宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、2007年9月から09年6月11日まで月を周回した「かぐや」の観測データにより、世界で初めて月面のカンラン石の分布と起源を明らかにしたと発表した。月表面に分布するカンラン石は、巨大天体の衝突で、100キロメートル程度の深さの「月のマントル」から掘り起こされたものと考えられるとの結論を得た。
「かぐや」は、搭載のスペクトルプロファイラを使って、月全球の7000万点を観測した。スペクトルプロファイラは、可視近赤外線光の連続スペクトルを観察することで、月表面の鉱物組成を高精度で調べる機器だ。
観測の結果、月表面でカンラン石に富む領域を31カ所(観測点としては約250点)を発見した。同時に、過去の検出報告の多くは誤りであることも分かった。
「かぐや」以前にも報告があった3カ所を含む、カンラン石に富む34の領域は、いずれも地殻の薄い巨大衝突盆地の周辺に限られていた。逆に、地殻が厚い月の裏側や、これまで「カンラン石に富む」と考えられていた中程度のクレータには、ほとんどカンラン石が見出されなかった。
そのため、カンラン石は、約100キロメートルと、かなり深いところにある物質が、巨大天体の衝突により掘り起こされたものであることが分かった。
これまで、月表面のカンラン石は、下部地殻に起源を持つものと、さらに深いマントル起源の2通りの可能性があると考えられてきた。「かぐや」の観測データを詳細に解析したところ、月表面のカンラン石は、月の下部地殻にあると考えられているカンラン石とは性質が一致せず、マントル起源であることが裏付けられた。
「かぐや」が収集した月面上のカンラン石のデータの分析は、国立環境研究所・地球環境研究センターの松永恒雄・地球環境データベース推進室長や同センターの山本聡研究員が担当した。同結果は、4日発行の英科学誌『ネイチャー・ジオサイエンス』に掲載された。
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◆解説◆
カンラン石はマグネシウムや鉄を多く含むケイ酸塩鉱物。地球のマントルにも多く含まれる。色が濃く、深い緑色の場合が多いことから、橄欖(かんらん=オリーブ)石の名称がつけられた。
月は直径が地球の約4分の1だが、それでも表面積は約3800万平方キロメートルと、広大だ。そのため、着陸して探査た場合、サンプル収集のような「一転集中式」の成果はあげられるが、月全体を展望するようなデータ収集はかえって難しくなる。「かぐや」は月を長期間にわたり周回することで、月全球から膨大なデータを集めた。しかも、最新鋭の観測機器を搭載することで、例えば「アポロ時代」にはまったく考えられなかった詳細な情報を得ることができた。(編集担当:如月隼人)
【7月5日15時46分配信
サーチナhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100705-00000059-scn-sci