パリで、ハンブルクの響きと再会する。
2008.11.23 [Sun] 11:01


 昨日、サル・プレイエル(Salle Peleyel)にて行われたハンブルグ北ドイツ放送交響楽団(NDR Sinfonieorchester Hamburg)の演奏会に出かけてきました。嗚呼、「ハンブルク」と書いただけで、あのドイツの冷たい空気が懐かしい!

 私がドイツ・ハンブルクで2年間師事していた先生は、このNDR所属。
 NDRの演奏会に出かけたことは数えるほどしかありませんが、パリ管弦楽団、パリ・オペラ座に並び、「3大私の大好きオーケストラ」に入ります。ドイツらしい安定したスタイルを持ちながらも、その響きは現代的で明るく、時代に敏感な柔軟性を感じさせる管弦楽団、というのが、わたしのNDRの印象です。

 最初は演奏会があるということがただ嬉しくて、プログラムにはあまり注意を払っていなかったのですが、ざっと調べてみると、とても意欲的な演目であることが分かります。

 前半のプログラムは、R・シュトラウスの2作品。
 一つ目は、それまでの古典的手法から脱却し、新たな音楽スタイルより作曲された交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら(Till Eulenspiegels Lustige Streiche, 1895年)」。実験的技法が随所に盛り込まれ、新たな試みをのびのびと楽しむ作曲者が目に浮かぶような作品です。一方、続いてはナチスとの関係維持に苦労したのちに生み出され、それまでの古きよき、美しきドイツの死を表現したとされる「メタモルフォーゼン(Metamorphosen,1945年)」。愛する祖国の望まぬ形への変容が独特の和音のゆがみとなって、23の弦楽器により表されます。

 後半のプログラムは、ロベルト・シューマン「交響曲第二番」(1846)。
 こちらはシューマンが精神疾患と闘いながらも完成させたもので、シューマンの交響曲の中ではもっとも演奏機会がすくないのだとか。反復の多い独特の楽曲構成から、指揮者によりどのようにでも料理が可能。そのため逆に、指揮者の力量が問われる難しい曲とされているそうです。

 この意欲的プログラムを持って楽団を率いるのは、2004年からNDRの首席を務めるクリストフ・フォン・ドホナーニ(Christoph von Dohnányi)。真っ白いふさふさの髪が、かつての帝王カラヤンを彷彿とさせます。全体的に、今回の彼の曲作りはとても知的で、抑制の効いた印象。層の厚い、しっかりした弦の響きの上で金管が絶妙のフォルテを響かせるのは、聴いていてとても気持ちが良かったです。演奏開始直後は、ホルンが「ティル…」の有名な冒頭の旋律を一音はずしてしまったせいか、金管は硬い響きでしたが、トロンボーンが入ってからは全体的に力が抜け、楽になったように感じました。オーボエとフルートは、息ぴったりー!(ここ重要)木管セクションは、いつもと変わらぬ、すばらしい安定感。フルート&ピッコロは、気持ちいいほどに揺らがぬ高音域の音程、ごり押ししなくても他の楽器に負けない明るい響きも健在で、ただただ嬉しくなりました。

 思い返せば、初めてNDRの響きを聴いたのも、やはりパリ。うお、懐かし!久しぶりに大好きな先生に再会し、ぎゅーとハグ。相変わらずの先生の笑顔が何よりも嬉しい一晩でした。

「ハンブルグ北ドイツ放送交響楽団(NDR Sinfonieorchester Hamburg)」
http://www4.ndr.de/sinfonieorchester/sinfonieindex4.html


「サル・プレイエル(Salle Pleyel)」
http://www.sallepleyel.fr/

252, rue du Faubourg Saint-Honoré
Paris 8ème
tel:01 42 56 13 13
地下鉄テルヌ駅(Ternes)下車


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追記:先日の演奏会にお越しくださった方々、励ましのお言葉を下さった方々、本当にありがとうございました!何とか無事、終えることが出来たのも、一重に皆様のおかげです。感謝の気持ちで一杯です。演奏会後、風邪をひいてしまい(油断大敵)しばらく日課をこなすので精一杯だったのですが、もう復活ー!また、のんびりとブログを更新していけそうです。風邪でお休みしている間に、ちょっと不思議なコメントがどさどさ届いていましたので、コメント欄は承認制にさせていただきます。これからも、よろしくお願いいたします。