尖閣商標をどう思いますか?

2012年04月23日(月) 0時18分
[まとめ]

・遠く離れた場所でも名前が同じなら指定商品の産地にできるのか。

・登録を許してしまうのは商標制度に反すると思います。

・登録異議申し立ての審理の行方が気になります。


■ 遠く離れた場所でも名前が同じなら指定商品の産地にできる?

特許庁に異議申し立て 尖閣商標問題」という記事を見ました。

たまたま地名が同じだが、全く別の場所を産地とする魚介類について、同一の商標を使用することに、国がお墨付きを与えてしまうことって商標法的にありなんでしょうかね?と不思議に思います。

消費者は同じ商品名がついていれば、同じ品質であることを期待して商品を買う(=商標の「品質保証機能」といいます。)わけです。

佐渡と石垣ってとても遠いわけで、それだけ遠い場所で獲れるお魚は、味とか食感とかが異なって当然。

「いや、素人目には同じですよ。」なんて言ってしまったら、地域ブランド自体がそもそも成り立ちません。

それでも登録させちゃうのは、商標制度に反するような気がします。

でもそれだけを主張すると、「佐渡か石垣どちらかを取り消して終わり」になってしまうので、使用の意思なし(自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標じゃなければ登録不可。(3条1項柱書の反対解釈。))の主張も併わせてしているわけですね。

ともあれ、審理の行方が気になる事件です。

iPad商標訴訟に思う

2012年03月08日(木) 22時53分
[まとめ]

・先願主義は悪者ではありません。

・先願主義のメリットを再確認してみました。

・国際的圧力も有効な手段ではないかもしれません。

・大事な名前はとりあえず出願するのがよさそうです。


■ 先願主義は悪者じゃないぞ!!

iPad訴訟のことを取り上げると「ミーハー」あるいは、「Mac派」のレッテルを貼られそうですが、少なくともMac派ではありません。

前の会社で「マック、マック」とうるさかった同期とそりが合わなかったので、あまりよい印象を持っていないのが正直なところです。

なので携帯音楽プレイヤーはSONYのWALKMANですし、スマホはXPERIAです。

話はそれましたが、当初の報道では、アップル側が買取価格の高騰を嫌ってか別会社を迂回して中国企業から商標権を買い取ったなど、グレーな部分があったりして、アップル側も悪かったんじゃないのと中国企業よりの考えを持っていましたが、今度は、中国の銀行が商標権の保有を主張するなど、出口の見えない訴訟になっていますね。

さらにエルメス(愛馬仕)、ジョーダンと畳みかけてきましたねー。

いくつかの報道を見ると、なんか「先願主義だからこうなった」見たいな論調が多いような気がします。

いや、間違いじゃないんですが、iPad事件はアップルがiPadを発表する10年も前にまともに出願(中国では申請というのですか?)されて登録されたまっとうな権利ですし、先願主義と先使用主義とは、それぞれ一長一短あるものの前者のメリットが後者のそれを凌駕するので世界的に採用されているというのが事実だと思っています。

概ねの報道では、そのあたりの説明というか、理解が不足しているなという印象を私は持っています。

ちなみに、「先願主義」と「登録主義」、「先使用主義」と「使用主義」がまぜこぜに使われているのですが、私は以下の使い分けをしておりますのでその点ご了承ください。
a.先願主義←→先使用主義
 先に出願した人が偉いのが先願主義、先に使った人が偉いのが先使用主義(特許でいうところの「先発明主義」)
b.登録主義←→使用主義
 商標登録に際して商標の使用の事実を必要としないのが登録主義、使用の事実を必要とするのが使用主義

「企業再生と知的財産」を読みました。

2012年02月29日(水) 22時43分
[まとめ]

企業再生と知的財産という本を読みました。

・知財デューデリジェンスが浸透すると弁理士の活躍の場が増えるのではと期待しています。

・職務発明の対価請求リスクのほか、通常実施権契約が解除されてしまうリスク(チェンジ・オブ・コントロール条項)にも注意が必要です。


■ 知財デューデリジェンスの浸透に期待してしまいます。

23年改正のレビューが進まない中ですが、後学のために企業再生と知的財産という本を読みました。

「民事再生」で使うところの「再生」までを考えた内容で、私が想像していた、

少し傾きかけた程度の企業の業績を上向きにしよう

というレベルの内容では無かったです。

ですが、企業価値評価の視点として、財務面の分析(デューデリジェンス)だけではなく、知的財産のデューデリジェンスにもスポットを当てているところが新鮮でした。

というか、平時からもそういう視点で自社の価値や将来の業績を計ろうという考えが国内企業に広く浸透すれば弁理士の知財価値評価分野での活躍の場が増え、そのノウハウも蓄積されていくのではないかと思うわけです。

どうすればそれが実現するか?というのは、弁理士に頼んで自社の知的財産の分析をしてもらうことの利益を、いかに見出してそれを説明するかというところにかかっていると思うのですが、その方法までは私には分からないですね。


(続)「白い恋人」が「面白い恋人」を提訴

2012年02月15日(水) 0時44分
[まとめ]

・面白い恋人事件の記事がまた出ています。

・プーマ事件の理論を援用して侵害回避可能か?

・アメリカには、successful parodyという考え方があるそうです。

・実務的には、我が国でもフェアユース的な取り扱いもなされていると思います。


■ 面白い恋人事件の記事がまた出ています。

以前から進展があったかどうかは不明ですが、面白い恋人事件の記事がまた出ています。

記事を読んでいて思うのは、

1.結局、何法で訴えているのかよくわからない(商標法なの?不正競争防止法なの?)。
2.途中、差し止めの認められた事例に言及してるけどこれも何法でそうなったのかわからない。
  ※不競のようです。
3.最終的に、フェアユースという、わが国ではまだ著作権法に導入するかどうか程度しか議論されてない意見を持ち出している。

ということで、書いている人はあんまり知的財産権のことをご存知ないのではないかと、この記事を読んだ方に誤った印象を刷り込んでしまうのではないかと思うわけです。

結果的に
a.法的にはグレー。
b.わが国は法整備が遅れている。
c.白い恋人側はちょっと大人気ないかも。


みたいな扱いになっているような気がしますが、皆さんの印象はどうでしょう?

こういう傾向は、情報化とか、セキュリティ侵害関係の新聞記事でも、まま感じます。

たとえば、

○○という技術があって、それを導入するとこんなにメリットがあり、米国を中心とする海外では導入が進んでいるのにわが国では導入が遅れており、国際競争力を損ねている。
=>本当は○○という技術には別の問題があって、メリットが必ずしも得られるとは限らないとか、見積もり取るとすげー高いとかそういう部分を見てない。

とか、

××という事件が起きて、調べてみると△△という対策も採られていなかった。
=>××と△△は、技術的にあんまり対応関係が無く、本当の原因は別にある。

とかね。

話はそれましたが、個人的には、吉本側の使用にいたるまでの経緯からみて、商標法的にクロなんじゃないかなと思っています。

ですが、パロディ的な使用が非類似と判断されるケースもあるようです。

きつねの嫁入り

2011年12月20日(火) 22時43分
[まとめ]

・狐の嫁入りが商標権侵害のおそれ

・登録異議申し立ても通らず

・無効審判請求/名称変更のいずれを勧めるべきでしょうか。

■ きつねの嫁入りが商標権侵害のおそれ

子どものころテレビで見ていた、「まんが日本昔ばなし」に、狐の嫁入りの話がありました。

天気雨が降ると、「狐の嫁入りか?」などと言ったり・・・・しないですよね。

で、本題ですが、山口県の下松市のまちづくりグループが平成22年7月に「きつねの嫁入り」という商品名でいなりずしを売り出したところ、同じく7月に同商標をすしなどを指定商品として商標登録出願したこれまた山口県在住の方がいて、12月に登録されていたという事件が報道されています

前にもありましたね、会津のそばに「会津の香り」という名前をつけて売り出そうとしたら、関東の方がお酒などを指定商品として商標登録を受けていたので、それに類似する商品につかなくて困っているという事件の報道が。

山口県の事件では、登録異議申し立てをしたけれども退けられたとのことでした。

すがるべきは、4条1項7号ぐらいしかなさそうですが、販売開始も7月、出願も7月・・・、偶然にしてはできすぎのような気もしますが、異議申し立てが通らなかったところを見ると、伝家の宝刀を抜くほどの違法性は無かったということなんでしょうね。

ところで、7月に出願して、12月に登録されるんですね。

知りませんでした。

法律上は、1年6月内に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは登録査定(16条→施行令2条)とあるので、

「出願から1年6月待たされるのかな?その間の侵害は差し止めれないけど、金銭的請求権(13条の2)があるからいいのかな?」

などと勝手に思っておりましたが・・。

調べてみると、特許行政年次報告書2010年版によれば、6〜7ヶ月でファーストアクションがくるので、それが登録査定ならば登録料納付で、はい登録となるわけですね。

ついに音響商標が登録対象に?

2011年12月14日(水) 18時03分
[まとめ]

・音響商標の保護に向けて大きく舵をきるのか。

・と、思ったら過去にも似たような報道がなされているようです。


■ 「2013年の通常国会に商標法の改正案の提出を目指す」

・・・らしいという内容の記事を見つけました。

これまでは、不正競争防止法でのみ保護されていた「音」ですが、コマーシャルの最後とかで特徴的な音を流していることがあり、それを聞くとついその会社の商品やサービスを思い出してしまうというのもありますもんね。

TPP参加検討をきっかけについに重い腰をあげたか?

と、思ったのですが、「特許庁 音 商標」でGoogle検索すると、2年前・3年前の記事もちらほらヒットしますね。

これまでも浮かんでは消えていったプランなんですな、きっと。

著作権との住み分けが必要(長すぎると識別力なし(3条1項6号該当)で拒絶とか)になりますし、標章の使用の定義(2条3項各号)も変えなくてはいけません。

近年立体的形状の商標法による保護に大きく舵をきったようか気がする特許庁さんですが、音響商標を含めた表示の多面的保護をさらに推し進めていくのか、はたまた再び頓挫するのか、腕の見せ所です。

「白い恋人」が「面白い恋人」を提訴

2011年11月29日(火) 21時32分
[まとめ]

・「白い恋人」(石屋製菓)が「面白い恋人」(吉本興業など)を提訴したそうです。

・侵害みなし(37条1号)は免れなそうです。

・商標権消滅の可能性もないでしょうね。

■ 「白い恋人」が「面白い恋人」を提訴したそうです。

維新の会の、先の選挙での大活躍で賑わう大阪ですが、なんだか「面白くない事件」がおきているようです。

報道によれば、北海道銘菓「白い恋人」で有名な石屋製菓さん(こういう社名だったのですね。)が、「面白い恋人」の製造販売をしていた吉本興業と子会社よしもとクリエイティブ・エージェンシーなど3社を相手に使用差し止めを請求する訴訟を起こしたとのこと。


記事のタイトルを読んだときには、

「シャレなんだからいいんじゃない?」

と思ったのですが、石屋製菓の社長さんのコメントを見て気持ちが変わりました。

「こういうことがまかり通るとはびっくりで、全然面白くない。

相手の商品名を逆手にとってのご指摘で、おそらく相当にシャレを理解する方なんではないか思います。

ま、それはそれとして・・・、

法的にどうかということを論文チックに検討してみました。

iPS細胞の技術が欧州特許庁で特許権取得

2011年07月15日(金) 18時01分
[まとめ]

・iPS細胞の欧州特許庁での特許査定おめでとうございます。

・権利を無償譲渡いただいた米国企業とはどんな交渉をされたのか非常に興味があります。

・実施面での弱みを握って有利に交渉したとか、

・有効活用を全面に押しだし円満に解決などいろいろ考えられます。


■ iPS細胞の欧州特許庁での特許査定おめでとうございます。

iPS細胞の基本技術についての技術が欧州特許庁で特許査定され、近々登録されるとの報道がされています。

国内では中国さんの新幹線の件でごたごたしているようですが、長らく話題になっていたiPS細胞の特許登録が広く外国でも認められるようになったことは本当に喜ばしいことです。

関係者の皆さん本当におめでとうございます。

そして、欧州特許庁や「技術が競合している米ベンチャー企業」との長年の交渉があったとのこと。本当にお疲れ様でした。

一点気になるのは、件のベンチャー企業さんから「今年1月に無償譲渡を受けることに成功」したという部分です。

中国新幹線のこと

2011年07月10日(日) 18時15分
■ 中国新幹線についてのPCT出願

お隣の中国さんが新幹線の技術について、独自技術としてPCT出願をされたとのことです。

なんだか大事になるように取り上げられているみたいなのですが・・・。

すいません、素人目に見てどこに問題があるのかがよくわかりません。

まず、ケースは3つ考えられます。
1.本当に独自な新規技術だ。
2.各国が提供した特許から見た進歩性あり。
3.各国が提供した特許から見た進歩性なし。


それぞれに考えられる結果は、
1.登録される。
2.登録されるが、利用発明なので実施できず(72条)。
3.登録されない。


となるはずです。

で、どのケースで問題なんでしょうか?

それぞれのケースの我が国特許権との関係ですが、
1.我が国内の特許権との抵触なし
 →我が国内の特許権者は権利の範囲内で独占実施を継続可。
2.中国企業は実施許諾(77条、78条)or裁定(92条)無くして実施不可。
3.何も変わらない。

結局どのケースでも、双方の法律的地位に変化なしなんじゃないの?と思うのですが、いかがでしょうか?
 

WIPOが電子著作物登録制度の検討開始?

2011年01月04日(火) 18時38分
[まとめ]

・WIPOが電子著作物登録制度の検討を開始したそうです。

・無方式主義を採用しているベルヌ条約との不整合は起こらないのでしょうか。

・後進国が悪者であると誤認させるような報道には疑問があります。


■ WIPOが電子著作物登録制度の検討を開始したそうです

WIPOが、電子的著作物の海賊版根絶に向け、統一的な登録制度の創設を検討し始めたとの報道がありました。

参照サイト 「日本経済新聞
※いつまであるかな?全文を読むには、無料の会員登録が必要のようです。

実現すれば、

1.著作物を利用する側にしてみると、著作権の有無や著作権者の確認が容易になる。
2.著作権者にしてみれば、訴訟の際に権利の主張や、故意・過失の立証が容易になる。


などのメリットがありそうです。

が、同じくWIPOが所管しているような気がするベルヌ条約って、著作権については無方式主義(「著作権は、著作物の完成と同時に、何らの手続きを経ることなく、著作者に原始的に帰属する」というような意味。)をその基本原則の一つとしているはずです(5条(2))。

日経新聞の記事を読むと、

1.一部の先進国においては、登録制度が導入されているが、各国で足並みがそろっているわけでないこと
2.登録制度を創設しても後進国が協力してくれるか否か

が課題であるような書きぶりになっていますが、それってベルヌ条約的に逆でしょ?と思ってしまいます。

それとも、無方式主義は後進国の強い要望で致し方なく採用されたという歴史的経緯でもあるんでしょうかね?

後進国が悪者であると誤認させるような報道には疑問があると思いました。

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