あとがき 

2005年12月31日(土) 13時23分
はーい、第二話終わりました〜。
全20話?
制限文字数が増えて!
なんとか20話(汗)今までの制限では60話以上確実でしょう(;^_^A
良かった〜今日という日に間に合って!
ははは……ここから先はネタバレになるので反転してお読みくださーい


ということで!第二話!
クリスマスには間に合わなかったけど大晦日には間に合いました!
まじ良かった……。
間に合わないかと思いましたよ……まじで。
しかし、この話の辿り着く先はどこなんでしょうねえ。
もう千秋ファンも敵に回すようなシロモノ書いてるとしか思えない……(滝汗)
千秋のトレードマークの尻尾も切らせちゃったし……。つーか、失恋で髪切る(←違うから!)千秋ってどうなのよ!?
それに南都ちゃんの存在もヒンシュクもんかも……。
ああ、言い訳だけどね!
和田南都はまー作品にも書きましたが、高野で高耶さん側に付いたはずの和田という修業僧の、私が創作した娘です。
南都という名前は南都七大寺からとっただけで!千秋の姉の名の響きに字を宛てたわけではないんですよ!←ここ強調〜。
うう。第二話目はドリーム小説だとでも思って読んでくだせい……。
さて、ちょっと話は飛びますが、第三話目は先に宣言しますが、佐々木まだ出ません(爆)
次回出演予定は……Tさんです。
ええ。千秋さん疾走で皆慌てふためいてる話です。はい。


今度、サイトに上げる時は、クリスマスイブ南都視点バージョンを追加しますので、よろしければまた読んでやってください。

それでは良いお年を!
ばいばいびーん

世界は俺色に染まる40〜42 

2005年12月31日(土) 12時40分
「あああ!」
 なんで俺がッと吠えれば、すかさず、すぱこーんと軽い打撃を後頭部に受けて俺は恨めしげに振り返った。
「つべこべ言わず、さっさと着替える!」
 背後から俺の頭をはっ叩いたのは、この寺の住職の一人娘??和田南都だ。
「新年まで一時間切ってんだから!」
「…………」
 と言いつつ、叩くのに使ったであろうカイロを俺の背へとべたべたと貼り、
「今日は寝れないからね! しっかり頼むわよ! 代理住職!」
 ドンと俺の背を押した。
 馬鹿力め……! と恨めしく振り返ようにも、今度は降ってきた袈裟によって視界を奪れて……。
 仕方なく! 俺は、渋々! 袈裟を手に取り、ひっ被った。
「………」
 あの日。クリスマス・イヴのあの夜??。
 家に帰りついてみれば……。
 玄関のシルエットに仁王立ちした人形(ひとがた)があった。
 玄関をガラガラと開けてみれば??案の定だ。
 ……青筋立てた南都の父、この寺の住職こと栄明が立っていた。
 いや、まあ、やましいことなど俺に何一つない。当然だ。
 南都とは買い物に出て夕食をとり、少し長引いたがクリスマス・イルミネーションを見てきただけなのだから。
 だからといって、朝帰りとまではいかなくとも、深夜零時を過ぎて帰れば??……。
 俺と南都は居間に促されて、栄明の前に二人並んで正座させられた。
 お前達分かってんだろうな、という視線に俺も南都も明後日の方向を向いている。言い訳するつもりはないが、反省するつもりもない俺たちに先に折れたのはやはり、栄明のほうであった。
「千秋くん、南都。よく聞きなさい」
「…………」
「??実は、……明日から高野に行くことになった」
 俺も南都もふーんぐらいな感想だった。
「で、節分まで帰れない」 俺はへーと思った程度だが、
「…………」
 ガタッと膝立ちのうえ、机が揺れた。
「??!?!!」
 聞き流せなかったのは、
「正月どーすんのよ!?」 南都だった。
 俺はというと、まだこの時点で危機感はなかった。
「大晦日は!? 除夜の鐘突きは!? 初祈願は!? 檀家の接待は!? 修正会は!?」
 よくも口が回るものだとまくしたてる南都を横目に俺は欠伸を噛み殺した。
「……。千秋くんに、任せる」
 …………。
 ...

世界は俺色に染まる42 

2005年12月31日(土) 12時40分
 し、死ぬと思うほど、俺は揺さ振られ。
 ……てんやわんやで大晦日、……で、ある。
 勿論、現在、栄明は高野山。ここに残るのは俺と南都だけ。
(……高野の高僧だなんて、聞いてねーぞ……!)
 だから、こうして除夜の鐘突きのため俺は準備している。
 ??読経は大丈夫。合格点だ。
 なーにが合格点だ。なーにがッ。
 ??あとは護摩さえ焚ければ……。
 俺は景虎や直江とは違うっつーの!!
 本当! 無理を押しつけやがる……と悪態をついてみても。
 結局俺はこうして??ここに。
「何? 南都」
 着物を整え、息を抜くとちょうど下から覗く目線とかち合った。
「いやー、似合わないなぁと思って……」
「………ッ」
 まじまじ眺めて言うな! 俺だって着たくて着てんじゃねえ!
 その人の悪い笑みがッ非ッ常ーに腹が立つ!
「あわわわ。待った! 待った! 脱がない。脱がない!」
「髪まで切ったんだぞ……!」
「うん。益々良い男になった!」
 笑いながら言われても、
「説得力ねーよ!」
「まあ、そう言わず。あんただけが頼りなんだから!」
「だったら、もっと丁重に扱え」
「なっあーに偉そうに! 居候のくせに!!」
 こんな会話は日常茶飯事だ。
「働かざるもの食うべからず!」
 さ、行くよと言って彼女は携帯ラジオを片手に俺を誘う。
「おまえこそ、数かぞえ間違えんなよ!」
「誰に言ってんのよ」
 あと少しで年が変わる。「あんたこそ、心して百八つ突きなさいよ! 煩悩だらけなんなだから」
「どういう意味だよ……」
「そのまんまに決まってんじゃない」
 彼女はくるりと振り返った。
「ま、いい人生のリハビリには、もってこいじゃない?」
 ああ、的を射ているようでそうでないようで。
 俺は南都の頭を掴み、前を向かせた。
「バカ。大きなお世話だ」
 俺の口元には静かな笑みが分からない程度に。
 外に出れば、澄んだ空気に雲一つない空。
 俺はこうしてここに存在る。
 今はそれで??……十分、だ。
「南都。しっかり伝えろよ」
 新年になる瞬間を。
 新たな始まりに、
 今度は俺自身の幸福せを、

 ??考えよう。

世界は俺色に染まる41 

2005年12月30日(金) 9時40分
 俺も南都もふーんぐらいな感想だった。
「で、節分まで帰れない」 俺はへーと思った程度だが、
「…………」
 ガタッと膝立ちのうえ、机が揺れた。
「??!?!!」
 聞き流せなかったのは、
「正月どーすんのよ!?」 南都だった。
 俺はというと、まだこの時点で危機感はなかった。
「大晦日は!? 除夜の鐘突きは!? 初祈願は!? 檀家の接待は!? 修正会は!?」
 よくも口が回るものだとまくしたてる南都を横目に俺は欠伸を噛み殺した。
「……。千秋くんに、任せる」
 …………。
 ん?
「…………」
 は?
 俺と南都は顔を見合わせた。突然話を振られた俺もまくしたてていた南都も寝耳に水で……。

 はぁぁァアア!?

「馬鹿かッ、お前は!?」
「何考えてるのよ!?」
「俺は坊主じゃねーぞ!」
「そうよ! 何言いだしてんのよ! 無理よ!」
 猛然と俺と南都は目の前の馬鹿男に食い下がったが、どこ吹く風だ。
「千秋くんならできる! 心配ない!」
「心配ないじゃない! そういう問題じゃない!」
「そうだ。そういう問題じゃない! 第一こういう場合は代わりの僧が派遣されるってもんじゃねーのか!?」
「それはできない」
「なんでよ!?」
「なんでだよ!?」
 栄明の言い分に俺たちの疑問はハモられた。
「人手が足りなくて呼び出しをくらったんだ。代理を寄越せなんて言えないだろう」
 それに、と嘆息混じりに言って、
「高野から派遣されてきて困るのは千秋くんだろう?」
 南都がどういう意味よ!? と騒ぎ立てている横で俺は詰まった。
 確かに俺は高野山や比叡山で暴れてはいない。が、高野山では??……。
 散々、大将と旦那が暴れているし、裏四国まで成し遂げてしまっている。やった本人でなくとも同じ結縁者となれば……、まして換生者ともなれば??。
「??あんた、何者んだよ……?」
 最初から何かと怪しかったが、この時、初めて俺はその疑問を口にした。
 にこにこ微笑っているが、コイツは??。
「それはこっちの台詞よーッ!」
「!」
 思わぬところから声が上がり、そのうえ襟首を掴まれ、
「な、南都ぅ!?」
「前々から怪しいとは思ってたのよ!」
「く、苦しい……」
「さあ、白...

世界は俺色に染まる40 

2005年12月30日(金) 9時39分
「あああ!」
 なんで俺がッと吠えれば、すかさず、すぱこーんと軽い打撃を後頭部に受けて俺は恨めしげに振り返った。
「つべこべ言わず、さっさと着替える!」
 背後から俺の頭をはっ叩いたのは、この寺の住職の一人娘??和田南都だ。
「新年まで一時間切ってんだから!」
「…………」
 と言いつつ、叩くのに使ったであろうカイロを俺の背へとべたべたと貼り、
「今日は寝れないからね! しっかり頼むわよ! 代理住職!」
 ドンと俺の背を押した。
 馬鹿力め……! と恨めしく振り返ようにも、今度は降ってきた袈裟によって視界を奪れて……。
 仕方なく! 俺は、渋々! 袈裟を手に取り、ひっ被った。
「………」
 あの日。クリスマス・イヴのあの夜??。
 家に帰りついてみれば……。
 玄関のシルエットに仁王立ちした人形(ひとがた)があった。
 玄関をガラガラと開けてみれば??案の定だ。
 ……青筋立てた南都の父、この寺の住職こと栄明が立っていた。
 いや、まあ、やましいことなど俺に何一つない。当然だ。
 南都とは買い物に出て夕食をとり、少し長引いたがクリスマス・イルミネーションを見てきただけなのだから。
 だからといって、朝帰りとまではいかなくとも、深夜零時を過ぎて帰れば??……。
 俺と南都は居間に促されて、栄明の前に二人並んで正座させられた。
 お前達分かってんだろうな、という視線に俺も南都も明後日の方向を向いている。言い訳するつもりはないが、反省するつもりもない俺たちに先に折れたのはやはり、栄明のほうであった。
「千秋くん、南都。よく聞きなさい」
「…………」
「??実は、……明日から高野に行くことになった」

世界は俺色に染まる34〜39 

2005年12月29日(木) 9時44分
 一言で言えば、居心地が良かったのである。
 だから、居座った。
「…………」
 ここに、留まることを決めたのは、気紛れにすぎなかった。けれど、そうなることは案外必然だったのかもしれないと今は思っている。
 俺は瞳を細めた。
 行く道を飾るイルミネーションがちらちらと点灯しだして、人々の目線が泳ぐ。歓声を上げる人、指を差す人、駆け寄る子供??。
 俺が欲していたものは何なのだろうか。
 あの時から俺は考え続けている。あの日からずっと??……。そうずっと……。
 考えなかった時は唯一、今では日課と化したお経を上げている時ぐらいだ。まーこんな日が来るとは思いもよらなかったが。その時ばかりは考えている余裕はない。いくら仏と契っていようと、日常使っていなけりゃ忘れるものだ。だから、何百年ぶりの読経は悪戦苦闘もいいところなのである。
 けれど、それ以外の時は、そう、酒に興じていようと何をしていようと寝るとき、……夢でさえも頭からそのことはそう簡単に離れてはくれなかった。
 俺が欲していたものは何なのだろうか。俺は何を欲したのか。俺は彼に……何を、

 ??何を、望んだのか。

「????……」
 俺が望むことなんて??。
 彼の、幸福(倖せ)には代えられない。
 けど、想いは??……!
 ??馬鹿ッ 千秋!
 前を行く少女。
 ??働かざるもの食うべからず!
 柱にもたれて座る俺の眼前で仁王立ちした少女。
 彼女がいなかったら??。
 俺は顎を引いた。
「なぁーつ。なーつ。南都ちゃん?」
 俺の呼び掛けを無視してずんずん行く彼女がいなかったら??。
「おーい、南都! 南都! 待てよ。南都ぅー!」
 俺は??。
「南都南都と……町中で大声で呼ばないでよ! 恥ず??」
 ここにいることは??……。
「??……ッ」
「??今日は」
 背を向けた彼女にふぁさりとマフラーを巻いた。
 肌ざわりの良い、白いマフラー。俺が買い物していた時、彼女が見ていたものだ。
「ありがとな」
 もしも彼女がいなかったら、俺は現実に係わることを今以上に拒絶して、きっと未だ内に籠もっていたに違いない。現実に疲れきった俺は少なくとも、町中に出てこようなんて考えもしなかっただろう。
 彼女がいなければ。
「どうした? 南都」
...

世界は俺色に染まる39 

2005年12月29日(木) 5時39分
「つらいでしょ」
「それでも、だ」
「…………」
「それでも、なんだ……」
 最近、出来うる限り考えないようしてきたあの人との思い出が堰をきったように溢れ涌いて。
 もう……どうしようもなかった。
 止められは、??しない。この想いを。
 嘘も真実もあったもんじゃない。心と体はばらばらだ。
 そこに残るのは単なる俺の弱さで。
 俺の顔はきっちりと微笑えているだろうか。いや、微笑わなければならない。
「これから、……何処へ行くの?」
「…………」
「そんな顔して??」
 俺へと伸ばされる手。
「手放したく」
 間近に迫るその小さな手をやんわりと俺は握りこんだ。
「??ないんでしょう?」 それでも、だ。
 手放しても、
「あの人には??」
 俺は南都の手を引いた。ドンと俺の胸に倒れこむ彼女を強く抱き締め、
 耳元に唇を宛てた。

 ??幸せになって、もらいたい。

「……ッ……」
 キュッと彼女は俺の服を握りこんだのが服伝いに伝わる。
「……そんなの」
 彼女の手は小刻みに震えている。
「そんなのないよ……! あんたの幸せは? 千秋あんた自身の幸せは……何処に。私は??千秋!」

 ??……千秋自身に幸せになって、もらいたい……!

「…………」
 ああ??。願わくば。
 大声で泣きだす彼女を抱えて、俺は夜空を仰ぎ見た。
 ホワイトクリスマスになる気配はない。それどころか澄み渡る空は清々しく快晴だ。
 仰ぎ見た空には、都会の下としては少し多めの星が瞬いて、目を細めれば今にも零れ落ちそうに揺れている。
 ああ??。願わくば。神様。
 瞳を閉じると、俺の頬に一筋の線が引かれた。

 この、……??どうしようもない俺を。

 ??救済ってください。

世界は俺色に染まる38 

2005年12月29日(木) 5時38分
「…………」
 さらりと言われ、思わずスルー仕掛けたが、
「別にあんたが他人の幸福(しあわせ)に貢献しなくってもいいってこと」
 今度こそ俺の心臓は高鳴った。見るのが恐い。きっと迷うことなく俺に向けている、その双眸を。
 人間は想像以上に??。
 いつの時代も気が付かされ、思い知らされ、すぐに忘れてしまうこの事実に。
「俺はこの木と同じか?」 シニカルに笑むはずだったのにまったく笑えはしなかった。
「千秋ってプライド高いよねえ」
 呆れたように彼女は俺に告げた。
「自分で分かってて知らないふりするんだから」
「どういう意味だよ……?」
「そのまんまよ。そのまーんま!」
 と言った彼女は一歩前に出て、
「もっと素直に生きれば?」
 背伸びがてら向き直った。
「…………。俺はいつだって??」
「嘘ばっかり、それのどこが素直だっていうの。この意地っ張り!」
「????なっ」
「そんな顔で言っても説得力ないし」
「…………」
 そうまで言われれば、俺だって黙らざるを得ない。そんな俺を彼女は見つめ続けている。
「笑って??」
 真実を。
「嘘をつくのは」
 飲み込むのは。
「つらくない?」
「????……」
 ツラクナイ、ワケ、ガ、ナイ??……。
 でも、それを引っ括めて??……すべてを??すべてを承知で。俺は。
 そう思うのと同時に。
 心は破裂しそうなのに。
 ……??それでも。
「つかなけりゃならない……嘘も、ある」

世界は俺色に染まる37 

2005年12月28日(水) 11時46分
 きれいでしょ? と彼女は得意気に笑った。
 今度は独り言ではなく、俺に向けて。そう笑ってみせた。
 彼女が俺に見せたかったモノは、夜闇の中、彼女の背後で万人に等しく煌めいていた。
 けれど、俺には。
 それよりも??。


 てっきり俺は家路についたのだと思っていた。
 電車に揺られ、最寄りの駅に着けば、バスに乗り継いだ。それはいたって平々凡々とした棲み家たる寺までの経路で。唯一、違っていたのは降りた停留所がいつもより二つほど前だったことだ。
「…………」
 俺はあんぐりと口を開けて見てしまった。
「??ああ、こりゃ」
 すげえな。
「すごいでしょう」
 すごいけど、すごいにはすごいが、
「おい。南都……これって」
 連れて来られた場所はよくある普通の公園である。 その中心には??。
「ふふん。なかなかの穴場なんだよね」
 電球のコードに絡めとられた木は。
「……これって」
「銀杏の木よ」
「??すごいコラボ、だな」
「ま、こんなもんでしょ」
 くすくすと喉のあたりで笑っている南都がいた。
 こんな、モノか……。
 こんなモノなのか。
「そうよ。こんなものよ」
 太い幹にもみの木よりもみの木らしい枝ぶり。ショッピングセンターにあったそれよりも、当たり前だが大きく、地に根を張っている。
「さすが日本人って感じで私はこっちのが好き」
 クリスマスと託けてそれらしきものなら、何でも飾り立ててしまう日本人という種はいい加減だ。
「信仰なんてあったもんじゃねーな」
「それがいいんじゃない」 悪戯心と遊び心。
「楽しければいいのよ」
 その最たる犠牲者を俺は見たような気がした。
「クリスマスなんてそんなものよ」
 この木には悪いけどね、と南都は舌を出してみせた。
「??でも、千秋がこの木になる必要はないよ」

世界は俺色に染まる36 

2005年12月28日(水) 11時45分
「きれい」
 そう呟いて巨大ツリーを見上げる彼女の脇に俺は立った。
 巨大ショッピングセンターの広場に相応しく堂々と立つモミの木は、金や銀、ラメ光りする赤や青の玉が所狭しとちりばめられて、金色の天使達が舞う。その合間合間を縫って電球が点滅していれば、人々が見惚れる要素は十分だ。
「??千秋は」
 上向く彼女が呟いた。その響きにはいつもの俺に向ける刺々しさはない。
「千秋は、好き?」
 それどころか、向けられる眼差しは挑戦的なうえに透明で。
「????……」
 こういう眼を俺は知っていると思った。と、同時にその真実を見抜く眼に硬直してしまった。

 ??千秋。

 脳裏を掠める面影。
 思い出そうとしさえすれば、今尚、褪せることなく。
「こういうの」
 強い視線が俺から離れる。その視線が向かう先を俺は追った。
 巨大なツリー。
 彼女がきれいだと言ったそれは当たり前だが、俺の目の前に変わらず存在して輝いている。あたかも瞬く光は見る人各々の細やかな幸せのように。

 ??願いのように。

 瞬いている。
 俺はそれを??、
「嫌いじゃねーな」
 一年に一度、この日のために用意された木は今日だけに意味があり、明日にはなんの意味もなくなってしまう。
 けれど、それでも。
 今日という日に思い思いにこの木を見上げて、思い思いの倖せがここに存在る。
 俺はそれを嫌いじゃない。寧ろ??。
「……??そう」
 出し抜けに相槌を打たれて、視線を落とした。
「南都?」
 彼女は軽く唇を噛み、俯いている。そして、名を呼べばキッと睨まれてしまった。
 先程まで機嫌が良かったはずなのに一転して悪くなってしまったようだ。
 同居しはじめて、三週間。彼女が気難しいことは理解した。自分が歓迎されていないことも重々承知の上、それでも本気で嫌われてはいないと確信を持てたのはつい先頃。
 じっと彼女はツリーを見ている。そして、おもむろに一歩を踏み出した。俺もその後に続く。
「…………」
 振り返る気配のない彼女が俺に抱く想いと憤りに気が付けるほど今の俺には余裕がなかった。
P R
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