<南海トラフ地震被害想定>企業、事業継続へ備え

August 30 [Thu], 2012, 13:30
 南海トラフ巨大地震が直撃する可能性がある中部地方には、トヨタ自動車をはじめ大手自動車メーカーが多数の工場を抱えているほか、日本の航空宇宙産業の約5割が集中している。被災してサプライチェーン(部品供給網)が断たれた場合は世界的にも影響が大きく、中部から近畿地方にかけて主力工場などを持つ企業は、事業継続計画(BCP)を策定するなどして、被災した場合でも損害を最小限に抑えるための対策を急いでいる。【米川直己、高橋慶浩、新宮達】

【南海トラフ地震被害想定】東海3県の死者、最悪6万6千人

 「2週間以内に生産を再開することが目標だ」−−。愛知県内に工場が集中するトヨタ自動車の幹部はそう強調する。

 トヨタは同県内に12工場を持つが、すべてで震度6強レベルの耐震補強を完了した。同県豊田市にある本社の情報システムが不能になった場合、グループの日野自動車(東京都日野市)やダイハツ工業(大阪府池田市)のシステムでバックアップし、万一の際でも世界の関連部署に指示を出せる仕組みを構築。沿岸部にある田原工場(愛知県田原市、従業員約8000人)では、津波が襲った場合、従業員が屋根に避難できるよう補強も行った。今後、3メートルの防波堤のかさ上げも検討する。

 東日本大震災の際、問題になったのが供給網の寸断だった。トヨタも減産を強いられたため、現在さまざまな対応を協議している。トヨタ向け特殊部品を生産するメーカーに対しては、リスク分散のため2拠点以上での生産を交渉中。分散できない場合は、被災後の復旧に必要な期間分の在庫を確保するよう要請する方針。ただ工場や設備の被災が最小限にとどまっても、「道路や港湾の損壊など読み切れない要素がある」(トヨタ)のも実情だ。

 静岡県牧之原市から湖西市まで、沿岸部に本社(浜松市南区)を含めた主要施設を持つスズキも「企業の防衛としてきちんとしたものをやらなくてはならない」(鈴木修会長)と指摘。同社は海岸から約300メートルにある二輪技術センター(磐田市)を浜松市北区の高台に移転させる方針だ。また浜岡原発に最も近い相良工場(牧之原市)に集中していたエンジン組み立て部門を他工場に分散させる。

 三菱重工業大江工場(名古屋市港区)は、米ボーイング社の最新鋭中型旅客機B787の主翼製造を一手に担う。港湾などが被災し、供給網が寸断されれば世界的にも影響が大きい。同社は「一民間企業では独自に(防波堤設置などの)対策は立てようがない」とし、国の対策が望まれる。

 関西でも、パナソニックがプラズマパネルの尼崎工場(兵庫県尼崎市)やリチウムイオン電池の住之江工場(大阪市)が津波に遭う可能性があると想定。電力関連やメーンコンピューターなどの重要設備を建物の2階以上に移動することなどを検討している。災害時の対策を定めたBCPを策定し、態勢を徹底しようという動きも加速している。

 一方、経済産業省によると、南海トラフと首都直下型地震の被害想定地域には国内の8割に当たる22カ所の製油所がある。震度6強の地震が発生すれば操業停止する可能性が出てくる。出光興産は「火災につながらないよう、タンク容量に対する備蓄量を減らすなどしている」とし、各社も対策を強化している。
ヴィトン 偽物 ◇事業継続計画(BCP)◇

 Business Continuity Planの略。大地震などの災害や感染症の大流行など非常事態が発生した時に損害を最小限に抑えるため、企業や行政機関などが事業を続けたり、短期間で復旧するために必要な作業や態勢を事前に定めたUGGブーツ計画。指揮命令系統や優先すべき業務の確認、代替工場の確保、従業員の安否確認などを決めておく。

 01年の米同時多発テロ以降、欧米で策定の必要性が指摘され、日本でも05年以降、政府が策定を呼びかけている。内閣府が昨年11月に実施した調査では、BCPを策定済みか策定中の大企業は回答した企業(674社)のうち72%で2年前より14ポイント増加した。東日本大震災を機に意識が高まったと見られている。
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