決定的に重要な意味

March 23 [Sun], 2014, 13:19
本来なら、父の名・主体にとってのシニフィエという分数が書き込まれてもよいはずだが、実際にはさらに若干の説明を要する式が現れている。Aはラカンのいう大文字の他者の略号だが、ここでは、象徴化された母の周りに形成されてゆく言語の領域そのものを指す。父の名がまさにこの領域を支配する法として到来することはすでに述べたとおりだが、それによってはじめて、ラカンの言う人間にとってもっとも真剣な現実、すなわち、主体のセクシユアリティの核となる母の欲望の対象でありたいという欲望が抑圧される。Aの文字の下方に書き込まれたファルスは、こうして抑圧された欲望が、これ以後はかろうじて言外に灰めかされるだけの意味として、私たちの言語行為をいわば裏側から支えることを表している。ところで、ラカンにおいて、この父のメタファーは決定的に重要な意味をもつ。それは、このメタファーが、いわゆる正常(神経症はこちらに含まれる)と狂気を根本的に分かつ目印になるからだ。よく知られているとおり、ラカンは精神病の構造的条件を父の名の排除のうちに求めた。





自分の望むところ

March 20 [Thu], 2014, 17:26
クレオンはアンティゴネーに死を命じるが、アンティゴネーはそれこそが自分の望むところと述べて一歩も退かない。とはいえ、アンティゴネーにもこの世に未練がなかったわけではない。それは、許嫁のハイモンと結ばれなかったことだ。クレオンの息子のひとりであるハイモンは、アンティゴネーの処刑を中止させるためクレオンのもとに駆けつけ、王の権威の前に沈黙している民衆がしかし内心ではアンティゴネーに同情し、アンティゴネーに理があると感じていることを父王に伝え、翻意を促す。だが、一向に聞く耳を持たぬクレオンにハイモンは失望し、父との絶縁を宣言して行方をくらます。それにたいしてクレオンは、アンティゴネーを、生きながら、岩屋の中に掘りあけた空洞へと閉じこめる、よう指令を出す。こうして岩屋へと引き立てられてゆくアンティゴネーの謂々たる哀歌も、王の心を動かすことはない。クレオンのこの横暴を見かねて介入するのは、先王オイディプスが自らの真理に到達する際にも大きな役割を演じた盲目の老予言者テイレシァスである。


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