑。子供の頃に受けたトラウマってあなどれませんわ…本当に。
でも思えば一番の悲劇の主人公はやっぱ無歓ですね。彼はただ、心から信じられるたった一つの存在を渇望しているだけなのに、傾城は饅頭のために彼の心を大きく歪めてしまい、鬼狼もまた同族の崑崙に走ってしまい、光明が黒羽衣を選んで自分の味方になると最後にもう一度信じていたのにも関わらず、それでも彼は裏切られた。こうして天真爛漫な無歓少年の一生は、たった一個の饅頭のせいで、何もかも壊れてしまった。

まぁ、この作品が失敗しているところは欲張りすぎて、無駄に物語を大きく展開させてしまったってとこかな。全員に悲劇を用意して感動させてやろうという魂胆が、逆に映画の面白さを大きくマイナスさせてしまう要因になっていると思う。一応饅頭によって一連の事件が起きてるんだから、その繋がりで傾城と無歓二人だけに主点を置くだけで十分じゃないかと。
この作品はあくまでも、どんな些細な事でもその人の一生を大きく変えてしまう事が、常に我々自身の行動にあるという教訓を与える、大人のための寓話として考えればそこそこ良い作品かもね。ただこれをラブロマンスと思って観てしまうと痛いです。
ところで今中国で大ヒットwしている『
一個饅頭引発的血案』という、無極をパロった作品があるのですが、まさに映画の滑稽さを物語るのに相応しい爆笑的な内容でした。でもあまりにも大ヒットしすぎたためか、製作者はカイコー監督に起訴されたそうな…。このパロディは実に無極が描きたかった真髄を面白おかしく物語っている…。
無極-PROMISE 公式サイト
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PROMISE (無極) (香港版)
音楽
「The Promise (無極)」 オリジナルサウンドトラック
ご無沙汰しております!
確かに今までの陳導作品と比較すると、
若干首を傾げずにはいられない出来ですね…
見栄えだけこわだりすぎて、内容を疎かにしてるような気が