ある日突然猫嫌い

February 13 [Sat], 2016, 22:50
仕事から帰ると、アパートの駐輪場に猫がいた。

一階の住人が野良猫に餌を与えているのは知っていたので、いずれこうなることは予想していた。元々猫好きな私には餌を与えたくなる気持ちはよく分かるので、大家に見つかって表沙汰にならなければ良いなと、暖かい目で見ぬふりをしていたものだ。

仕事から帰ると、アパートの駐輪場に猫が二匹いた。一匹はバイクのシートの上で悠然と寛ぎ、もう一匹は私が近づいた階段の陰から飛び出して私を驚かせてから、夜の闇の中に消えていった。この時の私はまだ猫好きだったので、これからは自分が気を付けて猫を脅かさないようにしようなどと、健気な事を考えていたものだ。

仕事から帰ると、アパートの駐輪場に三匹の猫がいた。古株の二匹はいつもの所作で、新顔はいつでも逃げられる体でこっちを見ていた。これで野良猫の三態が完成した訳だ。

ある日、駐輪場には新顔の姿はなかった。別に心配もしていなかったが、元気であることはすぐに分かった。何故ならば三階の私の部屋の前にいたから。そして脱兎の如く逃げていった。

その日眠りにつく前、私はこの猫たちのことを、初めて疎ましいと思った。そしてある予感を、確信に近いものを感じながら眠りについた。

それから猫たちは二度と現れなかった。
私は猫の感受性に関するこの事実から、幾分かの薄気味悪さを感じ、同時に彼らに対して抱いていた神秘性が霧散してしまったのを感じた。まるで人間と同じじゃないか!

猫に対する幻想を失ってしまった私ではあるが、あの三匹それぞれの個性を思い返して、その後の経緯を想像してみたりもするのだ。
新顔はきっとすぐに飼い猫になれるだろう。臆病な奴は野良のままで一生を終えそうだ。図太い奴は、伸るか反るかの一生を送るに違いない、などと。

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