東京百景 

September 28 [Mon], 2015, 22:45
又吉直樹氏の著作、というと、大概の人が思い浮かべる物は大153回芥川賞を受賞した『火花』ではないかと思う。ご多分に漏れず、表題の著作を書店で見かけるまで、私も彼の著作はそれしか知らなかった。そして、流行の物に対する何とも言い難い抵抗のようなものがあって、すぐには読む気が起きなかった。

そんな私がどうしてこの『東京百景』を手に取ったのかというと、理由は一つしかない。9月の上旬に職場の近くで、「又吉が太宰を語る」という有料のイベントがあり、そこで彼の話を聞いていたら、無性に太宰や彼の著作を読んでみたくなったのだ。
流行モノに対する抵抗感を抱きながら、講演を聞いた程度で興味を持ってしまう大いなる矛盾に目をつぶりつつ、もはや何に対してかもよくわからないせめてもの抵抗で、『火花』の隣にあったこの本を手に取った次第である。ちなみに、これまでに太宰の著書も読んだことがなかったのだが、こちらについてはブックオフで購入した『人間失格』を先日読破した。又吉氏の講演を聞いていて感じたこととも併せ、自分なりの感想は色々とあったのだが、これについてはまた機会があれば記載したい。
さて、肝心の著作についてだが、非常に面白かった。講演を聞く中で、何となく「自分と似た部分(とりわけ、単純なことを面倒くさく考えてしまったり、人に対して気を遣い過ぎて変に空回ってしまいそうだったり、自分の世界に入り込んでしまうあたりが)がある」と思っていたのだが、果たして、彼の文章を読んでいると非常に親近感が湧く場面が多々あった。一つ確実に自分と違うと、凄いと感じたのは、日常の中で感じては私が必死で隠そうとして目を背ける「誰かと違う部分」を彼はしっかりと認識し、理解し、読み手に面白いと感じさせる文章で(書いた本人がウケを狙っているのかはともかく)表現している点である。私はどうしても人と違うことに恐怖を覚えてしまう。何か少しでも人と違うかもしれないと感じる事は、まず蓋をして押し隠して、誰かの行動を見てからでないと動けない癖ができてしまっている。にも関わらず空気が読み切れず、人の顔色を伺っている卑屈さが透けて敬遠されることもままあるのだが。
私が親近感を感じたのは、又吉氏もまたそういった傾向があることを自著の中で明かしていたことだ(そんな傾向は私や彼以外にも、誰の中にもあるものかもしれないけれど)。そしてまた、私が凄いと感じたのは、又吉氏が人との差異を時には隠そうとしながらもやはり隠し切れず、また時には自らを隠さずに表現して、都度失敗したり楽しい気持ちになったりという、感情をちゃんと大切に扱っていたからである。彼の人間臭さや生きる上での葛藤を描きながら、笑え、首をかしげたくなるような文章が、とても心に響いた。
影響されやすい私は、久々に文章が書きたくなって今こんな記事を書いている。又吉は、自分の書いた文章(しかも『火花』ですらないエッセイ)に、こんなにも影響されて語ってしまう馬鹿がいる等とは思いもよらないだろう。
それでも私は勇気づけられた。自分の感じたことを、明日からはもう少し素直に表現してみようと思えた。例え、100人中99人と合わない、変な感覚だったとしても。偽って、苦しくなるのは、馬鹿みたいに楽しくない人生の具現だ。

七曜になれなかった王様 

July 16 [Thu], 2015, 21:52
GOOD ON THE REELのこのミニアルバムを、もう何度も聴いた。
ミニアルバムを多数出しているこのバンドの曲は、どの曲も切なく柔らかく大好きなのだけれど、今回のミニアルバムの「夜にだけ」はとりわけ心に響く曲だった。たぶん、今の境遇が似ているのかもしれないと思う。
「心を開く」というのは小学校の頃からずっと苦手科目で、成人して社会人になった今も一切改善の兆しが見られない(というよりも悪化している)。
ただ、一応一般人の真似事だけはうまくなってきて、何となく笑って何となく話を合わせられるようにはなっている。
とはいうものの、常に緊張の連続で受け答えがかみ合わないし、その緊張が相手にも伝わるのか結局あまり仲良くはならないことが多い。
「裏表なく」「人を信じる」「人に興味を持つ」といったアドバイスは何度か貰ったけれど、それは「意識しなくても出来ている」側からの意見なので、「どうやったらいいのか」を聞いてもあまり捗々しい答えは返ってこない。断られるのが怖いので誘うのが苦手になって、その内に1人で行動することが一番楽になった。
ただし、集団でいるのは苦手だけれど、集団の中に孤独でいることも寂しく思えてしまうので、まだうまく折り合いはついていない。
そんな残念な思考回路の私にも、本当に奇跡的に友人も彼氏もいる。その人たちに対しては心が開けているのだから、世の中捨てたものではないなと思う。こんな暗くてどうしようもない思考回路を、それすらも「面白い」と興味を持ち「変」と笑い飛ばしてくれるような人たちだから、私も意識せずともアドバイスどおり「裏表なく」「信じて」「興味が持てる」のだろう。
彼等のように気負わず、人と居られれば人生はきっと楽しい。そう思うから同じようになりたくてもがくけれど、自分すら信じ切れていない自分にはとても難しい命題のような気もしてしまう。

こんな自分だからこそ、GOOD ON THE REELが好きなのかもしれないけれど、焦らず、なるべく一歩ずつ前に進んでいきたいと思うのだ。
だから、夜だけは少し泣く日があってもいいと思う。涙で洗い流してすっきりしたら、明日のためにゆっくり眠ろう。

靴。 

July 15 [Wed], 2015, 21:04
就活生だったころから長年、仕事用の黒靴といえば、イトー●カードーのセールで買った黒のパンプスだった。4,990円(税抜)という破格のお値段ではあっても購入当時の私には高額に思えたものだが、一応は革靴だったので、合皮よりは長く持つだろうという安易な発想で購入を決めたことを何となく覚えている。
もくろみ通り、大して靴を大事にしない私に履かれ続けてきた哀れなその靴は、本日に至るまで靴としての役割を一応果たしてくれていた。
とは言え、外反母趾気味だったためか、外側にかかとがすり減りインソールがボロボロになっていたのを、騙し騙し使い続けてきたというのもまた事実である。
スニーカーでの出勤すらかなう我が職場において、ボロボロのパンプスに目を留める人が居なかっただけのような気もするものの、外側に寄って歩き辛い踵も靴を脱げばストッキングに付着するインソールのかけらも、諸々気にせず使い続けてきたが本日、とうとう処分を決めた。
何のことはない、訪問先で靴を脱ぐ機会があり、ストッキングについたボロボロのインソールが、人様の家の畳に落ちたためである。踵は直せば何とかなるし、自分の足や自宅の床が多少汚れようが大して気にはならないが、人様の家を汚すようではどうしようもない。

処分を決めたはいいが、黒い靴はないと困るアイテムの一つであるので、就業後地元の駅ビルに寄って靴を探した。比較的安いコーナーで何足か試したものの、あまりしっくりするものがなく断念。仕方がないので高いけれども確かな品質を誇る靴の専門店まで足を運んだ。
サイズ違いも合わせて5足ほどをためし履きし、とりあえず無難と思われる一足を購入したのだが、会計の際に衝撃を受けた。値段を気にせず選んでいたのだが、一足約20,000円(税込)、(少なくとも私にとっては)高額である。
しかも、駅ビル内の他店が軒並み50〜70%OFFの看板を掲げるこの時期に、店内一足たりとも値引かれていないという強気具合。これまでの4倍の価格の物に自分の足を収めるという事実に驚きを禁じ得なかったが、さておき、これで心置きなく先代を処分できる運びとなった。

「安物買いの銭失い」をしょっちゅうやらかす私だが、少なくともこの靴についてはよく持ってくれた方だろう。そう考えると何となく寂しくすら思えて、「お疲れさま」の一言でも靴にかけてやりたくなったが、残念ながら既にマンションのゴミ捨て場に行ってしまったので、心の中で思うだけにしておく。
次代は4倍の値であるので、4倍長くもってくれないだろうかという浅はかな期待を抱きつつ、次に晴れた日はこの高い靴を履いてみようと思うのだ。時々は、その四分の一の値段だった、安物のことも思い出しながら。

貴方にとっての夏の曲は 

July 14 [Tue], 2015, 21:31
どんな曲だろうか?

時々、最近一切聞いていなかったような昔の曲が、突如脳内で再生されることがある。
今日はまさにそんな日で、仕事中のBGMはずっと大塚愛の「金魚花火」だった。
最近ただひたすらにJ-Rockに浸かり切っている自分としては、ここ5年ほど耳から一切聞いたことのない曲だったのだけれど、本日の退社時間まで、何故か「金魚花火」は私の脳内で繰り返し再生されていた。

大塚愛といえば、何となく夏の曲のイメージが強いの私だけだろうか。
「プラネタリウム」「クラゲ、流れ星」「金魚花火」と、私の知っていてカラオケで歌える曲の多くが、夏仕様だからかもしれないし、何となくそれらの曲のPVの映像が、半袖だったりノースリーブだったり、涼しげで元気な印象があるためかもしれない。
愛らしい容姿に加え、ノリがいい曲からしっとりしたバラードまでレパートリーの幅広さからか、彼女の曲は、私が中学〜高校生の頃によく流行った。
最近でいうところの西野カナの系統か。
女子校にいて「彼氏」という言葉すら縁がなかった流行当時から彼氏という存在が一応いる今に至るまで、曲の中にあるような甘酸っぱくて切ない恋愛感情を抱いたことがないので、残念ながら心底共感を覚えたことは実は一度もない。
とはいえ、曲の出た当時から今に至るまで、「キュン」という言葉が似合う彼女の曲には、ある種の憧れを禁じえないのもまた事実である。
彼氏がいる今ですら、両想いで甘酸っぱくて切ない大塚愛の曲よりも、GOOD ON THE REELの「花」にこそ共感を覚えてしまう斜め後ろ向きな私だけれど、もしかしたらいつか、この甘酸っぱさを解せる日が来るのかもしれない。

うだる暑さの中、取りとめもなくそんなことを考えた火曜日の仕事終わり。
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