五輪幻想は、いずれ覚める夢
2008年08月18日(月) 17時18分
北京五輪後の中国経済に意識を向ける記事、といえばいいのか、北京五輪の演出を痛烈に皮肉った記事、といえばいいのか……
とにかく印象的だったのでご紹介します。
そういえば、北京五輪前、確か3月位に中国政府・楊外相は面白い発言をしていましたね。
「多くの選手が中国、特に北京で世界記録を出していることについては議論の余地がない。ほかの場所で世界記録を出せない選手でも、北京五輪ならよい結果を残せるかもしれない」。
49メートルプール疑惑、意外にありかも……?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080818-00000017-scn-cn&kz=cn
アカデミー賞級演出の五輪幻想は、いずれ覚める夢
北京五輪の開幕式で美少女・林妙可ちゃんの歌声が別の少女の声を当てた口パクであった。翌日の新聞の一面を飾った花火写真はCG(コンピューター・グラフィックス)であった。多民族国家・中国を象徴すべく56の民族衣装を着た子供たちの行進は実は漢族の子供たちの「コスプレ」であった。これら“演出”が外国メディアからヤラセだ、擬装だと批判を受けたことは、おそらく中国にとっては極めて心外であったことだろう。
中国としては開幕式を完璧にするために、完璧な容姿と声の少女を選び、科学技術を駆使し、最高の演出を考えただけなのだ。人工消雨で雨雲を消し完璧な天気を演出するのと、なんら変わらないではないか。その考えは北京五輪組織委員会側の「国家利益のため」という一言に凝縮されている。中国は「国家利益=共産党の利益」のためなら、なんでも許される、愛国無罪の国なのである。
こういうことが続くと、他にもどんな「演出」があるやら、と勘ぐるのが人情である。今、インターネット上で半分冗談のようなウワサが流れている。世界記録更新が続出している競泳会場・水立方(ウォーターキューブ)の50メートルプールは実は49メートルではないか、というものである。五輪史上もっとも多くの世界更新記録が出た北京五輪などといえば、いかにも中国の国家利益に合致しそうな演出ではないか?
五輪は中国にとって100年の夢。夢はロマンと幻想で彩られるるものだ。中身が出来ていないビルの表面を美しいガラスタイルで張りかため、胡同の街並みを撤去して、転売が決まるまでのつかの間緑地公園とする。ボランティアを客席に動員し文明的な応援を海外観光客に見せる。いずれも完璧な五輪開催都市を演出するために欠かせないものだ。
世界は五輪の夢を一瞬なりとも本気で共有した。社会主義市場経済の奇跡的成功や軍事独裁国家の国際化を信じ、人権や民族弾圧が続くこの国で平和とスポーツの祭典の開催資格ありとお墨付きを与えたのは国際社会なのだ。五輪開幕式はそんな中国の五輪幻想を見事に表現したのであり、総合演出を担った張芸謀(チャン・イーモウ)監督が自ら100点満点をつけたのもうなづける。
しかし、いかにアカデミー賞なみの演出力であろうと、幻想は真実ではなく夢はいずれ覚めるもの。宴がおわり長い白昼夢から目覚めたあと中国を待ち受けるのは、社会矛盾と破綻した経済かもしれない。五輪幻想に世界中が幻惑されている中で、誰より現実的な中国人は、だから、金メダルの数より急落する株価の方に関心を寄せるのである。(執筆:北京在住会社員・三河さつき)
とにかく印象的だったのでご紹介します。
そういえば、北京五輪前、確か3月位に中国政府・楊外相は面白い発言をしていましたね。
「多くの選手が中国、特に北京で世界記録を出していることについては議論の余地がない。ほかの場所で世界記録を出せない選手でも、北京五輪ならよい結果を残せるかもしれない」。
49メートルプール疑惑、意外にありかも……?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080818-00000017-scn-cn&kz=cn
アカデミー賞級演出の五輪幻想は、いずれ覚める夢
北京五輪の開幕式で美少女・林妙可ちゃんの歌声が別の少女の声を当てた口パクであった。翌日の新聞の一面を飾った花火写真はCG(コンピューター・グラフィックス)であった。多民族国家・中国を象徴すべく56の民族衣装を着た子供たちの行進は実は漢族の子供たちの「コスプレ」であった。これら“演出”が外国メディアからヤラセだ、擬装だと批判を受けたことは、おそらく中国にとっては極めて心外であったことだろう。
中国としては開幕式を完璧にするために、完璧な容姿と声の少女を選び、科学技術を駆使し、最高の演出を考えただけなのだ。人工消雨で雨雲を消し完璧な天気を演出するのと、なんら変わらないではないか。その考えは北京五輪組織委員会側の「国家利益のため」という一言に凝縮されている。中国は「国家利益=共産党の利益」のためなら、なんでも許される、愛国無罪の国なのである。
こういうことが続くと、他にもどんな「演出」があるやら、と勘ぐるのが人情である。今、インターネット上で半分冗談のようなウワサが流れている。世界記録更新が続出している競泳会場・水立方(ウォーターキューブ)の50メートルプールは実は49メートルではないか、というものである。五輪史上もっとも多くの世界更新記録が出た北京五輪などといえば、いかにも中国の国家利益に合致しそうな演出ではないか?
五輪は中国にとって100年の夢。夢はロマンと幻想で彩られるるものだ。中身が出来ていないビルの表面を美しいガラスタイルで張りかため、胡同の街並みを撤去して、転売が決まるまでのつかの間緑地公園とする。ボランティアを客席に動員し文明的な応援を海外観光客に見せる。いずれも完璧な五輪開催都市を演出するために欠かせないものだ。
世界は五輪の夢を一瞬なりとも本気で共有した。社会主義市場経済の奇跡的成功や軍事独裁国家の国際化を信じ、人権や民族弾圧が続くこの国で平和とスポーツの祭典の開催資格ありとお墨付きを与えたのは国際社会なのだ。五輪開幕式はそんな中国の五輪幻想を見事に表現したのであり、総合演出を担った張芸謀(チャン・イーモウ)監督が自ら100点満点をつけたのもうなづける。
しかし、いかにアカデミー賞なみの演出力であろうと、幻想は真実ではなく夢はいずれ覚めるもの。宴がおわり長い白昼夢から目覚めたあと中国を待ち受けるのは、社会矛盾と破綻した経済かもしれない。五輪幻想に世界中が幻惑されている中で、誰より現実的な中国人は、だから、金メダルの数より急落する株価の方に関心を寄せるのである。(執筆:北京在住会社員・三河さつき)
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