神無月の宴事、その真意を知る勿れ

November 11 [Sat], 2006, 20:11
 何だか最近神様集まるの少ないなぁ。やっぱりご馳走が陳腐だから?
 うんうん、そうだよねぇ。うちの奥さん料理下手くそだから。
 ん?うおっ、奥さん聞いてたの!?ごめんなさいごめんなさいそんなことこれっぽっちも思ってないから!!
 ぐえっ。首締めないで奥さん!ちょっ、本当マズイっ!意識遠のく!!私死んじゃったら誰が日本の神様統治するの!?
 え?何?私が統治する?
 ダメだよそれは。独裁政権になっちゃうじゃないか。恐怖政治万歳だよ。
 おおおおごめんなさい!失言でしたっ!!
 だからお願い、髪の毛むしらないで!!




 のそり、と部屋に入ってきた物の怪は、どんよりとした顔で昌浩を見上げた。筆を走らせていた手を止めて昌浩はギョッとした顔で物の怪を見下ろす。こんな物の怪見たことがない。
「・・・・・どうかしたの?もっくん」
 恐る恐る尋ねると、力無く笑った物の怪が答える。
「悪い、昌浩。俺明日から三日ぐらいいないから・・・・」
「え?何で?」
 思わず聞き返すと物の怪がその大きな目を急に潤ませ、ガバッと昌浩に飛び付いた。驚いて思わず倒れ込んだ昌浩の胸に顔を押しつけ、おいおいと泣き始める。
「俺はあんなところ行きたくないんだ!!酒が何だ!馳走が何だ!!あんなの正式な神たちだけでやればいいのに、どうして今年に限って末席の俺たちまで・・・・・っ!!!」
「え、何?もっくんどこか行くの?」
 頭突きを喰らうような形になった昌浩は後ろに倒れるが、それについての文句は噤み、大声を上げる物の怪の頭をよしよしと撫でながらそう聞いた。
 すると、ピタリと声を止めて物の怪が、小さく答えた。
「・・・・・出雲・・・・・・・」
 それに、昌浩の顔が強ばる。
「出雲?」
 物の怪が顔を一層強く押しつけてきた。狩衣を握る手にも力がこもる。
 あの、忌まわしい記憶の場所へとまたこの物の怪は赴くのか。
「どうしてもっくん、出雲へ?」
 少し声が震える。癒えたはずの腹部の傷が、ズキンと疼いたような気がした。
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北燐
おおおお。なんだか面白そうな小説ですね♪
楽しみにしていますw
November 11 [Sat], 2006, 21:42
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