言い訳
January 30 [Wed], 2008, 22:59
これは好意ではない。
ただの気紛れ。
意味などありはしない。
【言い訳】
何が原因かなんて忘れたが、今日も俺の逆鱗にふれた看守を殴った。
「ぐぇっ」
奴はカエルが潰れたような呻き声を出すと地面に突っ伏して動かなくなる。
看守の仲間は唯唯怯えながらこちらの様子を伺っている。
これもいつもの事だ。
俺はもといたスペースに戻るべく足を動かした。
その際看守を踏んで
またカエルの声を出したような気がしたが気にしない。
…パキ。
また何かを踏んづけた。
看守やヒヨコとは違ったようなので
踏んづけた物を拾ってみた。
「うぉっ!!」
緑が俺の拾った物を見て反応を示す。きっと横を向けばキラキラと瞳をきらめかしている緑がいるのだろう。もしかしたら涎も垂らしているかもしれない。
俺が持っているのはチョコレート。
まだ開封されていない板チョコだった。
さっきから突っ伏している看守が落としたのだろう。
お菓子は午後の三時に看守がよこすものだけだから、俺らにとってはこんなケチなチョコレートでも貴重だ。
特に緑はここ最近角砂糖しか食べていなかったから、
こんなものでもご馳走に見えるのかもしれない。
…………。
…………………。
…めんどくさい。
そんなこと考えても、緑がこちらを物欲しそうに見て居ても、あげる気はないのだ。
俺は緑を無視して自分のベッドに乗り込んだ。
ぎしりとベッドは悲鳴をあげ埃が舞う。
チョコレートの掛け紙をはずし銀紙を破いた。
……。
割れている。
チョコレートは綺麗に真っ二つに割れていた。
そういえば、自分が踏んだのだ、と思い出したのはのびている看守を4回踏んづけた後だった。
……。
「えっ?」
「…。」
緑が目を丸くして驚いている。
…正直俺自身も驚いた。
俺はチョコを緑に突き付けていた。
「…半分やる。」
「えっ?!いいの!?」
緑は目を白黒させている。
…めんどくせぇ。
「いらねぇなら…」
「いる!!いるいるいります!!」
緑は慌ててチョコを受け取った。
それを見届けてチョコを囓る。口の中に甘さが広がる。
たまに食べるとうまいな。
「あ、あの!」
先ほどからチョコに夢中だったはずの緑が俺を見て、
「ありがとう。」
にこりと笑うと、またチョコを食べるのに夢中になった。
口の周りがチョコで汚れている。
汚いとは思うが何故か嫌な気にはならなかった。
「……。」
・・・・らしくない。
やる気などなかった。
コイツにあげても得など一つもない。
ただあげる気が湧いたのは、
たまたま二つに割れていたから。
俺の気紛れ。
この行動に意味などないのだと、甘いチョコを頬張った。







