a cup of tea

April 05 [Thu], 2012, 0:06

追記機能がこれからだと使えない、だと…

マイナーに耐えるすりりんごさんに贈らせていただく。



eb




アーサーは慣れた様子で庭の柵をひらりとのりこえた。それもそのはず、ここはアルフレッドの住まい。まだ幼かったアルフレッドを驚かせようと、いろんなところからの侵入を試みたのも彼にとってはそう昔のことではない。

テラスから聞こえる期限の良さそうな鼻歌に、アーサーは樹の陰に身を隠し、様子をうかがう。アルフレッドはどうやら本でも読んでいるらしい。珍しい、とおどけたアーサーの髪を、やわらかい風がくすぐって。アーサーはさらに驚いた。紅茶の香りだ。あわててもう一度アルフレッドをのぞき見る。アルフレッドが本を読みながら手探りで手に取ったのは、ティーカップだった。


「アル、お前紅茶が好きか?」
「んー、苦い…」「そ、そうか。」

「…でも」「ん?」

「アーサーの淹れてくれる紅茶は好きだ」





「紅茶なんて、誰が飲むんだい?」

「お前、なんで…」
「もう、君にはついていけないよ。
   合衆国は、ここに独立を宣言する」




小さなアルフレッドのために買った、当時は高価だった陶磁器に金をあしらったカップ。捨てたものだと思っていた。自分は嫌われてしまったのだから。

すっとカップを傾けたアルフレッドはにがみばしった顔でつい、と目をカップに向けて、中身を捨てた。それをみたアーサーは思わず飛び出していた。

「おい、アルフレッド!!」
「うわぁ!!なんだい君!!?いたのかい!?」
アルフレッドは突然大声とともに現れたアーサーに、本を放り投げて眼を丸くした。
かまわずアーサーは続ける。
「お前紅茶捨ててただろ!なんてことしてんだ!!」
「見てたのかい…あ!」
アルフレッドはテーブルの上のカップをあわてて取りあげて後ろに隠した。
「あ?」
不良よろしくアーサーがギロリとその手を追った。
「どうして、捨てなかった?」
アルフレッドはきゅ、と唇を結んだ。
「『あの』時捨てたもんだと思っていたのに」
カップを取りあげてアーサーは目を細める。
「……しかったんだよ」
アルフレッドがぼそぼそと口を開く
目を丸くして聞き返すアーサーに、叫び返す。
「さみしかったんだよ!!」
勢いよくカップを取り返すと家へともどる。
後ろからみてもわかるほど耳が赤くて。

後ろ姿を追いかけて、抱きしめる。


『ごめんな、寂しい思いをさせて
  できる限り、おまえに会いに来るから』

「どうでもいいけど、税金の引き上げはお断りだよ」
くるりと向きを変えたアルフレッドは、アーサーの肩に顔を埋めた。
「…ああ。今日はアップルパイを持ってきたんだ、今回は自信がある!」
「うげ、君の手作りかい?」
誇らしげな笑顔のアーサーに、うんざりだ、とアルフレッドは顔を上げた。

「自信作だっつってんだろ!いいから食え!俺が甘い紅茶淹れてやるから」
「本当かい!?」
アルフレッドは目を輝かせる。
「君の淹れる紅茶だけはおいしいからね!」
「うるせぇ、だけは、は余計だ」



『アーサーの淹れてくれる紅茶が好きなのは、』


君が隣にいてくれるからだよ。


P R
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