彼の事情、彼らの事情 【9】

May 08 [Sat], 2010, 8:27
N「潤くん!!潤っ!」

和也が自分のほうに走ってくる。
潤はその姿をぼんやりと眺めていた。
N「来てたんだ。よくわかったね」
息を弾ませながら、和也は笑いかける。
M「見てたよ。速かったな」
N「うん。頼まれたんだ」
言いながら潤の隣に腰掛ける。
翔はいつのまにか、いなくなっていた。

N「俺、陸上部に行こうかと思ってさ」
M「・・・・」
予想していたとおりの言葉が、あまりにもあっさりと耳に入ってくる。
次の言葉はもう、潤にとってはどうでもいいことのように、遠くから響く。
N「・・・・兄貴が・・・なぜアメリカに行ったのか、俺、どうしてもわからなかった」
和也はグラウンドを見つめ、瞳をきらきら輝かせながら話し続ける。
N「きっと、アメリカじゃなくても、どこでも良かったんだ。ただ、走りたかっただけなんだ。俺、走るのが楽しい。この間ここを走って、わかったんだ」
M「和也・・・」
N「もっと走りたい。そしたら、兄貴の気持ちがわかるような気がするんだ」
M「だったら、陸上部じゃなくてもいいだろう。走るだけなら、今までと同じだ」
N「うん。でも俺、長距離やりたいんだよ」
M「はあ? オリンピックにでも出るつもりか」
N「違う。前に兄貴がハガキで、アメリカで、どこまでもどこまでも走ってみたいって書いてきたんだ。それ読んで、俺も同じ事を思った。短距離なら自信あるけど、長距離は走ったことないし、自分がどんだけ出来るか、試してみたいんだ」
M「・・・・・」
N「今日、本当は走ろうかどうしようか迷ってたんだ。だけど、走れるってわかったら、自然に足が動いてた」
M「・・・・わかった」
N「潤くん、一緒に」
M「ああ、わかったよ!」
N「・・・潤?」
M「お前はお前の道を行くべきだ。俺はお前を止める気もないし、権利もないさ。お互い、頑張ろうってことだろ?」
N「・・・・・・」
M「悪い。帰る」
N「ちょっと待てよ」
M「じゃあな」
止める和也を背に、潤は逃げるように走り出した。



潤の走り去った方向を見つめて佇んでいる和也に、亮が声をかけた。
R「終わったんだろ。こっち来て座れよ」
N「え・・・・」
亮は、すぐ近くに座っていた。
今の会話をすべて聞かれていたようだった。

断る理由も見つからず、和也は亮の隣に座る。
Rん「・・・・長距離やりたいのか」
N「・・・は・・・・はい」
もうどうにでもなれ。
和也は成り行きに任せる事にした。
R「キツイぞ。走り方も違うし」
N「はい」
R「でも、短距離走者が長距離に転向するってのは、あまり聞かないけどな」
N「そうなんですか?」
亮は、そんなことも知らないのかという表情で、和也を見た。
R「裸足で走るって、アベベとか目指してんの」
N「い・・・いえ・・・」
R「冗談だ」
N「はい・・・・」
アベベは古すぎだ。
どうもこの人は掴めねえな。
和也は亮の浅黒く焼けた精悍な横顔を見た。
R「9月までで終わりだけど、コーチしてやろうか」
N「えっ」
R「俺は受験しないけど、3年は2学期からは部活中止だから」
N「はい」
R「それまでで良ければ」
N「はい! お願いします」
亮は、昨年までは長距離ランナーだったのだ。
膝を痛めて今は半分引退したようにはなっているが、地区大会ではいつも3位以内に入るほどの実力の持ち主だった。
今日は400メートル走に出場していた。
身長は180センチ位だろうか。
雅幸より10センチほど高い。
細面で一見優男風だが、シャツの下の筋肉は、かなり鍛えられている。
噂によれば、自宅に筋トレの器具を揃え、毎日鍛えているらしい。
陸上というより体操選手のような体格をしていた。
R「よし。そうと決まれば、俺んちに来い」
N「へ?」
先程までとは打って変わって、亮は笑顔になり、和也を強引に誘う。
コーチしてくれるとまで言ってくれた先輩の誘いを断ることも出来ず、和也は行くしかなかった。



***************************




運動公園を出た潤は、どこに行くともなく歩いている。
まっすぐ家に帰るのも芸がないし、大人なら酒でも飲んで憂さを晴らすところだろう。
酒の味は少しは知っているが、自分はまだ未成年だし、それよりも何よりも、金を1円も持っていないのだ。
?「潤」
見知った店の前を通った気がして、知った声が聞こえた気もしたが、無視することにした。
自分は今それどころではないのだ。
?「おい待てよ」
後ろから腕を掴まれるまで、一瞬でも振り向かなかった。
M「うるせえな! 何だよ」
?「一緒に飲まないか」
M「は?」
?「入れよ」
驚くほど強い力で引かれて、潤は『RAN』の中に入っていった。
P R
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