読書録(3月分) 

April 08 [Sun], 2018, 20:59
例によって、一ヶ月単位で、読んだ本のまとめです。

3月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2079
ナイス数:22

東芝の悲劇東芝の悲劇感想
こういう書名ですがEQはないので人は死にません。この1年ほどメディアを賑わしていた一企業の失敗物語、と思って気軽に読み始めたのですが、ななんと20年(社長七代分)にも渡る長い物語でした。長きに渡って組織に自浄作用が働かなかったという話ですが、もう1つ驚いたのは、主人公が東芝の経営陣だけではなかったこと。官僚組織・財界・それに検察も関わってきます。東芝社員十万人の悲劇の話だと当初は思ってたのですが、自浄作用の働かないこの国の悲劇(と腰巻にも書いてあるね)という趣旨の、ある意味EQよりも怖い本だったようです。
読了日:03月05日 著者:大鹿 靖明
ライオンは仔猫に夢中 ~平塚おんな探偵の事件簿3~ (平塚おんな探偵の事件簿 3)ライオンは仔猫に夢中 ~平塚おんな探偵の事件簿3~ (平塚おんな探偵の事件簿 3)感想
シリーズ3作目。気軽に読めるミステリーとしては安定していますし、舞台の平塚にも愛着がわいてきました。二人の女探偵の事務所のある一角は、昔は海産物の一大集積地で(今でいう築地みたいな?)、そこから北西にある中原御殿に生鮮品を運ぶために斜め方向の直線道ができて今も町並みに痕跡を残している、てなことも調べてみたりしました(単なる蘊蓄だな)。由緒正しき土地だったようです。それはそうとして、いま流行りのネタ(ライザップのTVCMだとか)の濫用で図書としての賞味期限を短くしてしまってないかは心配なところでもあります。
読了日:03月14日 著者:東川篤哉
コレキヨの恋文コレキヨの恋文感想
時代を隔てた2人の政治家(現実の人と、現代のほうは作者による大胆な虚構)の、時空を超えた交流の物語です。その初対面の場面で行われるアンジャッシュのコント(を思わせる会話)が、本書では圧巻と言える箇所です(逆に言えばそれ以外はライトノベル風味だけで攻めてるだけの小説か)。高橋是清の蔵相(または首相)時代と現代との類似(これ自体は見事な指摘だと思う)をそのコントを通じて印象づけ、是清の経済政策(明言はしてないがそれを通じてアベノミクスも)の有効性を強調している、歴史と経済の勉強にはなりますが自民党翼賛本です。
読了日:03月24日 著者:三橋 貴明,さかき 漣
天王寺クイーン天王寺クイーン感想
銀行強盗人質場面から始まる小説、って伊坂さんにもありましたね。読んでてデジャブを一瞬感じるのですが本書は銀行からドラマが始まるのではなく逆にこの銀行シーンに向けて人物達を集結させるべく綿密なプロットが組み立てられている、かなり異色の物語でした。登場人物の相互関係がかなり複雑で私の手に余ったんですが、半村良の大阪弁バージョン的な伝奇小説?プリンセストヨトミ的な大阪裏社会もの?何とも断言できない本です(でも面白かった)。表紙に描かれた若い女性(いちおうJKらしい)が「クイーン」だと思いますがそれも不確かです。
読了日:03月24日 著者:野崎 雅人
核兵器と原発 日本が抱える「核」のジレンマ (講談社現代新書)核兵器と原発 日本が抱える「核」のジレンマ (講談社現代新書)感想
(手に持つと軽いけど内容は)重い本です。著者は技術者・研究者として長く原子力に関わってきた人ですが、原子力ムラの権益拡大のためではなく、理性的判断の砦の一角として(少なくとも近年は)働いてきた人だと見受けられます。本書はそのスタンスでこの国の現状を整理し解説しようと試みた本です。兵器として出発した核技術が、後に発電という新たな市場を見つけて、「平和利用」と銘打って原発は核兵器とは別ものだという印象のもとに推進が行われてきたが、元来同じ材料に基づく技術、切っても切れない複雑な関係にある、というような話です。
読了日:03月25日 著者:鈴木 達治郎
軍人が政治家になってはいけない本当の理由 政軍関係を考える (文春新書)軍人が政治家になってはいけない本当の理由 政軍関係を考える (文春新書)感想
自衛隊出身だけど任官中は教育畑にいて退官後はこのテーマについて学問的に取組んできた著者が、その成果として上梓した、理性的な論調の本です。政軍関係という言葉には初対面である私には勉強になるし、改憲について議論するとしたらそのテキストとしても良書かも知れません。が、本書の限界(扱えずにいる領域)も認識しておきましょう。政軍関係としては歴史的に見て最低レベルの「軍」が前世紀の日本にあった(その体制を総括もせず継承している)ことや、「政」の方が民から信頼されないレベルだというそもそもの問題、これが重い課題ですね。
読了日:03月30日 著者:廣中 雅之
吾輩のそれから吾輩のそれから感想
「猫だけど犬死」という駄洒落を使うために書かれた小説です(諸説あります)。まあタイトルからして漱石の代表作を2つ組み合わせた駄洒落なんですが。先に発表された「坊っちゃんのそれから」の方は素直に後日譚である(たぶん)のに対し、本書は漱石の上前を撥ねる巧妙な仕掛けで「猫はなぜ死んだか」を探るミステリー仕立てに(SF仕立てにも、かな)なっています。あ、超々後日譚になっている部分も若干あるか。ちなみに「カステラの角」云々と描写された建物は東大本郷の図書館のようです(ごめんね読んだ人にしか通じない表現ばっかりで)。
読了日:03月30日 著者:芳川 泰久
だめだし日本語論 (atプラス叢書17)だめだし日本語論 (atプラス叢書17)感想
二人の碩学による対談(だけで一冊作られた)本です。日本語論と銘打ってますが日本語について論じている(だけの)本ではありません。日本語がどうやって形成されて来たかを歴史的に辿るという話の流れは想定されてて編集者だか司会者だかが誘導しますがそこは博学同士の対戦、文学芸能政治経済宗教と話が広がります。なので言語学を体系的に勉強する役には立ちません。その脱線もしくは迷走の具合を読んで楽しむ本ですね。浦島太郎(の物語)は独身四十男の妄想だ、とか義経はただの無茶なヤンキー指揮官だといった、鮮やかな切り取り方が印象的。
読了日:03月30日 著者:橋本治,橋爪大三郎

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