皆様ご存知でしょうか、「折句」。
そうあの、伊勢物語のかれいひのくだりでお馴染みのあれです。ご存じない方はグーグル先生にご教授お願いしてください。
それも面倒だという方にざっくり説明いたしますと、要は短歌って「五・七・五・七・七」の五つのブロックに分かれてるじゃないですか?そこに五文字のお題を与えて各々の文頭をその文字から始まるようにしばったものです。
例えばお題が「かきつばた」なら「からころも きつつなれにし つまなれば…」という具合になるんですね。
何故このようなことを急に突拍子も無く唐突に始めたかというと、最近twitterの刹那的な魅力に支配されてろくすっぽまとまったこう…作品なりなんなり書いてねえな、と今更後悔し出したためです。決して就職活動から逃避したいからとか、そんなマイナス思考が結実したものではありません。
しかし私の様な「無駄に重厚な雰囲気の名前と、何も考えていないだけなのに『落ち着いてる』と勘違いされがちな佇まいと、むやみやたらに低い声」のせいで、理不尽なまでには博識でボキャブラリー豊富な人物と勘違いされがちな残念体質の人間に、そうそう5文字のお題が思いつく筈も無く、結局twitterで私のしょうもない呟きを拝見してくださる心優しきフォロワーさんにお願いしたところ、午前2時半から6時過ぎまで、およそ三時間半の攻防戦が繰り広げられたのでありました。最終的に私「わんこそば食えなくて半泣きの出川」みたいな状態に。
でもそのような調教…言葉のラリーのお陰で、54句もの折句できましたよ。4分に1句のペースで量産できましたよ。感謝感謝。
と言う訳で、今回はそんな私が苦し紛れに呟いてはタイムラインを汚しまくった、取分け可愛くもなんとも無い折句ちゃんたちを載せることにしようそうしよう。()内は出されたお題、下の文章は軽い解説です。
ちなみに私は文学少女でも創作人間でも表現者でもないので、クオリティの低さに関してはご勘弁を。
〜自分でも気に入ってますシリーズ〜
風花が 小夜更けに舞う 街路地で 名もなきけものが 命を吐いて (傘がない)
霧に濡れ りりりと震える ギンリョウソウ remaind of me.suicidal person. (きりぎりす)
*「ギンリョウソウ」という、ムーミンの白いやつに酷似した不気味な植物があるんです。
この身にも 野菊の咲きし 見よこれを 散るも枯れるも をかしきことか (この道を)
「きりぎりすよ 酔っているのか うつけもの 母様にみつかりゃ 首が飛ぶぞ」と (侠客)
白煙 ロマンは零度 異質なる 奴らの音なら 貫かれたい ―white heavenへ―(白いやつ)
*white heavenというかつて日本に存在したサイケデリックロックバンドに捧げます
伊達眼鏡も 程度によっては めいめいの 我の強さばかり 根付いてないか (伊達眼鏡)
*なんちゃってサブカル人間への皮肉みたいですよね。実際何も考えてませんが。
レミングスを 異常とあなたは ゾッとしたが 後ろを向けば 孤立無援だろ? (冷蔵庫)
*「ぞ」が強敵でした。
割いた蜜柑 剥いた甘栗 炒った豆 〆た鯖食む 真冬の孤独 (サムイ島)
*ことば遊びです。私の親も私もいずれこのような冬を迎えるのです。
妙なもので 背中越しなら 自分でも マシな台詞が 言えるんですよ (店仕舞い)
*ツンデレなんですねこの人は。
いざさらば 常しえの縁も をしまいさ 齧りついても 知らん顔さ (いとをかし)
19なら 許したものを こんな歳で レモン泥棒が 意中の人とは (巡礼)
*萩尾望都的な世界観を目指そうとして失敗した。
名前など なんになるのよ つまらない もういいじゃない 「隣人」てだけで (七つ森)
〜無難に纏まったんじゃないですかねベスト〜
針刺して 血を流したら お神酒の番 生まれたときの 純潔を葬る (八王子)
感情が ぐらつく時には 裸体とは 残忍な性を 神は作りし (神楽坂)
ジーンズに 世迷言だけ 打ち付けて あなたとわたしで いけるとこまで (情愛)
カラクリの 違法な波に デカルトの 金言を思う パラドックスよ (怪電波)
*情報化社会への皮肉っぽいけど実は何も考えてませんんそもそもデカルト何した人だっけ。
寝覚めには 冷たい水と 狂熱を 夜の気配を 打ち消すために (熱狂)
ふしだらな ロマンスの味は 無理みたい への字の口に ルージュを引いて (フロムヘル)
*お気づきでしょうが、私の恋愛観は昭和でストップしてます。
日を数え がらにもないけど 伸ばす髪 ボロネーズよりは ルイス・フューレイ (陽が昇る)
*「ルイス・フィーレイ」って使いたいだけやないか。
「セージなら 愛煙家向き」と 持参して 血を汚す煙 山吹色に (煎じ茶)
*セージは喫煙時の喉の負担を減らすんですと。
彼女らの 涙のわけを 知りますまい 馬鹿は目を閉じ 利口は口閉じ (金縛り)
*だから意味なんてないんだってば。
謀も いつも見抜いた 大抵は 祈りの純度は むさくるしいのさ(ハイタイム)
*意味なんて求めちゃいけないんだってば。
散り散りの 遠き日の歌に 急かされて 雨の打つ中 迷路を駆ける (ちとせあめ)
〜すぐグロテスクな方向へ走ればなんとかなると思うんですか選集〜
デキャンタに 揺れる自画像 屍の 焼かれる前と 近似している (デュシャン)
梔子の 森にうもれた 隣国の 花嫁の破瓜を 冷笑して見る(くもりはれ)
*「破瓜」って使ってみたかっただけ。
ひざ頭の 残酷なキズも 真心で ずっと受け止めて 腐らぬように (跪く)
*いくらなんでも酷すぎる。
すまないね つまらなすぎる 手違いさ 浜辺の人魚の 首を盗んだ (吸って吐く)
ちょうど今 ガラスケースを 探してた 私の舌を ぐさりと飾るの (血が騒ぐ)
「はちきれた」 あなたの愛の 度が過ぎて 壊れた眼で 明日を待つわ (ハードコア)
妹のはく 桃色の息に 愉悦した 我は現在 リネンの躯 (芋湯割り)
会いたくない 寂しくないのよ ピストルが あの時すべてを 残さず撃ったの (朝ピアノ)
お前なら 苦労も何も 理解すまい もし気付くなら 呪い殺すさ (贈り物)
*高校時代に作った句と対にしたかったんですが、失敗しました。
虫もまた 「ラ」の産声なら おれ達も こんな風に 始末しないさ (村おこし)
*人間の産声は音階でいうと「ラ」になるそうで。
「知らないの? 死んだよあいつは 事故だった 揺れたねあの日は」 朽ちたまちにて (新宿)
*震災の句は一つでいいから詠みたかったんです。
〜深夜なので色恋沙汰もありますよ〜
ねえ君の 意地悪な声が ルージュとか ケープをいつも 艶やかにする (ネイルケア)
うなずいて たえられないのよ 後生だから こんな恋なんて ろくにないのよ (歌心)
ろくすっぽ 歌も楽器も 聴いてません 酔わせるあなたに 首ったけなの (浪曲)
襟を立て ヴィオラを弾くような 偉人ぶる あなたにすでに 眼殺された (エヴィアン)
「霊ならば いつでも会える」と 望んだの もう寂しさから 逃れたかった (例の物)
*恥ずかしすぎてしぬる。
〜お腹が空いてきましたね〜
フロマージュ・スターズ・割礼・マスタード・バカラック・ソーダ・理科の実験 (襖張り)
*寺山修司が似たような手法でやってたので許して欲しい。
じりじりと 焼け付く日差しと 珈琲と パイの温度に 素性も明かす (ジャコパス)
パンケーキに 水蜜などを たっぷりと 今だけわたしは 虫歯のとりこ (パスタイム)
ソーセージと しんなりインゲン テーブルに マスタードかけて たまさかの馳走 (そしてまた)
〜まだまだ修行が足りませんねごめんなさいごめんなさいごめんなさい〜
たましひが あくがれいづる とものもとへ るろうのたびじは すいしょうのよる (タートルズ)
*なんちゃって古文やるくせをどうにかしたい。
白ワイン やさぐれた声 歓楽街 削いだ肉なら 昏倒したよ (シャンソン)
*「削いだ肉」は「捨てた子ども」の暗喩です。なんちゃって。
日が暮れて 画鋲に映る 紅の 零度の夕焼け 瑠璃色に染む (日が暮れる)
ビショップを 私が進めた この時に 苦い顔して 手をついたのよ (琵琶湖にて)
*ああそうさ「ビショップ」って使いたかっただけさ!
午前五時 善人面した 本人が 酔いをさまして 自宅にきました (午前四時)
*不倫?アリバイ証明?
ベージュ色の スーツに染み付く 父様の 罵声がなぜか 愛おしいの (ベストバイ)
篝火が 気狂いじみてる 冬の夜に ラメをこぼしちゃ いかかでしょうか (カキフライ)
*「気狂い」を使えばなんとかなると思ってるんだ…。
またそうだ いつもお前は 輪廻すら 真顔で無視して 垂直に立つ (参ります)
*「垂直に立つ」ってフレーズを用いれば何とかなると思ってるんだ・・・。
スイカズラ シロツメクサに まんじゅしゃが みな口つぐみ 歴史を語る (すしまみれ)
白い髪 結いた祖母から 銀色の 死臭のするよな やましき午後なり (主義者)
やすらはで ましろのくもに もれいづる とおくのつきの やさしきことよ (山本や)
*もうなんちゃって古文は卒業しよう…。
以上で終わりです。
当初は自選したもののみ掲載する予定でしたが、それではお題提供してくださった方に悪いので、恥を承知で全部載せてやったぜ。ああ、相変わらずセンス皆無。何年文章書いてるんだ。
とりあえず当面の目標は
・「る」「り」始まりの強化
・異常とか気狂いとか多用しない
・センスを平成にまでもってくる
でしょうか。