間もなく動き出す「大飯原発」再稼働 国民が知っておくべきこと

July 05 [Thu], 2012, 23:06
現代ビジネス経済の死角より転載安全対策は施されないまま、再稼働が決定された大飯原発。
真下には活断層がある可能性も指摘されているのに、政府も電力会社も再稼働を見直そうとしない。
この国の病理がここに凝縮されている。
さっそくトラブル発生6月19日夜、再稼働に向けた準備が進められる関西電力大飯原発の3号機で、けたたましい警報音が鳴り響いた。
発電機のモーターを冷却する水を入れたタンクの水位が一時低下し、通常の水位を下回ったため、警報器が作動したのだ。
国民に報告する必要があるレベルのトラブルでした。
しかし関西電力はこのトラブルを約10時間公表せずにいました。
公表するほどの重要な問題ではないと判断したそうです地方紙記者大事故につながるようなものでなかったことは、不幸中の幸いである。
しかし、再稼働の準備段階で早速トラブルが起こるとは、その管理体制のずさんさが気になるところだ。
再稼働後にも同様の、あるいはもっと重大な事故を引き起こすようなミスが起こる可能性が、はたしてゼロだと言えるだろうか。
大飯原発の再稼働予定日は7月4日に迫っている。
だが、その再稼働は、十分な安全対策が講じられる前に決定され、多くの不安を抱えたまま進められていることを、いま一度国民は確認しておくべきだろう。
1免震棟がないそもそも、再稼働決定に至るプロセスは、ウソにまみれていた。
福島第一原発の事故以降、経済産業省原子力安全保安院が二度と同じ事故を起こさぬようにと、30項目の安全対策を提示したのは記憶に新しい。
ところが大飯原発は、この30項目のうち半分程度しか達成できていないのに、再稼働が決定されたのである。
野田総理は将来的に関西電力にこの30項目すべてを達成するよう求めていくと言うが、東京大学名雷ウ授で、原子力安全保安院の意見聴取会委員でもある井野博満氏は憤る。
先送りにしていい問題であるはずがないのに、重要な安全対策≠ェなされないまま再稼働が決定してしまった。
特に私が問題視しているのが、現在のところ大飯原発には免震事務棟がないことです免震棟とは原発の敷地内に建てられる、耐震性の高い建物で、大事故が起きた場合、現場の対応拠唐ニなる施設だ。
東電の清水正孝前社長をして、国会で福島第一原発の事故のとき、免震棟がなかったらと思うとゾッとすると言わしめた重要な施設だが、それが大飯原発には、いまだに設けられていないのだ。
免震棟がなければ、事故が起こったときにまともに修復作業を行うことができないのです。
関西電力は2015年までには大飯原発に免震棟を建てるとしていますが、それまでに過酷な事故が起こらないとなぜ言えるのか井野氏免震棟だけでなく、大飯原発では30項目の安全対策のうち、事故が起きたとき、原子炉から蒸気を外部へ逃すフィルターや津波などでも流されない恒久的な非常用発電機の設置など、素人から見ても重要な安全装置≠ェ未整備のままなのである。
半径350kmの汚染2制御魔疑問唐ェまた、井野氏は原発のブレーキにあたる制御磨xの問題も、クリアされていないと警告する。
制御魔ニは、原子炉内の核分裂を停止させるときに燃料魔ニ燃料魔フ間に挿入する、必須の安全装置。
この挿入が遅れると、とりかえしのつかない事故になる恐れがあるため、挿入に要する時間が国によって定められているのだが、この時間に関する関電側の説明が、あまりに不透明なのだ。
原発で事故が起こった場合、早急に核分裂を止めるために、22秒以内に制御魔蒼しなければならないと、国が基準を定めています。
過去に関電から提出されたデータでは、大飯原発の燃料魔ブ入時間は216秒で、まさにギリギリでした。
ところが、大飯原発再稼働について議キる会議に出された資料では、それがなぜか188秒に短縮されていた。
なぜ唐突に数値が変えられたのかまったく説明がない3津波対策の不備さらに、井野氏は津波対策の不備についても指摘する。
ご多分にもれず、こちらの対策もずさんの一語だ。
大飯原発では耐えられる津波の想定を114mと定めていますが、どのような基準でこの数字に決めたのか。
福島原発を襲った15mの津波は考えないでいいという根拠は何か。
それが明らかにされていないのです安全対策は先送りにされたうえ、安全確認のためのデータさえなんの説明もなく書き換えられる。
これで再稼働しても安全とは、無責任にもほどがある。
まさしく再稼働ありきだ。
4ベント装置がないまた、新たな安全対策をいくつ施そうが、そもそも大飯原発は致命的な欠陥を抱えていると指摘するのは、元京都大学原子炉実験所の小林圭二氏だ。
大飯原発は、福島第一原発とはタイプの違う加圧水型原子炉を使った原発です。
このタイプの原子炉には、内部にたまった蒸気を排出するベント装置が付いていないんです。
万一事故で炉の冷却機能が失われて水素が発生しても、これを外に排出できない。
そうすると、時間が経てば空気と反応して爆発が起こり、格納容器が破壊されてしまう可能性がある。
その場合、被害は福島の比ではありません。
大飯から半径350kmに及びます。
そこには大阪、京都など関西の人口密集地はもちろん、東は静岡も含まれるので、数千万人の暮らしに多大な影響がでるでしょう地震は待ってくれない5地震と活断層さらに、大飯原発の真下に活断層がある可能性も指摘されている。
変動地形学を専門とする、鈴木康弘名古屋大学大学院教授はこう危惧する。
東洋大学の渡辺満久教授とともに絶対可憐チルドレン エロ、保安院が公開している大飯原発周辺の地質に関する資料を分析した結果、大飯原発の1、2号機と3、4号機の間の地下には南北に断層があり、それが活断層である可能性を否定する十分な証拠がないことがわかりました。
私たちは関電に大飯原発の真下にある活断層について、再調査すべきと働きかけているのですが、関電はわれわれの調査の結果では活断層はないと主張して、かたくなに再調査を拒んだままなのです仮に活断層が動いてマグニチュード7規模の直下型地震が起きたら、原発施設は壊滅的なメージを受け、福島の原発事故と同程度か、あるいはそれ以上の事故となってもおかしくないという。
6避難計画の欠落原発施設の安全性への疑問だけではない。
もうひとつ、見逃せない重大な問題がある。
仮に大事故が起こった場合の周辺住民の避難計画が、ほとんど何も決められていないのだ。
町民の命をあずかるおおい町役場の口は重い。
現行の防災計画は、平成19年3月に策定したもので、震災以前の状況にもとづいています。
国の原子力規制庁や規制委員会で新たな防災指針が示された段階で、それに従って改定していく予定なのですが原発を監視する原子力規制庁が発足するのは9月の予定だが、大飯原発は7月からフル稼働を始める。
町民の避難計画は、そもそも眼中にないのである。
7原発の孤島化同様に、元東芝の技術者で、原子炉格納容器設計者の後藤政志氏は、大飯原発へのアクセス方法が限られていることも問題視する。
大飯原発へ向かう交通手段は県道241号線の一本だけなのです。
かりに原発事故が起きて、瓦礫が道を遮断したり、大雪でこの道が使えなくなったりしていたら、プラントにアクセスする方法がないのです。
大飯原発で事故が起きれば、それに対処できるだけの十分な人員も物資も輸送できないかもしれない対策として、新たなバイパス道路の建設が計画されているが、完成予定は810年後。
しかも、まだ着工はしておらず、地元との調整に入った段階おおい町役場担当者というのだから話にならない。
安全が確認できることを条件に、大飯原発を再稼働させる野田総理は国民にそう誓った。
しかし、ここで見てきたとおり、安全対策は先送りにされ、新たに浮上した問題には無視を決め込んでいる。
こうした政府のやり方に対しては、与党内部からも大きな反対の声が上がっている。
民主党の谷岡郁子参議院議員も、こう憤る。
福島第一原発事故によって、電力会社、原発推進派の学者や官僚のなかにも、良心に目覚めてこれまでのエネルギー政策を見直そうと思った人たちは少なからずいたはずなんです。
ところが、今回のなし崩し的な再稼働によって、いままでどおりやれるものは、まあそれでいいじゃないかという方針が決まってしまった。
良心の芽生えた人たちが、新たな道を探す機会を奪ってしまったのです。
今回の再稼働は、それが最大の問題ですよ東日本大震災がそうであったように、地震、津波はいつ起こるかわからない。
再稼働の翌日に、いやその日に起こっても不思議ではないのである。
23年以内に安全策を講じますから、とりあえず再稼働させてくださいよということですが、野田総理や推進派は、自然に対して地震も津波も、あと3年間待ってくださいという約束でも取り付けたというのでしょうか前出後藤氏誰も安全を断言できない。
誰も責任を取ることはない。
それでも再び動き出してしまった原発。
この国は一体、福島の原発事故から何を学んだのだろうか。
週刊現代2012年7月7日号より
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