2月3日は節分だ。
ぼくは節分を楽しみにしていた。
豆まき、鬼のお面、恵方まき、お吸い物、
寒い冬にのどの奥まで潤す、熱い玄米茶。
今年の方角を調べては、無言で食べる10分間。
心待ちにしていた、2月3日。
しかし!!
しかし……
涙目で言おう。
仕事が終わったのは、
もう、
2月3日も終わらんとする直前であった。
ああ、神よ。
どうして今日に限って、こんなにエンドレスな業務状況になるのよ……。
このままでは2月3日どころではない、2月4日中帰宅すら危うくなってしまう。
ぼくは年中行事に置いていかれる焦燥感に駆られて、
オフィスを逃げ出した。
オフィスに最後の施錠を行う。
もうこの時間には誰もいない。
つまり、今のぼくを止める者も、追ってくる者もいない。
i Adios !
全ての責任をきたる月曜日に先送りして、ぼくは自転車に跨った。
こんなの年金問題にくらべたら可愛いものだ。
走りながら考えた。
どうか、どうか、2月3日中に、
恵方まきを食べ、豆をまき、お吸い物をすすり、玄米茶で一服したい。
決して、贅沢な我侭ではないだろう
人並みの幸せ、人並みの行為をしたいだけなのだ。
しかし、どうしてだ?
どうしてぼくはこんなにも急がなければならない??
深夜ゆえにグッと交通量が減った国道2号線を自転車でひた走りながら、
ぼくは息継ぎの合間に、己の境遇を恨んだ。
ああ、腹が減った。
途中、どっかに食べに行けばよかった。
だが、今日は2月3日だ。
家にはきっと、恵方まきを用意して待ってくれているだろう。
先ほど「先に食べておいてくれ」とメールだけ送っておいた。
家内を起こさないように部屋に入って、
ラップでつつんである恵方まきをひそかに口に入れるのだ。
もしかしたら恵方まきはすっかり冷たくなっているかもしれない。
しかし今のぼくには問題ないだろう・
胃袋は見てのとおり胃酸で充填されている。
恵方まきなど、風呂に溶けていくバブ(※入浴剤)さながらに、
瞬時にして消化され、小腸に入るや否や吸収されるのだ。
こっちは空腹で吐き気すらしている。
今のぼくは、来るものは拒まず。
さあ、行こう!
一刻も早く家へ。
恵方まきの待っている家へ!
・・・・・・。
・・・・・・。
だが、神戸駅からしばらくした場所で、
ぼくは立ち尽くすしかなかった。
「ちくしょぉ……」
「ちくしょぉぉぉぉおおお!!」
目の前には、パンクして、へちょ〜んと萎びた前輪タイヤがあるのみだった。
パンク修理セットももってきていない。
道路の真ん中に半そでのYシャツに破れた作業着、
そして、パンクした自転車。
「寒いな……」自分をやっとの思いで客観視する。
と、
同時に時計の日付が変わった。
涙そうそうとは、まさにことのことである。
さらば、節分。来年にまた会おう・・・・・。
(追記)2月4日の朝1時ごろ、やっとの思いで家に帰ったら、
家内はまだ眠りもせずに、ご飯を用意して待っていてくれた。
感謝だ。そして叱ってくれ。こんなにもしょうもない、ぼくを。
ブログランキング参加しました。1日1クリックしていただけると、うれしいです☆
↓
@人気ブログ(自転車の有名ブログ一覧へリンクします)