案の定おさまった

August 24 [Sat], 2013, 4:51
最終的には、(僕の思いつきでしかない)婿養子という形に、
案の定おさまった。
帰り、タクシーの中で、橘さんの表情が豹変した。
冷気を発しているのではないかと思うほど人間味のない目と声で、
「シトクン、ミソコナッタワ」と吐きすてられた。
あまりの鋭さに僕の反応は遅れ、
思わず「ん?」と訊き返してしまって、そしてすぐに後悔した。
「あなたのこと、見そこないました」
軽蔑心むきだしの声を二度も聞かなければいけなくなったのだ。
(いつもの)感情を出さない声のありがたさに初めて気がついた。
そして、見そこなうという言葉がもつ辛辣さにも、やっと気がついた。
「……やめて。お願い」とっさに出たのは、そんな要求。
「見そこなうのを、やめろって言うの?」
「うん」何も取り繕うことなどできなかった。
見そこなわれた。
僕に対する評価がそれまでより、さらに下がったということ。
そのショックは、驚くほど大きかった。
彼女を怖いと思った。
生まれてから今までに感じたどの恐怖よりも、彼女は怖かった。
僕はいつだって日々の進歩を望んでいたのだろう。
何事も、昨日よりは今日、今日よりは明日のほうが、
少しでもマシになっていてほしいのだ。
高望みかもしれないけど、それが僕の本能
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