March 20 [Tue], 2007, 20:20

実は、これが初舞城先生。色々な人がMAIJYOMAIJYOって誰なんだそれはSINJYOの親戚かと思ってたんだが古本屋で見当たらなかったのでずっと保留にしてた作家先生。ようやくBOOKOFFでこれを見かけたので購入。色々な書評で舞城先生とセットで語られる「疾走感」「グルーヴ感」ってなんだそれはと長年の疑問だったんだが、結局は舞城先生の独特の文体を現す固有名詞と解釈してよろしかったのか。漠然とした知識で「三島由紀夫賞を受賞した覆面作家」ということは知っていたので、デビュー作がミステリだったことに驚いた。
純文学と違ってエンターテインメント、特にミステリ系の主人公はいわゆる万能型が多いわけだが、この主人公である躁病(おそらく)の外科医もかなり飛んでいる。なんか京極先生の作品に出てくる榎木津礼二郎氏を彷彿とさせたが、そいつが一人称で語るものだから眩暈がしてきた。なるほど、これがグルーヴ感か。ミステリとして読むと釈然としない所があるが、そんなことはどうでもいいのだ。電車の中で読みながら一駅乗り過ごしたという事実が、舞城先生の疾走力を物語っている。
なんだ、もう少し早く舞城先生を知っておくべきだった。好き嫌いがはっきり分かれる文体だが、私は好きだ。と、言うことで、御用達のeBOOKOFFで「阿修羅ガール」と「世界は密室でできている」を購入。届くのが楽しみ。
March 19 [Mon], 2007, 17:51

九つの短編小説集。菅浩江先生はSFからファンタジーから推理まで幅広く書く方なのだけれど、この本ばかりはどこにどう分類したらいいのか迷う。一応「ホラー集」とは銘打っているが、官能小説といわれても別に反論の余地はないような気も。全くそんな描写は出てこないのだけれど、何と言うか、女の胎の底に層を成して淀んだ澱みたいなものが、行間からでろでろと流れ出してくるような所が妙に生々しい。
何にしても、菅先生はどのようなジャンルの小説だろうと内情的な部分の精緻な描写が秀逸であり、正直内容なんて面白くなかろうがどうでもいいのだ。私の中では。筆致で読ませるという点に関しては、結局幻想小説家というカテゴリなのか。狂った女の一人称小説としては、右にでるものはないかもしれない。いや、若合春侑先生の
「腦病院へまゐります。」があったか。でも、これ一人称だったっけ。かなり昔に読んだから忘れた。
しかしあまりに女性の情念が観念的に書かれるあまり、男性が読んでも面白くないかもしれん。もし共感できたりしたら、貴方は女性の扱いが上手いお方だと思うので、自信を持っていただきたい。
February 26 [Mon], 2007, 18:31
有川浩先生が一般作家として認識されるに至り、ライトノベルなんだか何だかよく分からない地点を迷走しかかっているメディアワークス社の小説大賞受賞作。この人も有川先生路線狙いか。何と言っても挿絵がない。これはすごい画期的だ。電車の中でライトノベル読む時、前もって挿絵のあるページに紙を挟んでおいて隠す必要がない。おまけに有川先生の解説付きだ。と期待して読んだら、なんてことはない。中身はライトノベルでした。なんだろうこの、ブランド物の箱の中にユニクロ製品が入っていたようなガッカリ感。
危ない危ない、メディアワークス社に洗脳されるところだった。どういう方面に向かいたいのか分からない出版社だ。
内容的に気になったのは、一人も悪役が出てこないことだが、作者はまだ21歳だそうな。それは仕方ない。最近の馬鹿に悪役を出そうとする若い作家よりは数倍マシだ。ライトノベルとして読むとそこそこ読めた。毒気を求めている方にはお勧めできないが。紅玉先生には人生経験を積んで、ゆっくり書いて行っていただきたい。