糸のよう  (みえるひと)(ツキ→ガク) 

March 10 [Fri], 2006, 0:16
 存在する意味について考える時がある。


(…オレはアニキが好きで、)

(きっとアニキも、オレを好きでいてくれて)


 兄弟ではなくて。血の繋がりもなくて。
 あるのは、ふたりが死ぬまでのたった半年ほどの間を共にすごした記憶。
 自分たちにあるのは、たったそれだけ。

(好き、っていう気持ちだけ)

 一緒に生きたいと思った。
 それは叶わなかったけれど、ならせめて、一緒に行きたいと願った。
 思い込みが激しくて、陰気な雰囲気を漂わせているあの人の。

 寂しがり屋なあの人の隣に、自分がいることができたら。


(…好き、だから)


 果たして、愛、とは何だろう。

 ガクが口癖のように言う「愛」は、ツキタケにはよく分からない。
 けれど、そのひとを想うと泣き出したいくらい幸せになれる気持ちを、胸を張ってその気持ちを誇れることを、愛と呼ぶのならば、きっと、自分のこの気持ちも「愛」と分類されるべきものなのだろう、とは思う。

 ずっと、ほしいものがあった。
 自分は努力をしなかったから、生きてる間じゃ手に入らなかったもの。
 でも、それだけじゃない。この世に残ったのはもっと別のもの。
 そう。
 それが多分「愛」というもの。

 ツキタケのこの世への未練も執着も、きっと全部ガクへの「愛」なのだ。

 一緒に行きたいと思ったから。
 魂だけになっても一緒にいたいと、そう思ったから。

 だから。

 だから、自分は。




「どうせ俺はひとりだァァッ!!」

「アニキ!オレがいますよ、オレが!」










今日も力の限りに、自分なりの「愛」を、叫ぶのだ。

砂のしろ  (みえるひと)(ガク姫) 

February 12 [Sun], 2006, 20:32
 それは不安定な砂の城。
 どれだけうまく作れても、何日持つかもわからない。
 確かにそこに存在するけれど、いつまで形を保っていられるかわからない。

 自分とおなじ。




「ガクリン?」

 魂だけの存在の自分は、現世への執着で、あるいは愛するものへの執着で、辛うじて『こちら』に留まっているだけ。

 いつ、消えてなくなるだろう。
 いつ、大気に帰る時が来るのだろう。

 そんな事を考えていると、どうしたの、と、ガクを心配そうに姫乃が見上げる。

(不安げなひめのんも、とてもイイ)

 勿論笑った顔が一番だけれど、と思いながら。
 どうしようもなく、自分は彼女を求めていることを自覚する。


「…あぁ、」


 きっと、彼女に出会うために『戻って』きたのだと、ガクは思う。
 体を失っても、魂だけになっても。
 触れることができなくても。

 それでも。


(君を想うことが、できる)


 姫乃は気づいてくれたのだ。ガクに。
 出会うべくして出会ったふたりなのだと、ガクは信じている。

 だから。


(…いつか、)


 ふ、と彼は陰気に笑った。



(この魂さえも消える時が来るならば、)







「今、ひめのんのための、愛のフレーズを考えていたトコロだ」







 それまでは、君への愛を。

 溢れそうな想いを、ありったけの言葉に代えて。






(…すべてが風にさらわれてしまうまでに、)















少しでも多くの気持ちが、君の心に届くように。


地獄に落ちろ、或いはどうぞ天国へ? (伊作×文次郎)*sss 

January 08 [Sun], 2006, 19:49
 え、くたばれ?

 あははは。そういうこと簡単に口にしちゃ駄目って家の人に習わなかったの文次郎。
 え?僕だって習ったわけじゃないけれど、それが何?
 …もう、やだな、何怒ってるの。ちょっと言ってみたかっただけじゃない。
 残念ながら、まだ当分は死ぬ予定はないけれども、そうだなぁ。きみも一緒に死んでくれるなら、別に死んでも構わないかな。

 ……ねぇ。だから、なんでそんなに恐い顔をするの文次郎。


 ………………それ、逆効果だって知っててやってる?




      

唐突に伊文。うちの伊作はほんのり黒い。

どことなく褥の中での会話風味。しかも第二ラウンド開始な予感。
まぁ、うちの設定ではありえないカプですが、稀に書きたくなるというか。

怖い顔、というか、怒っている顔こそ、彼の一番可愛い顔なのではないかと。
それでこそ、我らがアイドル・潮江文次郎なのだと思うわけです(痛)

君の隣が僕の居場所 (メリー/エステラ) 

January 01 [Sun], 2006, 23:52
 午前二回目の食事の後片付けをしながら、エステラは「心配なのよ」と小さな声で呟いた。
 ぷかぷかとパイプをふかしながら、メリーは目の前の妻を見つめる。

「あなたがまたひょっこり何処かへ行ってしまうんじゃないかって」
「…まぁ、わたしはマークのホルドヴィネだし時々は行かなくてはいけないけれど…」

(何処かへ?わたしが?)
 己が身に流れる冒険に焦がれる血、大好きな従兄弟のため、ほんのちょっとの好奇心。
 あらゆる偶然が折り重なってできた『今』はまるでそれが必然のよう。
 偉丈夫と呼ばれる程、平均的なホビットよりほんのすこぅしだけ大きくなった。
 『立派なホビット』では到底体験できないような旅をした。
 小さな鎧、一振りの剣、聞いた事すらない地。
 おおきいひと、とんがり帽子。
 もう決して全員で揃うことはないけれど。
 かけがえのない仲間たちと出会い別れて此処までかえってきた。

 決して楽しい旅ではなかったのに思い返せば何故か楽しいことの方が強くて、ついつい頬が緩んでしまう。
 ふと目をやれば相手にしてもらえなかったのが悔しいのか、ぷくっと頬を膨らませそっぽを向いてしまった愛しい妻の姿が目に入る。
 いくつになっても変わらないその子供のような仕草が可愛らしくて愛しくて。

「…エステラ?」

 優しくその名を呼んでもまだ機嫌が直らないエステラは更にそっぽを向いてしまいメリーはうーん、と苦笑い。

「そんな心配なんかしなくたって大丈夫なんだけどなぁ…」

 過ぎ去った日々に想いを馳れば、それは目を閉じたって鮮明に思い出せるけれど。
 とく、馳せ、死者を想って、それがどんなに懐かしく思えたって。

「そばにいるよ?」

 偉丈夫はそう言うなり妻を抱き寄せ腰に手を回す。
 少し驚いてはいるけれど決していやな顔はしていない愛しい人にこつん、と額をくっつければ、ばか…と呟かれて。 

「そうだよ。いまさら気付いたの?」

 そう言い返せばエステラはくすくすと笑い出した。

「あなたは子供のときから変わらないものねぇ」
「お褒めにあずかり光栄だね!」

about 

January 01 [Sun], 2006, 14:00
CGIBOYから、ヤプログに変えてみました ←ブログっぽい(笑
こちらの方が、カテゴリ別になって読みやすいかな、と思いまして。

このページは、ふと思いついた話や小ネタなどを徒然綴っていく場所です。
色々な所からお借りしてきたお題を消化しこう、という趣旨も孕んでいます。

ある程度溜まってきたら、NOVEL部屋へ格納する予定。