聖都へ2 

March 14 [Sat], 2009, 16:01
予言を境に、王太子トルビカの周囲では冷ややかな空気が流れている。
最も身近にいた筈のダジャン家の三男坊のエルレド等同世代の貴族たちはすっかり姿を見せなくなったし、押しかけの側近たちは姿を見せる頻度が格段に減っている。
昨夜のダーネル候の宴にも同行していたクレガーが、皇子の外出に供を願い出たが、不機嫌なトルビカは返事をすることもなく、宮を飛び出してきてしまった。

「クレガー殿は、相変らずですか」
騎馬を並べたアントレスが声をかける。
カイツは先を行くトルビカの周囲に目を配りながらも、少し騎馬を離した。
「唯一、変わりのない取り巻きと言っていい」
もっとも、皇子の身辺を警護する勤めを担う近衛にとっては、貴族の子弟が付いて回らない方が仕事が容易いので、予言以降は仕事が楽になったと、バーレア辺りは軽口を叩いている。
しかし、王子直付きの近衛を増やされる予定である。今まで以上に、皇子の周辺に不穏な空気が流れていることは誰の目にも明らかである。
「お前も、こっちに配属されるのか?」
本来は王宮自体の守護を任される隊に所属しているアントレスが、珍しく王子に同行している。
「いえ。今日は非番だった所を呼び出されましてね。私は隊を外れることになりそうですよ」
カイツは思わずアントレスの方を見る。
真っ直ぐに前方に向けられた横顔は、相変わらずの美男子ぶりである。
「まさか、予言の王子を探せとでも言われたか?」
「まさか」
美男子は軽やかに笑う。
「我々の王子はトルビカ殿下ただお一人でしょう。メリック様も、あの予言は不和の元と頭を抱えていらっしゃるようですよ」


P R
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