甲斐よしひろ 声で曲を支配するHERO 

April 18 [Fri], 2008, 1:28


【親切かつ繊細!】

 「おっ、甲斐よしひろか。いーじゃない」


 取材前、レコード会社から送られた新譜のサンプルCDを目ざとく見つけた当欄のデスクは、そう言うやいなや、1枚しかない貴重なCDを奪い取ってしまった。「『安奈』はカラオケの十八番なんだー」なんて鼻歌うたいながら…。


 「そんなわけで結局、CDは1回しか聴けなかったんです」−取材の冒頭、言い訳がましくデスクとのやり取りを告白した私に、ロック界の大御所はやさしい言葉をかけてくれた。


 「その上司、40代?(43です) 男?(はい) 多いんだよね、そういうヤツ。人のものはオレのもの、ってタイプ」


 サングラスの奥の目にフッと柔らかい光が宿った。気むずかしい人なのでは、という先入観が瞬時に消えた。百万の味方を得た思いだ。


 気をよくしてインタビューを開始。と、そのとき、スタッフがペットボトルを運んできた。


 「あ、これ(背が)高いから、そっち(カップ)にして。写真に入っちゃうでしょ」


 カメラマンがつぶやいた。


 「そう思ってたところでした」


 親切で繊細。ますます好きになった。今度こそ本当に、気を取り直してインタビュー開始!


【4月11日から全国ツアー開始】


 −−今回の新譜はJ−POPのヒット10曲をカバーしたもので、最初と最後が女性アーティストの曲。男性が女性の歌をカバーするのが最近はやっていますが…。


 「性別は問題ないんだよ。よい作品だから取り上げる。オリジナルのイメージを損なわないように。でも、オリジナルのまんまやっても面白くない。だから、目立たないところで変えてる」


 −−たしかに、イントロやバックのアンサンブルが巧妙にアレンジされています。


 「1曲に3週間から1カ月かけたね。同時進行で録音すると流れ作業になって似たようなトーンになるから、ひとつずつ」


 −−制作に1年以上かかったとか。


 「アルバム1枚にだいたい500−600時間かけるね。ただ、『HERO』だけは特別。“神がかり”の5−6時間で制作した。通常は1曲5テイクは録りながら、心の裏の声が聞こえるよう耳を澄ますんだよ」


 −−今回は“声”は聞こえましたか?


 「3番目に手がけた竹内まりやの『駅』で聞こえてきた。ぼくの歌が曲を支配しているって感じた。映像的な空気が満ちてきたんだ。そのとき、このアルバムの行方が分かった。いや、榊原“郁恵”じゃなくて、行方だよ」


 −−(あれ、ひょっとしてオヤジギャグ??)


【文武両道で発信し続け34年】


 “声”の導きに従い、アルバムは映画仕立てになった。「駅」がプロローグで、夏川りみの「涙そうそう」がエピローグ。アルバムは完成したが、まだ大仕事が待っている。4月11日から全国7カ所で行われるツアーだ。


 −−ツアー直前に55歳の誕生日ですね。体力維持の秘(ひ)訣(けつ)は?


 「1週間に5日、フィットネスジムで1キロ泳いでる。距離が分かるようにメドレーでね。それと、ベア・デッドコリーを飼っているので毎日40分くらい散歩をした後に、ダンベル使ってトレーニング」


 −−食事は?


 「鳥のササミと魚の刺し身が多いね。ご飯は1日1杯」


 −−そういえば、カール・ルイスもかつて「鳥のササミしか食べない」と語っていたそうですが…。ひょっとして、腹筋は割れていますか?


 「割れてるけど。変なこと聞くねえ。ははは」


 デビューから34年、ずっと心がけているのは「体の中からメッセージを発信する」こと。そのために本を読み、映画を見るという。


 「つまり…文武両道だよ」




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