ここ最近はずっと苦しかった。
毎日が閉塞して、泥の中を泳いでもがくようなものだった。
思い切り手を動かして、
なんとか泥から這い上がろうとするが、
どこにも岸がみあたらないのだ。
あたりは一面、茶色の海が広がっている。
太陽すらでていない。
やっとの思いで首だけ上に出したら、
そこに広がるのは、今にも雨が降り出しそうな灰色の空。
ぼくは自転車の旅と仕事、この二つを同時並行でやっている。
自転車の旅はぼくにとっての生きがいだし、
仕事も仕事でやりがいがある。
両方全力でやっている。
そこに妥協は存在しない。
仕事をしながら自転車の旅を続けるチャリダーというのは、
紛れもなくぼくにとってのアイデンティティである。
同時に、自転車の旅をしながら仕事をこなしている職場のぼくも、
この金太郎飴が詰まったポリバケツのような会社においては異色の存在である。
両者は共に、時間や、気苦労、お金、などでお互いを干渉しあう。
どちらか一方にすればよかった、とひしひしと思うことも少なくない。
しかし、大きなメリットもある。
仕事でうまくいかないときは、自転車の旅をしている自分を思い出して頑張れる。
自転車の旅がうまくいかないときは、職場に居場所をみつけだして元気をもらえる。
いわば、車の両輪のようなもので、
一輪車と違って、どちらか片方がパンクしても、
もう片方で支えられるから、なんとか苦境を乗り切ることができる。
ぼくは今まで幾多の精神的困難を、
こうやって、片方の自分に頼ることで乗り切ってきた。
だが―――
今はその両輪がパンクしてしまっている。
仕事はどんどん精神的に苦痛をしいるものになっていった。
この1ヶ月、ぼくは幾度となく怒り、声を荒げ、
同時に謝って、謝って、謝りつづけた。
しかし、一向に改善に兆しが見えない。
平日に自分の仕事など一切できなくなった。
必然的に休日が侵食されていった。
平日も、休日も、区別なくぼくは仕事に溺れている。
旅は暗礁に乗り上げた。
旅の準備を着々と進めること、
それが如何に簡単なものであったかわかった。
更なる高みに到達するには、
大きな契約を二つ、結ばなければならなかった。
しかしこれがうまくいかない。
自分の価値がちっぽけなように思えた。
なけなしの自信も大きく揺らいだ。
契約行為は他人に依存する。
自らもがいても、もがいても、すべては相手に委ねられているのだ。
どうか、どうかと、叶わないとわかっていることを祈ることしかできない陰鬱な日々。
両輪がもげてしまったぼくはどこに向かうのだろう?
どこにも向かえはしない。
ただ、その場でもがくのみだ。
もがいてもがいて、苦しんで、
なにかのきっかけで、せめてどちらかがうまくいくことを祈るのみだ。
さあ、仕事に行こう。
旅の準備も帰ってからしよう。
どこかに突破口がみえれば、必ずそこから水が勢いよく溢れ出すかのように、
現状の崩壊がはじまるはずだ。
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