甘い悪巧み 

2006年09月05日(火) 23時46分
 大佐の家にはトースターが無い。
 その事実を知ったのは、初めて大佐の家に泊まりに行った日だった。
 朝、俺が寝坊をした。
 そうすると大佐は鼻を摘んで、俺を起こした。
 出されたのは焼けていないブレッド。
 バターは無し。
 せめて、焼いてくれと思ったが見回してもキッチンにはそれらしいものがない。
 仕方ないので、インスタントコーヒーとそれのみの貧相な朝食を平らげた。
 枯れた喉にやたらとパンが詰まったのを覚えている。

 仕方ないので、次行くと決まったときにジャムを買うことにした。

 トースターを買おうかと思ったが、安月給の俺がなぜあの高給取りに…と腹立ったので却下。
 買ってもらおうかと思ったが、そこまで踏み込むのも気が引けた。
 ついでに、俺のアパートに泊めた時に好みを聞いておいた。
「マーマレード」
 少し不審そうな顔をして、彼はそう言って俺の作ったサンドイッチを頬張った。
 仕方ないので、マーマレードと苺ジャムを買った。
 俺はオレンジの皮を食うことに疑問があって、マーマレードは得意じゃないのだ。
 こうして、俺はそれなりにまともな朝食を食べれるようになった。

 冷蔵庫の中、ビンが残り少なくなっていたのに気がついた。

 仕方ないので、また俺はジャムを買う。
 地区が違うと住む人種も違うのか、大佐の家のまわりで買おうとすると俺が買ってきた徳用ジャムの三分の一しか量が無いくせに、三倍の値段のものしかなかった。
 俺は重い買い物袋提げて、大佐の家へと向かう。

 それを繰り返し、大佐の家からはジャムが無くなることは無くなった。

 大佐は初めから何も言わない。
「おはようございます」
「ん」
 不機嫌ではなく、彼は朝、音を発するのを忌み嫌った。
 できるだけ音を発てずに家を後にする。
 それが彼のポリシーなのだろう。
 なので、俺は最小限の音と声で朝を過ごす。
「いつもので?」
「…」
 首を振らないので、そのままコーヒーを半分まで注いだカップを牛乳で満たす。
 砂糖を2杯入れ、かき混ぜる。
 片膝を立て、抱え込み、彼は椅子に深く座っている。
 動きの悪い機械のように、彼は発ち上がりはのろい。
 気にせず、スクランブルエッグと焼いたベーコンを乗せたトレイと、バケットの籠を置く。
 そうして、冷蔵庫からジャムを取り出し、自分の席に座る。
 会話はせず、大佐が一度手を組んだのを見届け、各々の食事をする。
 大佐は何も言わず、俺の買い置きのマーマレードを塗ったパンをかじる。
 俺はそれを眺める。
 大佐はそれを日常とし、気にも留めない。

 全ては俺の企み。
 彼の日常に入り込むための。
 彼の生活の一部になるための。
 マーマレードを塗ったパンが彼の朝食。
 俺がいないと達成されないそれ。
 彼は俺がいる限りジャムを買わない。

 そうして、俺は今日も満足して、ブラックコーヒーを啜る。

(FIN)

お知らせ 

2005年11月26日(土) 0時28分
 プライベートが忙しくて、ほとんど休止中だったこのサイト。
 今までオフラインな活動に営んでいた猫田です。

 というわけで宣伝

 ただ今猫田はZweiというサークルにて同人活動を営んでおります。
 つきまして、来る11月27日スーパーコミックシティにて、本を売っております。

 〈発行物〉
 鋼の錬金術師 ロイ×ハボ「番犬の一日」
 銀魂 銀×新「sweet and biter」
 実録漫画 「ふたりで行ったり来たり」

 全て漫画にて参加しております。
 Web上ではあまりお見せしていない猫田トロの漫画、もし機会がありましたら、お手にとって見てください<(_ _)>

ちがう煙草 

2005年08月11日(木) 23時00分
思い立ったら超SSS。
なんとなく連作になりかけてます。ヒューハボです。

小さな部屋で腕の中 

2005年08月11日(木) 22時41分
 思いついて、書き上げた超SSS。
 まあ、エドハボです。ハボエドじゃ、ございません(汗)

01 職権乱用 のつづき 

2005年08月04日(木) 15時49分
「ん…あん?」
 自分を高める事に集中していたハボックはぼんやりとロイの問いに答える。しかし、ロイの両手が尻を掴み、蕾を開くように両脇に広げられると、椅子に付いていた手をはずし、ロイの首に絡める。
「ああ…」
「抱いて欲しいなら、ちゃんとおねだりしろ」
「あ…いやぁ…」
 首を弱く横に振り、許しを乞うように頬を胸に摺り寄せてくる。そんなハボックを他の者は想像にもしないだろう、陽の下にいる彼と今の彼は結びつかない。自分を通さない限り、ロイはハボックのベルトのバックルをがちゃがちゃと乱暴に外し、ゆるくなったウエストから片手を押し入れる。尻の柔らかな肉を撫でながら、蕾を探し当てる。
「ここに欲しいだろ?そうしないとお前は達せないものな」
「ふぁん…ぅん…」
 蕾の入り口を指の腹でなぞったり、指先で突付くなどはするが、決してその奥に指を差し入れようとはしない。ハボックは身を振るわせ、腰を捩るが、抵抗はしない。抵抗などしない。
「さあ、言ってみろ、ちゃんと見ててやる」
「あっ…んんっ」
 ハボックの唇に舌先を押し付けると、招くように唇は開き、ロイは舌を入り込ませ、歯先をなぞり、舌を絡ませ、励ますようにキスを贈る。
「さあ」
 離すとふたりの舌の間をか細い糸が繋がっていた。
 ハボックはなんとか立ち上がると、緩んでいたズボンを下着と共に下ろし、足から抜く。ブーツはそのままに、膝をつくと、体の向きを変え、ロイに蕾を見せ付けるように、腰を上げる。手を床に付き、顔を床に押し付けて、羞恥に絶えた。
「大佐…」
 ロイは椅子に座りなおすと、その様を見下ろす。日焼けした肌はそれでも、そこいらの軍人より白く、今は高潮し、赤味を帯びている。無駄の無い筋肉を今は怯えるように震わせて、耐え難いポーズに声も弱弱しい。
「抱いて…ください」
「ハボック、お前は本当に可愛い犬だな」
 ロイは自分の指先を舐め、自分もまた床に膝を付いた。

01 職権乱用 (ロイハボ15) 

2005年08月04日(木) 15時44分
*この文には性描写が含まれております。

 小さな紙切れは、机に落とされたファイルの束が起こす風だけで吹き飛ばされるほどで、ハボックは慌てて、それを摘み上げた。そして、まだ完全に机に付いていなかったファイルは片手が空いた事で傾き、小さな雪崩を起こす事になった。ハボックがイラついたのは言うまでもなく、残り少なくなった煙草を吸殻だらけの灰皿に押し付けて、もう一本と口に銜えた。
 火をつけようとしたライターはガスが足りないのか、火花が飛ぶばかり。何度も何度も繰り返し、やっと点けた頃には親指が少し赤くなっていた。一度深く吸い込み、吐き出して、もう一度喉の奥のほうまで煙を行き渡し、ファイルの雪崩を直した。
 報告書を日にちごとに整理し、このファイルにそれぞれまとめる。毎日やれば、こんな机の上が報告書とファイルの山で、灰皿は置けるがカップは置けないなどの惨劇にはならないのだが、いかんせん、これはまずいと思うまで後回しになってしまう。期日があるわけでも無いし、急かす上司もよっぽどでない限り声もかけない。そんなこんなで、珍しく急な仕事も無く、本日の任務も午前中に終えてしまったハボックは地味に溜まった報告書を処理する事にしたのだ。
 ファイルを日付どおりに並べ、崩れた書類の山を戻し、もう一度煙草を深く吸い込んだ。
 そこで、ハボックは机の端に追いやられた紙切れにやっと気付いた。

『 来い 』

雨が降った日 

2005年07月01日(金) 23時43分
 強風で傘が折れた。防水加工を施されたブランド傘も、骨組みをやられてしまえば、それはただ針金が突き刺さったズタ布で、雨が染み込んで、ただでさえ重い青い服がさらに重く色濃くなる様を案外に早く、呆気にとられた。直属の部下にああ、なんと言い訳しよう。今の自分は…、そこで言葉を止め、頭の中で怒鳴る部下にただ平謝りした。そんなことをしているから…

「遅い」
「…何やってんスか、あんた」
 頬を濡らしていた雨が遮られる。その隙を利用し、額と目元をぬぐおうとしたら、自分の手など既に泥水まみれで不快感を煽るのみとなってしまった。
「酔っ払ってんスか」
 自分の体が濡れるのを気にせず、自分の半身を雨からかばうように差し出される傘。薄っぺらい青が張り付いた傘に、濡れるだろうと苛立ったが、それより発言のほうが気になった。
「なわけないだろう」
「じゃあ、あんた何してんスか、こんなところで」
 何をしていたのか。待っていたのだ、お前の事を。そう言ったら、こいつは恥じるだろうか、それとも呆れるだろうか、できれば前者にして欲しい。その方が恋人として評価が上がるというものだ。こんなところでというのは行きつけのバーから自宅への道、街灯を雨でおぼろげで、さすが中央といった感じの上等の煉瓦と背の高い木と鉄の柵で作られた美しい線対称の街路は水溜りだらけで台無しで、今自分はその水溜りのひとつに寝そべっている。
 足を捕られて、傘も、立つ気力などもろともに風に吹き飛ばされてしまったから、仕方なく水溜りと同化する事にしたのだ。仕方ないから、お前を待っていた。
 そう思い返して、コートはバーに忘れたのを今思い出した。

お題SS一本UP、素敵サイト様一件追加!! 

2005年04月24日(日) 0時17分
「04 おいで」(ロイハボ←ブラ)UP

 本当はもっとエロエロで鬼畜で長くなるはずだったのに、文章力が足りずやはり中途半端な結果に。ブラッドレイ大総統の口調がおかしい!?と思われますが、初書きなので見逃していただけると幸いです(泣)
 おいで?なのか?一応大総統がおいで〜みたいな空気を出していると思われます。お題の達成率も中途半端!!
 このサイトは皆様の寛大な対応で持っているようなものです!!・・・いや、本当に精進します(汗)

「celeryparsley」様追加!!

 一ヶ月ほど更新が空きました。大体このペースだと思います、いや、もっと遅くなると思いますが、皆様気長にお待ちください。長い目で見てやってくださいと、他力本願という言葉が大好きな管理人でした。

04 おいで (ハボ公を躾ける20のお題) 

2005年04月24日(日) 0時10分
 注*本文には性描写が含まれております。

 絶対的権力者、その存在は自分には恐ろしかった。数年前、まだ人を数えるほどしか殺したことの無かった今より若造だったときだった。何かの会で、蟻のように並ぶ青い制服の中俺は立っていた。その向こうで、四本の刀を腰に携えた父ぐらいの年の男を俺は始めてみることになる。恐ろしいと思った。片目しか見えない男の目は恐ろしくて、その視界から逃げ出したいと思うほどだった。その時直属になりたてだった上司も氷のような冷たい黒硝子の向こうで赤い炎を燻らしている様な瞳をしていた。でも、あれは違った。もっとどろりとした者の奥に、何もかも焼き尽くすような瞳をしていた。あれを見てから、俺は上司を上に登りつめて欲しいと思った。あれを早く追い出して欲しかった。この軍から、国から、俺の世界から。
 あの時の俺のように、つ立ったまま、動けないでいる自分。
 目の前には、あの墨を流し込んだような瞳が笑みの形を通して、俺を見透かしている。怯えていることに気づかれている事態で、俺は成す術を失っているのだ。
「君はロイ・マスタング大佐と関係があるそうだな」

SS1本UP&素敵サイト様追加 

2005年03月25日(金) 2時31分
「眩暈がするほど完璧な日(ロイハボ)」UP

 喧嘩する二人を書こうと思い立ち、馬鹿みたいな喧嘩を真剣に悩むハボックがおもしろいだろうと試みました。恋愛って馬鹿みたいなことをどれだけ真剣に出来るかだと思う(偏見)私は大佐とハボックはふたりして馬鹿みたいな喧嘩してうじうじしているのが似合うと!思うのですよ!!
 例えば大佐は「あいつに犬と言ってしまった…実は気にしてたらどうしよう・・・」とか、「あー・・・女性とのデートを目撃された!!本気ではないのだよ!!本気はハボックなのだよ!!」とか、どーでもいいことを悩んでいるのがいいなーなんて妄想しています。
 これがうちの攻め・・・これがうちのロイハボ・・・うちのロイハボはハボロイに思われないだろうかと一抹の不安を感じなら、更新。

「アシンメトリー」様リンクに追加!!

 ガンガンを今頃立ち読みし、あー!!ハボックのことエド君聞いちゃったんだ!!知っちゃったんだ!!うわ〜・・・どうしよう・・・エドハボにいかんとあかんやろと不可解な使命感を燃やす管理人でした。
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■管理人■
  猫田トロ
■思考■ジャン・ハボック少尉至上。CP論ロイハボ本命、対抗エドハボ、大穴・大総統×ハボ、急上昇中、ヒューハボ。読んでみたいな、ブロハボ、アルハボ。
■連絡先■
 zbd75394★boat.zero.ad.jp
(お手数ですが、★に@を入れてください。)
■リンク■ リンクーフリー
http://yaplog.jp/neko-toro/
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:猫田トロ
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 誕生日:1984年8月12日
  • アイコン画像 血液型:A型
  • アイコン画像 職業:専業主婦
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 映画化の上にTVに流れる再放送に胸が躍ってしまった腐女子による『相/棒』のインテリ上司×その忠犬のサイト。不定期更新、書いたら書きっぱなしの放置系書庫。
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