あついね 

August 27 [Mon], 2007, 21:28
毎日あついったらないよ。

さて、宇多田ヒカルの新曲だよっと。


豊島ミホ 『陽の子雨の子』 

May 23 [Wed], 2007, 0:13
なんて言ったらいいんでしょうね、豊島さんの文章は透明感がある、というか、無垢ってかんじがします。夏の空気や雰囲気、古い家の感触、雨のにおいも、ひとつひとつをすごくいとおしいもののように言葉にしているかんじです。

この作品は、雪枝という24歳の女性と一人称として中学生の夕陽、雪枝に15歳のときに拾われた現在19歳の聡を中心に描かれるおはなし。

普通、というのが何なのか。一日一日を淡々とすごしていくだけの雪枝と聡。

何か違う、という空気を灰色の点々といい、怖いと感じる夕陽。

3人はかかわっていくなかで、灰色の点々に足をとられながら、じたばたしながら、夏の桃色の光のようななにかに触れようとする。


ところどころの短歌もいい味でています。あと、わたしも好きだったな、と思った。
両手をどんなにどんなに大きくひろげても、かかえきれないこの気持ち、りんごがひとつ、ひあたりにころがっている、という詩。

ちょびっとしか出てこないけど、清水さんというクラスメイトの存在が、とても美しい。

手の届くところにいるのに、とどかない雪枝と、中学生なのにへんに感覚よくて聡明な夕陽、中学生のときのまんま大人になってしまったせいか繊細で感情をうまく制御しきれていない聡。みんな、なにか足りなくて、満たされてもいて、夏の光のように穢れがなくて、嵐のようにはげしい心をもっていて。

わかるかも、このかんじ。というのが、たくさんあります。ことばにならない感覚をちゃんと言葉でとらえてしまうところがすごいなぁ、と思う。


この方の作品を読むと、漫画ですが、望月花梨とか渡辺ペコの『東京膜』とかの空気を感じます。

平安寿子『くうねるところすむところ』 

May 16 [Wed], 2007, 9:34
これ、面白い!元気が出ます。がんばるのっていいなぁ、ものづくりっていいなぁ、てしみじみ思ってしまう素敵なおはなし。

主人公の梨央は30歳。求人広告雑誌の副編集長をしながらも、イヤの数が絶えない毎日にいらいらをつのらせている。不倫相手の編集長もその原因のひとつ。そんな中、勢いあまって建築中の建物に登ってしまったことから、人生が変化し始める。おりられなくなった梨央をたすけてくれたトビ職の徹男に人目惚れしてしまったことで、日々に活力がでてくる。人間気は持ちようですね。それで、勢いで編集長にたんかきってしまい、勢いで建設の業界に身を投じることになる。

梨央のうじうじさも前向きさも、等身大で小気味いい。コンチクショー!とかいいつつ、一生懸命な姿になんだか励まされるような、そんな気すらします。とびこんだ建設の世界で、現場監督として悩むことやへこむことがあっても、家をつくるっていう仕事がすき!という梨央。こんなに一生懸命になれたらなんていいんだろう!
また、建築についてもすごく細かく描写してあって、その魅力が十分に伝わってきます。家をつくる、ひとの一生のなかでたぶん最も大きな買い物、人生のハイライトに関わることができる、そんな仕事の魅力満載で、やってみたいかも…て思ってきます。

わたしもちょっと前まで求人広告の企画営業をしていたので、取材の場面とか、ちょっと懐かしかった。

他の登場人物も多彩。梨央の働くことになる工務店の女社長(姫)は、離婚問題や娘との関係で悩み、父から受け継いだ会社経営をいやいややりつつも、最後にたどり着く先を見つける。あと、現場監督の山本や専務の棚尾、事務女帝の時江など現実にもいそうな個性豊かなひとがいっぱいで物語をいいぐあいに色づけしています。

最後の棚尾の自宅建設へ向かっていく話あたり、自分も家づくりにかかわってるみたいに楽しくなってきます。

これ、青木さやか主演でドラマ化されてたみたいです。見てなかったんだけど…。どう脚色されてたのかちょっと気になります。

酒見賢一『後宮小説』 

May 16 [Wed], 2007, 8:58
中国っぽい架空の国を舞台に語られる大河ロマン。本当に史実かと思ってしまいそうな程、こまかく設定がされていて、ちょっとした歴史書を読んでるかんじです。初代・日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。また、直木賞候補作。そして、日本テレビ系でテレビアニメ化もされています。題名は変更されていて、『雲のように風のように』。これのほうが知名度高いのもしれません。といっても、こっちはかなりはしょられてます。子どもが見ても大丈夫なくらいに(笑)。

文体としては、ちょっとかため。中島敦風みたいに評されていたりします。小説読んでるってかんじとはちょっとちがうかもしれない。でも、そういう文体にもかかわらず、登場人物のキャラクターがとても魅力的です。

お話としては、簡単にいうと、田舎娘がちょっとしたきっかけから後宮に入り、ちょっとしたことから正妃になり、戦乱に身を投じながらも強く生きていくといった話。主人公の銀河の天真爛漫さなどもあってか、結構どろどろしたところもあるのに全く暗くはありません。同じ宮女(皇帝の妾)候補のルームメイトの世沙明(セシャーミン)や江葉(すごいすき!)とのやり取りなどで笑いもありです。

あと、若き皇帝双槐樹(コリューン)との関係もみどころ。最初は、皇后に命を狙われている双槐樹は、銀河を信頼して正室にあげたものの、まだ子ども(15歳ではあるがまだ子をなせる身体ではない)の銀河を利用するかたちだった。しかし、いろいろな困難を共にする中で、絆を深めていく。

それ以外にも、後宮の女大学(これがすごい。宮女としての夜のたしなみを公然と教えている)の角先生もいい味だしてます。この人が結構いろいろ絡んでて重要人物かも。

あと、アニメでは省略されている双槐樹の姉・玉遥樹(タミューン)の弟への異常な執着とか、角先生の弟子・菊凶(この人はアニメでは全然違う人になってます。頼むよ…)の夜の顔とか、江葉の過去とか、王斎美の話とか、いろいろ楽しめる要素もたくさんあります。

やっぱりファンタジーっていいなぁ。
面白いです。

恩田陸 『三月は深き紅の淵を』 

May 03 [Thu], 2007, 19:24
恩田さんの作品の中で一番すきかもしれません。

4部からなる『三月は深き紅の淵を』という幻の本をめぐるミステリー。4つのおはなしの中におけるその本の位置づけが異なってはいるものの、その本を中心にまったく異なるストーリーが描かれています。

一番すきなのが、2部めにあたる「出雲夜想曲」。
文芸編集者の隆子と朱音が、出雲行きの夜行列車に乗り込むところから話ははじまる。夜行列車というのがまたいい。列車の中で買い込んだお菓子やお酒を飲み食いしているところ、すごくわくわくしてしまう。この方の作品ではこういう何気ないところも非常にいい味を出しているなぁと思う。そして、隆子が語る、本の作者にまつわる推理と出雲に向かう理由。もうこのあたりで充分にひきつけられてしまうことは間違いない。

そして、出雲で出会う思いもよらぬ真相。いろいろなものが一気に収束していくさまがなんとも言えず心地いいと同時に物語が終わってしまうのがもったいないとすら思えてくる。

この本のよさは、雰囲気、な気がします。全体的に薄暗いというか、不穏な空気感があるのに、まったくねっとりはしていなくて、こわいのにわくわくするみたいな不思議な感覚がします。

やはり結末を知らないまま読んだ最初が一番面白かったのですが(しかもちょうど夜行バスの中で読んだので、臨場感倍増)何度読んでも色あせない、すてきな本です。

最後の物語の収束というところでいうと、同じ恩田作品の『ドミノ』もまったく別の雰囲気ながらも非常にたのしい。

荻原規子 『空色勾玉』 

May 03 [Thu], 2007, 18:27
古代の日本「豊葦原」を舞台に、光と闇の戦乱に翻弄される水の乙女・狭也と風の若子・稚羽矢の冒険と成長、運命の恋を描いたファンタジー。

この作品の良さは何といっても登場人物の豊かさ。ひとりひとりがとても個性的で魅力的。ちょっと漫画っぽい感じなのですが、物語の背景が重厚なのもあって、全然薄っぺらいところがなくて、逆に場面が想像できるようななんとも言いようのない良さがあるのです。

やはり見所は主人公・狭也と輝の御子・稚羽矢。出会い方からして、なんともいい。輝の采女になった狭也は宮の宮殿の奥で大蛇の剣を守る、巫女の姿をして繋がれている稚羽矢と出会う。初め稚羽矢を女だと思っていた狭也が「あなたは―、あなたは男だわ」というところ、来たー!っていうかんじですごくドキドキします。これからの二人の関係の変化はみどころ。

兄の月代王、姉の照日王としかかかわりを持っていなかった末子の稚羽矢が、狭也やその仲間の闇の者たちと旅立ち、かかわっていくなかで、まったく何も知らず無垢だった彼が人として成長していくさまは目を見張るものがある。また、剣の主としてそのちからと向き合う苦悩や輝の御子であることゆえの不死という事実からの自身の葛藤も繊細に描かれている。

狭也も闇の氏族の姫でありながら、輝にあこがれ、定められた運命に抗いながらも稚羽矢との出会い、闇の氏族の皆とかかわり闘っていくなかで、自身の果たすべき使命を見出していく。

何でもはっきりものを言って勇ましいなかにも弱さの見え隠れする狭也と、最初まったく自我のなかった天然・稚羽矢が互いを必要としていることに気付いていく過程は、そこらへんの少女漫画を読むよりもドキドキしてしまいます。

壮大な物語にそういった恋愛がいい具合に絡まっていて、最後まで一気に読みたくなってしまう、さすがだなぁと言わざるをえない作品です。
この『空色勾玉』は荻原規子さんの勾玉三部作の1作目なのですが、これが一番すきかもしれない。
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