4時のオヤツ杉浦 日向子
鯛焼き、豆かん、クリームパン、かき氷、大学芋、シベリア…懐かしい東京のオヤツがある33のショートストーリー。
表紙のシベリアとタイトルにつられて借りました。美味しいお菓子にまつわるエッセイなのかと思ってたら、美味しいお菓子がそこにある物語だったのでびっくりしました。
冒頭の文章が素敵です。「四時って、半端だ。午前にせよ、午後にせよ。深夜でも、明け方でもない。昼間でも夜でもない。夜明け前、そして、黄昏れ時。そんな、半端な時間に、ふと、口寂しくなる。…四時ときたら、てんで半端。ティータームでも食事でもない。三時を過ぎて、五時には間がある。オトナにもなりきれない。なんとなく何か食べたいのは、空腹だからからじゃない。ほんの少し、物足りないのは、たぶん、
キモチ」
33の物語は場所、登場人物の描写からはじまります。なんだか劇の台本を読んでいるような雰囲気。暗い舞台に明かりがついて始まった劇は、結末を見ることなくパチンと明かりが消えます。そして私は登場人物のそれからを考える。そんな事の繰り返し。
書かれたのは91年から94年。「ワープロ」「ワンレンにソバージュ」携帯電話も出てきません。懐かしい世界です。最後に33の物語に出てきたオヤツのお店一覧が載ってるのです。その中には6つの「残念ながら閉店」がありました。15年ってそういうことなんだなぁと思いました。