周産期医療  

March 29 [Wed], 2006, 12:42
 妊娠後期から生後間もない新生児まで、お産にかかわるこの期間を「周産期」という。母親や子どもの命と健康に深くかかわり、危険も高い時期と言える。周産期医療のリスクとどう向き合っていけばいいのか。東京で今月開かれた日本助産学会のシンポジウムから報告する。

 日本の赤ちゃんたちは人為的な操作と誘導で産まされている−。「陣痛促進剤による被害を考える会」世話人の勝村久司さんが示したデータは驚かされる内容だった。

 厚生労働省の人口動態統計から集計したところ、赤ちゃんが生まれた曜日や時間に不自然な偏りがあった。二〇〇四年十二月を例に見ると、平日は約三千−三千七百人台で推移、特に火曜日の多さが目立つ。ところが週末は激減。日曜日はすべて二千二百人台だ。祝日の二十三日と、年末休みになる二十九日以降も大きく落ち込んでいる。

 この年に生まれたすべての赤ちゃんの出生時間分布も、午後二時の約八万千人をピークに、午前九時から午後六時の間が多い。午後十時は約三万二千人で、深夜・早朝に四万人を超えることはない。自然なお産が基本の助産所での出生に、時間帯による変動はほとんどない。

 勝村さんは一九九〇年、陣痛促進剤の不適切投与で長女を亡くし、妻も一時危篤に陥った。事故があったのは火曜日の昼だった。「被害にあった市民病院は当時、大きな赤字を出していて、院長や事務局長が変わり、人件費の削減などで黒字に転じさせた」。陣痛促進剤を使うことで平日の昼に産ませるよう誘導し、深夜は助産師もいなかったという。

 勝村さんは「スタッフをそろえ、いい医療をするところほど赤字になる。私たちから見て価値があるところにお金が払われず、薬を使い、手術をするほどもうけが出る。医療制度の構造がおかしい」と指摘する。事故と訴訟が医師の産科離れを進め、スタッフが足りなくなる中でまた事故が起きるという悪循環だ。

便秘・・・心身の健康のバロメーター  

March 28 [Tue], 2006, 12:39
出したいのに、出ない。おなかが重くてすっきりしない。便秘に悩んでいる人はとても多い。便秘自体は病気ではないけれど、心身の健康のバロメーターにもなる。

胃や小腸を経た食べ物は液体の状態で大腸へ運ばれてくる。長さ約一・五メートルの大腸の主な役割は、水分を吸収して便をつくること。筋肉が腸を尺取り虫のように動かし、消化物を先へ送っていく。ゆっくりと時間をかけて移動するうちに、だんだんと水分がなくなって固まり、およそ半日から一日で直腸へたどりつく。直腸に便がたまって内部の圧力が高くなると、その情報が脳に伝わり、便意を起こして排せつするよう指令する。これが一般的なメカニズムだ。

 ところが、この過程でなんらかのトラブルが起きると便秘になる。

 背後に病気があって起きるのが「器質性便秘」。がんやポリープ、腸閉塞(へいそく)などがある。便に血が混じっている、発熱や吐き気があるといった場合は、とにかく受診しよう。

虫歯・・・誰であろうと歯は“命” 

March 27 [Mon], 2006, 12:50
 わかっちゃいるけど、つい治療を先送りしてしまう。「チュイーン」「ガリガリッ」というあの音を思い出すと、逃げたくなる気になるのも仕方ない。だが、放置するほど余計に手痛いしっぺ返しを受けることになる。虫歯はあなどれない。図をもとに見ていこう。

 歯は基本的に、上下にそれぞれ十六本ずつある。前歯は食べ物を切るよう薄くとがり、臼歯はすりつぶすように平べったい。「基本的に」というのは、一番奥の第三大臼歯、いわゆる「親知らず」が生えない人がいるからだ。あごの退化が原因で、正しく真っすぐに生えないことも多い。これが歯肉の炎症や細菌感染につながることもある。

 虫歯は臼歯や歯と歯の間に起きやすい。口の中にはミュータンス菌をはじめ、虫歯の原因になる菌がすみついている。菌は糖や炭水化物をもとに酸を作り出す。この酸が歯の成分を溶かすように分解して、虫歯が進行していく。

 C1という段階では、エナメル質が溶け始めているが、まだ自覚症状はない。C2になると象牙質まで溶け出し、冷たいものを飲み食いすると染みるように感じる。ここからの進行は速い。侵食が神経や血管が通る歯髄に達すると、ズキズキした激しい痛みに襲われる。そして末期のC4になると、歯はほとんど破壊。歯根の先が炎症を起こし、膿がたまることもある。

 一般に、C1やC2だと病巣を削って詰め物をすればいい。C3になると抜髄、いわゆる「神経を抜く」ことになる。痛みはなくなるが、歯はもろく、折れやすくなる。C4だと歯自体を抜く。治療は早ければ早いほどいいのだ。

 具体的な治療になると費用の問題が出てくる。使う材料や技法によっては、健康保険が使えないことがある。トラブルの原因にもなりがちなので、納得できるまでとことん説明を受けて決めよう。

 そして何より予防。歯科は治療のためだけにあるのではない。正しいブラッシング法や食習慣の改善策、乳幼児から高齢者まで年代に応じた注意点など、さまざまな情報を得られる。定期検査での早期発見も意義がある。「芸能人は歯が命」というCMがあったが、誰にとっても歯は“命”なのだ。

体温調節・・・生命活動を守る 

March 24 [Fri], 2006, 12:54
 太陽が照りつける猛暑の地、雪に閉ざされた酷寒の地−。人類は地球上のさまざまな土地で生活している。それを可能にしているのが、体温を一定に保つ恒常性維持の機能だ。

 心臓の鼓動や肝臓の働きをはじめ、人間が生きていくためには臓器や筋肉を動かすエネルギーが必要になる。それを維持するには、体温をおおむね三七度程度に保つことが必要。その調節をつかさどる中枢が脳の「視床下部」にある。

 外の気温が高かったり、激しい運動で熱が大量生産されたりして「暑い」と感じると、視床下部から体の熱を放出するよう指令が出る。体温調節で最も大きな役割を担う皮膚では、毛細血管が広がるとともに「汗孔」が開いて汗が出る。呼吸を増やすことで内にこもった熱を発散させる。

 逆に寒いときは体温を逃がさず、自ら熱をつくろうとする。皮膚の毛細血管は細くなり、立毛筋が縮む。そのために体毛が逆立ち、鳥肌が出る。「歯がガチガチする」のも自然に筋肉が動き、熱を生み出すためだ。

 寒くないのに鳥肌が立つのは精神的な緊張のせい。恐怖や不安で立毛筋など筋肉が縮み、毛が逆立つ。暑くないのに冷や汗が出るのも「精神性発汗」という現象で、手のひらや足の裏に現れる。ポリグラフ(うそ発見器)は、この発汗を応用している。

 体温には個人差があるのと同時に年齢差もあり、高齢者は低くなる傾向がある。体の深部ほど高く、四肢の先にいくほど低くなる。

 風邪をひくと寒気や震えがあるのに、発熱など体温が高くなる。風邪の原因は無数にあるウイルスの感染で、熱が出るのはウイルスを退治するためだ。風邪自体を治す薬はなく、症状を和らげる働きしかない。安易に解熱剤を使うとウイルスと戦う免疫の力を妨げ、逆に風邪が長引いたり、脳炎や脳症の発症につながることもある。よほど体力が落ちてしまったような場合を除き、使う必要はない。

 人間の体温調節機能は高いが、限界もある。これからは寒さが増してくる。衣服でうまく調節して、風邪をひかないように。

笑い…毎日冗談3つ 心の療養 

March 23 [Thu], 2006, 13:01
癒しの環境研究会で笑い療法士の活動報告のマイクを握る中田和子さん 東京都昭島市の主婦中田和子さん(60)は毎朝、洗面台の鏡に向かい、ニッコリと自分に笑いかける。横の壁には、「笑いの処方せん」と書かれたメモ。日本医大医療管理学助教授の高柳和江さんからもらったものだ。

 「声を出して笑おう」「他人を笑わせる冗談を毎日三つは用意しよう」……。 自分も周囲も笑顔だと、1日を気分良く過ごせる。「アハハと笑っていると、不思議とがんの痛みも感じません」と、中田さんは明るく笑い、話す。

 中田さんは6年前、しこりが見つかり、乳がんの疑いで手術をしたが、検査の結果、血液の中のリンパ球ががんになる悪性リンパ腫(しゅ)とわかった。放射線や抗がん剤治療が一般的だが、体質的に強い薬が使えない中田さんは、検査入院を繰り返しながら経過観察を続けている。

 おしゃべり好きの世話好きで、小太り。入院中、拒食症の少女に、いつもの調子で「太ったって平気よ」と気軽に声をかけると、少女が笑いながら、「ウン」と言葉を返した。「あの子が笑うのを初めて見た」と医師。入院中、「○○さんの所にも行って笑わせてよ」と医師に頼まれると、喜んで話し相手になった。

Q&A 帯状疱疹 

March 22 [Wed], 2006, 13:11
Q:2か月前、帯状疱疹(ほうしん)が背中から左わきを通り、左乳頭部までできました。内科での点滴と塗り薬で治りましたが、神経痛が残ってしまいました。良い治療法はないでしょうか。(兵庫・82歳女性)

「神経ブロック治療」が効果的

 帯状疱疹は、子供のころに水ぼうそうを起こしたウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、脊髄(せきずい)から出る神経の根元の神経節に潜み続け、体力の低下などをきっかけに、再び活性化して発症します。

 皮膚にできた水ぶくれは、かさぶたになって治りますが、ウイルスによる神経の破壊が進むと、後遺症として帯状疱疹後神経痛が残ってしまいます。そのため、帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬の投与と、鎮痛を早期に行うことが大切です。

 鎮痛のためには、鎮痛薬を使用するだけでなく、痛みにかかわる神経の周辺に局所麻酔薬や抗炎症薬を注入する「神経ブロック治療」を積極的に行うと、強力な鎮痛作用と血流改善作用によって、神経の修復が助けられます。

 帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛への移行は、約10%の方に見られますが、発症年齢が高くなると増加する傾向がみられます。70歳代では半数以上が、程度の差はありますが、神経痛に移行すると言われています。

 ご質問の方は、発症2か月ということですが、この時期に集中的に神経ブロックを行うと、神経痛への移行の可能性を減らすことができます。

 発症から1か月以上、6か月未満の時期は、神経の炎症が持続するとともに、神経が修復される時期でもあります。

 痛みや感覚異常が軽度であれば、外来通院でよいのですが、中等度以上であれば入院治療も考慮して、痛みが軽減するまで、神経ブロックと薬物による治療を受けることがよいでしょう。

※ちょっと怖いような・・・?

動物…人の心癒やす治療犬 

March 20 [Mon], 2006, 13:06
東京都中央区の特別養護老人ホーム。今月初め、約40人のお年寄りが待つホールに5頭のセラピードッグ(治療犬)が駆け込んだ。

 ブルース歌手大木トオルさんが代表を務める国際セラピードッグ協会が、ここで月2回行う「動物介在療法」。先頭に立つのは14歳の雌犬チロリだ。

 いすの上に乗ると、深いしわを刻んだいくつもの手が頭や胴に伸びる。「チロちゃん、また会えたね」「こっちにおいで」。紅潮したほお。あふれ出す言葉と歓声。1時間のふれ合いは、参加者と犬が一緒に行進する終盤、運動会のような盛り上がりをみせた。

 穏やかに参加者に接するチロリ。その瞳にかつて、怒りと恐怖が宿っていたことが想像できるだろうか。

 1992年夏。千葉県松戸市のゴミ捨て場で、母犬と5匹の子犬が入ったダンボール箱が見つかった。近所の小学生が空き地の小屋で世話を続け、1か月もすると子犬は引き取られた。しかし、子供たちがチロリと名付けた母犬は行き場がなかった。

 チロリは短足で左耳が垂れ、虐待のためか後ろ足に障害があった。間もなく捕獲され、動物保護センターで安楽死を待つチロリを、大木さんが救った。犬の散歩中、チロリたちを世話する小学生と知り合ったのがきっかけだった。

 大木さんは子供のころ、吃音(きつおん)に悩んでいた。心の支えになったのは、自宅の愛犬。「話しかけることで救われた」という大木さんは、チロリを見殺しにできなかった。

子どもの受け口 

March 17 [Fri], 2006, 12:31
 出っ歯とは逆に、下の歯が上の歯より前に出る「受け口」(反対咬合(こうごう))。不正咬合のひとつで、3歳児健診などで気づいても、歯科からは「しばらく様子を見ましょう」と言われ、戸惑う親も少なくない。最近は、マウスピース状の装置を就寝中にくわえるだけと、幼い子の負担が小さい治療法が普及し、早期治療も可能になってきた。

 東京都内の主婦は、三歳の娘が受け口であることを健診時に指摘された。このまま下あごが成長し「三日月あご」になっては−と心配し、歯科を訪ねた。

 ところが「自然に治ることもある」と言われ様子を見ることにしたが、結局、六歳から治療を始めた。「指摘されても治療ができないのでは、心配だけが募って…」と主婦は当時のやりきれなさを振り返った。

 厚生労働省の歯科疾患実態調査(二〇〇〇年)によると、乳歯の咬合が完成する三歳児健診で、受け口がみつかる割合は4−5%で年間約四−五万人にも上る。

 受け口は、審美的な問題だけでなく、前歯でうまくかみ切れなかったり、歯のすき間から息が漏れて正しく発音できなくなるなどの障害も起きるだけに、放置は禁物だ。

 幼少期に「様子見」する理由の一つに、かつては乳歯列の受け口の大半は自然治癒されると考えられていたことが挙げられる。

 

つめの変化で健康チェック 

March 16 [Thu], 2006, 12:35
 最近は、女性だけでなく男性も、身だしなみとして、つめの先まで気を使うようだ。つめには、よく見るとすじが入るなどさまざまな変化が表れる。この変化が時にわれわれの健康状況を映す鏡になるという。身だしなみのついでにチェックしてみよう。 

 つめに表れる変化は、表面に出る模様、色、形とさまざま。そうした異常は、つめや周りの皮膚の病変で生じたり、全身疾患により起こったりする。東京医科大皮膚科の坪井良治教授は「つめは小さな器官だが、感染症や炎症、腫瘍(しゅよう)など全身に起きうる病気すべてが起こるのです」と語る。

■すじやくぼみに注目

 手相をみてもらったら「数カ月前に病気をしましたね」とぴたりと言い当てられた。こんな時、占い師は手相ではなくつめの状態で判断しているケースも多いという。

 つめの表面を横に走る細い溝(横すじ)は、高熱を出すなどの病気をしたときや栄養障害、ストレスがあると、つめの成長が一時的に抑制されるためできる。「つめは健康な人で一日平均で〇・一ミリほど伸びるので、根元から溝の位置を測れば、いつ体調を崩していたかもだいたい分かります」と坪井教授。

 横すじはこのほか湿疹(しっしん)などでつめの周りに炎症があるときも同様に表れる。一方、縦のすじは多くが加齢に伴う症状で、あまり心配する必要はない。

 そもそもつめは表皮の一部。髪の毛や皮膚と同じケラチンというタンパクでできている。円形脱毛症や乾癬(かんせん)などの皮膚疾患により、つめの表面に小さな点状のくぼみが表れるのは、「同じタンパクで構成されているから」でもある。

■普通は薄いピンク色


 つめは薄いピンク色に見えるが、それは指先を流れる血液の色を反映したもので、本来は無色透明。「血液の状況をじかに確認できる」ため、全身の状況が分かるのだ。

中耳炎<はなのかみ方> 

March 15 [Wed], 2006, 12:32

 はい、おはなをチンしてね−。

 幼い子どもの鼻にティッシュペーパーをあてて語りかける母親の姿は、見ていてほほ笑ましい。でも、はなのかみ方と中耳炎に関係があるのはご存じだろうか。

 理由は、耳と鼻の構造にある。

 鼓膜は外耳道から入ってきた空気の震えを受け止め、中耳の耳小骨に伝える。三つの骨からなる耳小骨は振動を増幅させて、内耳の蝸牛(かぎゅう)へ伝達。振動は蝸牛内で電気信号に変えられて神経に伝わり、大脳で音として認識される。

 中耳は「耳管」を通じて鼻の奥とつながっている。外気圧の変化で鼓膜が破れないようにするためだが、その耳管を通じてのどや鼻から菌が中耳に入り込み、炎症を起こしてしまう。これが「急性中耳炎」の原因だ。プールに入ると中耳炎になるというのは間違い。何かの理由で鼓膜に穴が開いていない限り、外耳から中耳に水や菌は入らない。

 「おはなをチン」が問題になるのは、正しくかまないと、菌を耳管から中耳に押し込んでしまうからだ。子どもの耳管は大人より短く、水平に近いため、もともと菌が入り込みやすくなっている。

 あいち小児保健医療総合センター(愛知県大府市)耳鼻いんこう科の服部琢部長は「はなをかむときは両方同時でなく、片側ずつ、力を込めすぎずにするといいでしょう」と助言する。急性中耳炎は風邪の流行期に起きやすいが、菌は年中、のどや鼻にいる。アレルギー性鼻炎や花粉症ではなをかむときも気をつけよう。

 中耳炎には急性以外に、「滲出(しん)性」というタイプもある。急性から移行することもあるが、発症のメカニズムは異なる。のどの炎症やアデノイドの肥大で耳管の通りが悪くなり、中耳内の「気圧」が低くなる。すると粘膜から液がにじみ出て、たまるのだ。

 滲出性は急性と違い、発熱や耳の痛みがない。音が聞こえにくくなるのが特徴だ。トンネルに入ったとき、耳が「ぼーん」となる状態に近い。テレビの音をやたら大きくしたり、名前を呼んでも気づかなくなったりと、気になる変化があったら、耳鼻科医に相談したい。
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