夏の物語 序 

August 08 [Mon], 2005, 17:49

雨上がりの 昼下がり
一日はこれから
夏休みはこれから
だから僕と遊ぼう 君と二人

鼻をつく プールの残り香
暑い夏の風をかいだ
隣にいる君の香りかいだ
淡い夏の恋をかいだ

いつの間にか忘れた
夏の時雨 蝉の声に
負けないように
声を張り上げて 笑いあえた

忘れない 忘れたの 
夏の雨の中
悲しみさえも 流れないかと
立ちすくんで 流した涙のあとも

太陽が照りつける
眩しいのは隣に君がいるから
同じだけ影が濃くて

時が流れても
癒えない傷があるか
言えない それは 僕に
閉じ込めたの 悲しみを どうして

ありがとう ありがと...
夏の声に消えた
声が 君が 消えた

悲しみが流れても
癒えない傷があるか
言えない それは 君に
閉じ込めたの 想いを どうして

ありがとう ありがと...
夏の風が消した
恋が 君が 消えた

暑い夏の影に
蝉時雨にうたれたの
思い出す夏の物語

プロローグ 

August 06 [Sat], 2005, 23:54
アパートの階段を上って最上階への踊り場に出た。
手すりに体をあずけ、遠くで鳴る花火をみる。
今日もお祭りがあったようだ。
この辺りはお祭りの場から離れ、みんな実家にでも帰ったのか、
お祭りへ出たのか、誰も出てこない。
安アパートの踊り場で、一人で花火を眺めているのから、
やはり僕も安い人間なのだろう。

夜の花火は、ありきたりだけど夏をイメージさせる。
冬に花火をしてみたとして、こんなに綺麗かな、と想像してみる。

手袋をはめた手に線香花火
吐いた息が白く変わり光からでる煙と交じり合う。
澄んだ冷たい空気はよく光を通し、輝きは滲まない。
陽炎のように揺らぐ光も幻想的だが、
真っ直ぐ飛び込んでくる光も、また良いものかな。
「寒いね」といいながら肩を並べて、光を見つめて…

なんだ結構良いじゃん、
と空想を巡らせてみて、夏の花火が少しブサイクに映った。
それでも夏に上がる花火の重低音の振動は、胸を揺さぶる。
揺さぶられた心からは寂しさが零れる。

一人で見る花火は、世界の中で自分が歯車ですらない事を想像させる。
きっと花火が上がる袂には、大勢の人たちがいて、
みんなそれぞれに今の時を楽しんでいる。
友達と行く人も恋人と行く人も、それぞれに花火の光を共有して
何かしら思うことを話しているのだろう。

あるいは灯りが漏れる家のベランダでは
蚊取り線香の煙に鼻をくすぐられて
麦茶とスイカも楽しんでいるのかも知れない。

花火を見ながらおしゃべりをするおばあちゃんとお母さん。
スイカをむさぼりながら、大きな花火を見逃した、と悔しがっている兄弟。
ベランダではしゃぐ子ども達をしかるお父さん。
頑固に下でテレビをみているおじいちゃん。

世界から取り残されているような
夏の夜の花火の声を聴いた。


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