猫 3話。

September 13 [Thu], 2007, 2:36
ぇ、其処の白猫君?
とある黒猫に呼び止められたのは、ある凍えそうな冬の夜。
「元、白猫」は今やすっかり心身共に「漆黒猫」になっていた。
自分が「白猫」であったことなど、とうに忘却の彼方であった。
しかしその一言によって、「漆黒猫」、否「元、白猫」と云った方が正しいであろう。
ともかく「元、白猫」は、がつんと衝撃を食らったのであった。

―ことに黒猫くん。白猫なんて、そんなもの、一体何処に居るのだい?
―何を寝ぼけたことを云っているのかい?君のことだよ、白猫くん。
―残念ながら、見間違いさ。私はこの通り、漆黒の毛を纏う、漆黒猫であるのさよ。
―おかしな人だね、君は。漆黒猫というのは、君もご承知の通り、漆黒の毛を纏っているもの
のだよ。君はそんなに美しい白い毛を持っているでは無いか。
もっとも、今は些か汚れが目立つ様だがね。
―見えるのかい?君には私の本来持つ真っ白な毛並みが見えるのかい?
―ああ、見えるとも、見えるとも。

そういうとまたもや唐突に黒猫は、「元、白猫」の毛を舐め始めた。
―な、何をする気だい?黒猫くん、君、気でも違ってしまったのかい?
と、慌てた「元、白猫」
それを見てふんと鼻をならすは、黒猫。
―まあ一年間、僕に身を任すことさ。
 悪いようにはしない。今のままで良いとは、まさか思っているわけであるまいよな?

そう云われてしまうと、返す言葉も無い。
実際、このままでは拉致が空かないと、常々思っていた。
此処は一つ、この悪魔の誘惑に乗ってみるのも、
あるいは悪くないかな、などと思ったものである。

何をすると云うのだい?
その不安げな「元、白猫」の問いに黒猫はもちろん答える筈も無かった。


実際、黒猫が「元、白猫」に施した治療とは実に単純なもの。
黒猫はただひたすら「元、白猫」を舐め続けたのである。
ひたすら、ひたすらに。
―ねえ、もう半年は経つと云うのに、全く何の変化も無いではないか。
 これは単なるまじないの一種か何かかい?
 それならもういっその事、やめておくれかい?
―なにを云っているのだい?
一年間、僕に身を任せると云ったのは君ではないか。

猫 2話。

September 13 [Thu], 2007, 2:33
れからの白猫、
否「元、白猫」は、
遠い世界に旅立った。
その地には、白猫が白猫であった過去を知るものは居ない。
白猫は生まれつきの漆黒猫として振舞った。
先ず、人と群れることを徹底的に拒んだ。
一人で居ることが漆黒猫の必須条件である、と共に格式であるからだ。
同時に、一人で居ることは「元、白猫」の気持ちを幾分か落ち着かせた。

皮肉な事に、周りの人々はまたもや「元、白猫」を持て囃した。
―独りで居て様になるのは、漆黒猫君、君くらいだよ。
―その孤高な精神、憧れるな。
―僕らなんて「自由な猫」とは言え、群れていなければ成立しないもの。
そう云いながらも、彼らは非常に幸せそうに群れていた。
事あるごとに助け合い、そして守りあっていた。
そして褒めながらも、彼らはいつも自分とは一線を引いていた。
それがひしひしと伝わってきた。

その姿を見ていると、
時々ふと昔が懐かしくなる。
何故、あの時もっと周りを信用できなかったのだろう。
相手は心底褒めてくれていたのかもしれないのに。
いやこの際、本心なんてどうでも良い。
少なくとも表面的には、
いつも暗くなってしまう自分を、皆嫌な顔せず見守ってくれていた。

しかしすべては後の祭。
もう自分は「白猫」では無いのである。
こうなったらとことん、皆を騙し通して見せようではないか。
立派な「漆黒猫」となってみせようではないか。
そう気を張るのであった。

猫 1話。

September 09 [Sun], 2007, 3:54
る日、ある場所で。

一匹の毛長種の白猫。
白猫は自分が嫌い。
口癖は「どうせ自分なんて。」
救いようも無い劣等感。
卑屈に卑屈を重ねたその性格。

確かに容姿はとても褒められたもので無い。
しかし一つだけ誇りとするものを持つ。
『白く長い毛並み』

世間は白猫を笑顔で持て囃す。
しかし白猫、余計に殻に閉じ籠もる。
―あるいは、この毛を売り飛ばす気に違い無い。
―自分には不釣合いだと、影でせせら笑っているに違い無い。
、と。

白猫は光、事に太陽が苦手である。
自分の愚かな風体を日に晒すなどと云う気には、到底なれない故に。

さて白猫、ある熔けそうな夏の午後。
いつもの様に卑屈に背中を丸め道を行く。
すれ違う人に笑われているのでは無いか、と愚かにも立ち竦みつつなので、
その歩みはあるいは亀に等しいものである。
ふと目を上げ、硝子に映る己の姿を見て、目玉が落ちる。
其処に映っているはずの
自慢の白く輝く毛並みが

無い。


尾を踏まれたかの様に
ギャッと悲鳴を挙げ、
信じられずに良くゝ目を凝らす。
しかし其処に映る筈のもの、やはり無し。
硝子に映る其れは、
真っ黒な、
真っ黒な毛並みであった。
世界中の闇を一手に掻き集めた、
否、全小惑星の影を一手に引き受けたかの様な漆黒である。

目の前が霞む。
天と地が仲良く手を繋ぎ、平衡感覚を失う。
重力に抗えず、ひれ伏す。
そのまま白猫は気を失った。

お知らせ。

September 09 [Sun], 2007, 3:45
折角だから書き貯めた小説を
連載形式で公開しようと思いますww

第一弾は『猫』です。
PCから閲覧してる人は
左にカテゴリメニューが出るから、
連続小説『猫』の欄をクリックしてもらえれば
読みやすいと思われますww

でゎでゎ、不定期更新という恐ろしい感じで
スタート。
主に更新は夜になると思われます。
(PCからじゃなきゃUPできないからねww)
こうこく
★あばうとみぃ。★
  • ニックネーム:自称ぁりさま。
読者になる
【ぬこ】
音楽を食べて生活する生き物。
深く愛を注がないと、ときどきスネる。
お酒がめっぽう弱い。
煙草が切れると手が震えだす。
云う事をきかない犬を飼っている。
2007年09月
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
★メルしてみゅ★

TITLE


MESSAGE

★QRこーど。★