第11話 第七段階 ゲリラライブ

April 11 [Mon], 2011, 19:51
●第七段階 ゲリラライブ
「あっぶねーあぶねー」

雅はにやにやしながらつぶやく。
わたしは危なさすぎて、もう声も出ない。のどがカラカラだ。
何?何なの?この男は。
鈍すぎて逆に天才なの?もう鈍感王だよ。裸の王様って呼んでやるよ。

「なー?艶。怖かったよな?スリルあり過ぎだよな?でも結構キャラ作りって役立つのな?」
「鈍感馬鹿って刻印が入った冠をかぶった、裸の王様」
「え??何、それ。何のキャラ?」

雅は不思議そうにわたしを見る。わたしはいらついた目を雅に向けて心で叫ぶ。


・・・てめぇだ。



「艶花ちゃん、こっちです」
「桜子!」

わたしは舞台袖から招いている桜子を見た瞬間、出かけた涙をぐっとこらえた。
「間に合わないかと、ハラハラしましたわ」
「桜子ちゃん、ほら、ヒーローは遅れて来ないと」

ドッ

「ふごっ」

わたしの右手が雅のみぞおちを的確に捕える。
「てめぇ・・・」
「少し大人しくしてろ、これ以上わたしを鬼人化させるな・・・」
「艶は怖かったんだよな。大丈夫、後は任せろって」
「な゛っ!」

雅にまた頭をなでられ、待っていた間や、さっきのことを思い出してわたしの顔が一気に熱くなったが、ステージ裏は薄暗くて、助かった。
わたしが言い返そうとしたときだった。

「・・・と言うのがわたしの信念です。そこで今日は全校生徒の皆様にその一歩を見て頂きたい。こうしてわたしたちは自分たちのみでなく、大きく変わっていく必要性をもう一度確認し、そして団結して進んでいくことを望みたいです」

「合図ですわ」

桜子はそう言って、ステージ横のレバーを一気に引き下ろした。
ドンっと音がして、体育館が真っ暗になる。「きゃーーー!」っと女子たちの悲鳴が聞こえる。

「他の先生が来る前に、雅」
「OK。見とけ、艶」

それは、桜子に言いなよ。と思ったが言わなかった。
壇上に駆け上がっていく雅は、なんだか辛いほどカッコよく見えた。

桜子はすかさず、隣のステージ上の電気だけをつける。

会場がざわついた。
「聞いて欲しい。もちろん、先生方もだ。月詠男子と我々月詠は姉妹校でありながらどうして、こうも疎遠なのか。それは古い歴史が隠れている。だがそれはわたしたち生徒にとって何の関係がある?むしろお互いの成長を妨げる忌まわしい歴史でしかない。そんなものに、いつまでも捕まっていたり、その歴史さえ知らないままいてよいのか?否。そんな訳がない。だからわたしはここで、男子校の生徒を呼ぶことでその一歩を切り開いたと言いたいのです」

沙羅が大声を張り上げた。

沙羅は雅を振り返る。そうして、にっこりほほ笑んだ。
雅も頷く。

「月詠男子校一年、朝生 雅 と申します。この度、月詠さんにお話を頂き、大変恐縮ではありますがみなさんと少しでも仲良くそして、よい関係を築き上げ双方の高校が広く反映していくことを切に願います」

雅の・・・声じゃない?
「これ、あのアニメのキャラ???」

うそ。完コピじゃん。

曲が流れる。大音量の中、雅が歌う声は何人の女の子を射抜いてしまったのだろう。
わたしはステージに入るための体育館の扉の前で、女子たちの反応を見ていた。
「超かっこいいんだけど」とか「え?眼鏡かけてるのすっごいタイプ」とか「これ、知ってる曲だ。最近ネットでよく聞くけどこの人超うまい」とか。色んな声が聞こえる。そしてたぶんどれも色では「黄色い声」と言うやつだ。

「そこをどきなさい」

ぼんやりと眺めていたわたしの前に立っていたのは沙羅の母親、校長だった。
ステージ脇の扉が開いて、沙羅が凛とした態度で校長の前にはだかった。
うわ・・・なんだ、この二人。威圧感凄過ぎて、背景に虎と竜が・・・っ。ってわたし結構頭やばいな。

「沙羅、貴女何をしているか分かっているの」
「そちらにも覗おう。わたしが今まで話していた意味を理解できたのか?」
「さっぱり理解しかねることだったわ」
「だろうな、その年老いた頭には少し難解すぎたか」
沙羅が苦笑する。
「無駄な時間稼ぎね」

校長はうしろの教員に目くばせする。
教員は頷いて、手を挙げる。パッと体育館の電気がついた。

それまで熱狂していた生徒も我に返ったようにざわつき、雅の曲も止まってしまった。
沙羅は黙って、校長を見つめている。

「残念ね。電源はステージ裏のみではないことを知っておくべきだったわね」

わたしは悔しさに、眉をしかめ二人から目をそらす。
結局、大人の支配下にわたしたちはこうして置かれるものなのだろうか。わたしたちの信念なんて、単なる幻想なんだろうかと思えてならない。
その時「うわああああっ」と沙羅が叫んで、両手で顔を覆った。


わたしはもちろん全校生徒が沙羅を振り返った。
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小説家になってやる!と大きな夢を持ったのは中学の頃。
それから、こつこつ書いてはいても、現実は自分の書きたいものは何一つ・・・
そして、売れないどころか掲載もされない(あはは)

ブログと言う媒体を通して、色んな人に、「私自身」の小説を読んでもらいたかった。ので、作りました。

あ、テンプレは萌え萌えだったので、それにしましたwww
今から書いていく小説にあうかなぁ、って。(単に萌えな絵が好きってのもあるけどね、うふふ)

更新は出来るだけ・・・頑張ります。
時には、こぼれ話も、ちらほらと・・・お付き合い願えればと思います
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