老人福祉論レポート設題T @ 

January 14 [Sun], 2007, 0:00
 「ライフサイクルの変化に伴う今後の高齢者福祉のあり方について述べなさい。」

我が国は、大正時代以後第二次世界大戦終了後頃まで、人生50年時代といわれていた。しかし、経済成長に伴って、医療技術が飛躍的に向上したことや食料の充実化などにより、平均寿命が大きく伸びる結果となり長寿社会へと変化した。2003年現在、我が国の平均寿命は男78、36歳(世界3位)、女85、33歳(世界1位)と世界最高水準を示している。
全人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は、1970年に7%を突破し高齢化社会に、1994年に14%を突破し高齢社会に突入した。2003年の統計では19、5%であり、年々高齢化率は上昇している。
この急激な変化は、人間の一生におけるライフサイクルに大きな変化を与えただけでなく、家族関係の変化や少子化など、長寿社会を取り巻く周辺の環境にもさまざまな影響を及ぼしている。
以下に、現在のライフサイクルの特徴とともに、その影響について述べる。
@晩婚化及び未婚化について
1985年、男女雇用機会均等法が制定され、あらゆる場面で男女平等が唱えられるようになった。それにより、女性が社会進出するようになった。この影響を受けて最近では、「結婚が女の幸せ」という考えは薄まり、「仕事が生きがい」という考え方が濃くなってきて、20人に1人は生涯独身という結果も発表されている。こうしたこともあり未婚・晩婚化が進行したといえる。
A少産少子化
上記に書いたように未婚・晩婚化が進んだことにより、出産する女性が激減した。女性が一生に生む子どもの数を示した合計特殊出生率は、平成15年に1、29を示し過去最低となった。2,08が現状維持の出産数(人口置換水準)なので、子ども人口と出産人口が減少して高齢者人口が増加するのは明白である。男女平等により、女性の地位が向上したことは良いことであるといえるが、女性の高学歴、社会進出が晩婚化や少子化を助長させ、高齢化を推し進めていることは否めない事実であり、対応の難しいところである。
B定年後の期間の長期化
昔は、定年後の余生といわれる期間が6、5年だったのに対し、現在では17年と約2倍の長さになった。これは平均寿命が延びたことによるものだが、余生という言葉は死語になり、新たな人生をスタートさせることができるだけの期間が待ち受けているのである。
このことについて、今まで身を粉にして会社や家庭のために働いてきた人たちを例にとって考えてみる。
今まで、仕事一筋で働いてきた人たちが定年を迎え、働かなくてよくなったとき、やるべきことが見つからず燃え尽き症候群になってしまうのではないだろうか。仕事一筋の人はほとんどの場合において余暇が少なく、その貴重な余暇も休息にあてるのみで趣味などに時間を割いてはいられなかったりする。そういった人たちは、今まで唯一、睡眠や食事以外にするべきことであった仕事を定年で失ったとき、何をすれば良いのかわからず、生きがいを見出せないまま死んで行くのではないだろうか。生きがいや生きる喜びのないまま生活することほど苦痛なことはないだろう。このような問題を解決する方法として、生涯学習の推進や定年期の延長、再雇用といったことが挙げられる。
C寡婦期間の長期化
老人福祉施設などに入所している男女の比率は3対7が一般であり、大正期も現在も女性のほうが長生きするというのが一般的である。それと同様に寡婦期間についても、およそ10年前後の長さにある。このことをどう対応していくかが課題になっている。
D核家族化の増加
理論的に考えると、長寿社会が到来したことにより、子どもや孫との同居期間が長くなるはずである。大正時代や昭和初期には、三世代は基本の家族スタイルであった。つまり、老後を迎えても家族がいたため支えられていたのである。しかし現在では、世帯構造の核家族化が進み、一人暮らしの老人や老人夫婦のみの世帯が増加しているのである。
以上のようなライフサイクルの変化は、世代構成や老後観の多様化を伴いつつ、国民の意識変容や家庭での役割の変化、社会全体の制度を上回る速さで進行してきている。このことに伴い、高齢期をいかに健康で充実した生活で送ることができるかという、個人の人生設計そのものの見直しが必要となってくるのである。一方、社会においては、社会保障や社会福祉の分野においても、家族の支援から、老後の生きがいづくりまで、さまざまな対応が必要である。
それだけではなく、女性の社会進出や核家族化に伴い家庭内での介護能力が低下している。そのため、高齢者の生活や介護(特に寝たきり老人や痴呆老人など)にたいして、どのように対応していくかが重要な問題となる。
現代のライフサイクルの変化には、こうした様々な問題を含んでおり、我が国の高齢者福祉は大きく変化してきている。
1963年の老人福祉法の制定により、特別養護老人ホームや経費老人ホームといった高齢者の入所施設が急速に整備された。しかし、どんなに施設環境が良く、看護や介護がよかったとしても、長年住みなれた地域で暮らしながら介護を受けたいと思うのは当然のことである。

Aに続く

老人福祉論レポート設題T A 

January 15 [Mon], 2007, 0:00
@の続き

したがって、従来の施設入所型のサービスから、在宅における介護サービスを充実させていくことが、これからの老人福祉に必要とされている。
その一環として我が国では、高齢者福祉施策の一層の充実を図るため、1999年に「ゴールドプラン21」を作成した。このプランは、@活力ある高齢者像の構築、A高齢者の尊厳の確保と自立支援、B支えあう地域社会の形成、C利用者から信頼される介護サービスの確立、を目的としている。具体的施策としては、介護サービス基盤の整備、地方性高齢者支援対策の推進、元気高齢者づくり対策の推進、地域生活支援体制の整備、利用者保護と信頼できる介護サービスの育成、高齢者の保健福祉を支える社会的基礎の確立である。
また、心身ともに健康な生活を送れるようにするための施策の推進を目標としている。すなわち、総合的な疾病管理施策の推進や、地域リハビリテーション体制の整備、介護予防事業の推進、高齢者の引きこもり予防のためのデイサービス事業、生きがい活動の支援、老人クラブの活動やシルバー人材センター事業の支援を通じた高齢者の社会参加の推進などが主な内容として挙げられる。
高齢者には、長年の経験による豊富な知識や経験・実績がある。それらを生かした老人福祉対策をさらに推進し、発展させていくことが必要だといえるだろう。そのためには、若い世代の高齢者に対するマイナスのイメージを変えていかなければならない。そして、自分も将来は高齢者になるのだということを自覚し、将来を見据えた生活について、取り組んでいかなければならないだろう。
また、これからの老人福祉は、ノーマライゼーションの考えに基づき、行政や地域住民が一体となって行うことが大切である。さらに、常に高齢者の人権を尊重し、充実した生活ができるように援助をしていくことが大切だと私は考える。

参考文献
福祉士養成講座編集委員会編「老人福祉論」中央法規2003年
中島恒雄著「社会福祉要説」ミネルヴァ書房2001年
P R
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